カテゴリ:美術
聞いていた以上に、素晴らしい美術館でした。
いつも拝見させて頂いている方々のページでも、何度も話題にのぼっていて、 ずっと行きたいと思っていたわけですが…。 ----- 兼六園のすぐそば、市役所の隣、いもり堀の向かい、 という好立地に、この美術館は位置しています。 金沢からの新しい文化の発信地とは聞いていましたが、 こんなに贅沢な立地だとは、思いもしませんでした。 また、他の美術館も、ここから程遠くない位置取りで、いや、すごいぞ金沢! (駅前にあった、噴水掲示板♪) ----- 21世紀美術館の設計は、SANAA(妹島和世+西沢立衛)。 おぉ? 現在、べルリンで、バウハウス・アーカイヴ再開発が進められているのですが、 このコンペを勝ち抜いたのが、SANAA(妹島和世+西沢立衛)。 こちらの設計イメージをご覧下さい(英語版にリンク)。 べルリンで名前を聞いた時には(妹島さんのお名前こそ存じていたものの)、 21世紀美術館とは、私の中で結び付いていませんでしたが、なるほど。 出来上がったら、観に行きたいなぁ。 ミュンヘンの新美術館も気になるし… ----- さて、21世紀美術館は、佇いに上品な風情のある、本当に素晴らしい美術館。 斬新でありながら、兼六園の直近にあって違和感を感じさせない、大人しいデザイン。 (後ろの市役所の方が、よっぽど無愛想で、浮いています。) 外見は円形ですが、内部は、いくつかの常設室と小・中・大の展示室等から成っていて、 どうとも組み合わせて、見せることが可能。 基本的には、一階のみ(地下にも展示スペースあり-駐車場と連結)なので、 移動、搬出入も難しくありません。 ガラスの外枠のおかげで、開放感がありますし、 常設展示がばら撒かれているので、歩き回っても飽きない。 ----- ちょっと、ミュージアムショップが、入りにくいつくりかなぁ? でも、本の充実ぶりで帳消し。 大型本は、旅の初日だったので遠慮して、こんな本を買いました。 『ピクトさんの本』内海慶一 一読必笑。 この本を書かれた「ピクトさん学会」へのリンクはこちら。 ===== さてさて、今回、メイン会場で行われていたのは、『我が文明:グレイソン・ペリ-展』。 古地図を模しながら、自分の心象キーワードを地名の代わりに散りばめた作品や、 型紙はスタンダードながら、意匠が独特の衣裳作品、そして膨大な壷作品が並びます。 ----- 「ギリシア風」を模してみたり、コラージュの手法を多用したり。 一部には、セクシュアルな表現も散りばめられているのですが、その表現方法は、どこか女性的。 本人が写った写真作品を見ると、女性のようなのですが、実は男性なのだそうで、 そう言われると、『へドヴィグ・アンド・アングリー・インチ』に似た、独特の猥雑さが感じられます。 ===== 正直、作品そのものには、そこまでの感動は覚えませんでしたが、 感心したのは、小展示室に掲げられていたキッズ・プログラム。 「グレイソンを探してみよう」と題して、作者自身や、作者の父の象徴とされる熊を、 数々の作品の中から見付けよう、ということを、小学生にやってもらったのだそうです。 この視点は、鑑賞の手引として分かりやすく、当を得ているだけでなく、何より楽しそう。 ----- セクシュアルな表現は、形を変えた自己愛、憧憬の表現でもあるわけですから、 「作者自身」を見付ける、というのは、セクシュアリティに踏み込まずに、 作家の表現を理解する手近な方法だと言えます。 セクシュアルな表現が含まれているからと言って、小学生の目から隠蔽するのではなく、 別な形で、作家とのコミュニケートの手掛を与える、というのは、とてもスマート。 学芸員の方々のレベルの高さが窺い知れます。 ===== 次回は、『日比野克彦展』。 実は、もうプロジェクト自体は始まっていて、美術館を取り巻く朝顔こそが、 「明後日朝顔プロジェクト」の作品なのです。 これも、市民参加型の面白い企画。 詳しくはこちら。 私は、どうも日比野さんとは縁が薄いらしく、水戸の芸術館でも行き違いでした。 さてさて、会期中に、もう一度、金沢まで来れるかなぁ…? ===== 『我が文明|グレイソン・ペリー展』 My Civilisation : Grayson Perry @金沢21世紀美術館 (金沢) [会期]2007.04/28(土)~08/31(金) [開館]10:00-18:00(金・土は 20:00まで) [休館] 毎週月曜日 [料金]一般 1000円 / 大学生 800円 / 小・中・高生 400円 [作者] グレイソン・ペリー(Grayson Perry;1960-) ★★★☆☆ ===== 日比野克彦アートプロジェクト「ホーム→アンド←アウェー」方式 @金沢21世紀美術館 (金沢) [会期]2007.09/29(土)~2008.03/20(金) [開館]10:00-18:00(金・土は 20:00まで) [休館] 毎週月曜日 [料金]一般 350円 / 大学生 280円 / 小・中・高生 無料 [作者] 日比野 克彦(Hibino Katsuhiko;1958- ) お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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