カテゴリ:美術
このプロジェクトの主体は、アトリエ・ワン。
建築ユニットです。 ===== 美術展を回ろうとしていたら、聴講室の前に机が置かれ、 「夕暮れおしゃべりツアー」の看板が。 「えっと、これって、友の会会員限定なんですか?」 「ええ、そうなんです。」 「(しばし考えて)…今日会員になって、今日参加って可能ですか?」 「確認しますね…大丈夫ですよ。」 「じゃぁ、お願いして良いですか?」 「どちらにお住まいですか?」 「兵庫県なんです。」 「それでしたら、県外会員というのがあります。」 というわけで、県外会員に。 どうせ、きっとまた来…たいなぁ。 ----- さて、この企画、参加して大正解でした。 担当学芸員さんと、実際の作品を見ながら、企画意図から作品の解説、 アーティストの紹介までしていただく、という企画。 実は、今回が企画の初回だったそうで、館長の気さくな挨拶もあり、得した気分。 何より、プロジェクト担当学芸員の方による、丁寧な解説も分かりやすかったですし、 プロジェクトの作業場にお邪魔してメンバーの方々のお話をお伺い出来たのも、貴重な体験でした。 ===== さて、この『いきいきプロジェクトin金沢』は、街の活性化ををコンセプトに、 「街」の今を捉え直し、アイデアを提起していくというもの。 建築的というより、都市工学的なアプローチですが、基礎調査に際し、 様々な地域コミュニティからの聞き取りを出発点にしている所が面白い。 地元の人が望んでいることを汲み上げているわけで、一見突飛なアイデアも、 その意味で、地に足のついたものとなっています。 壁一面に掛けられている(取り外し可能な)黒板ボードが、 そのアイデアなり、研究発表の資料。 ----- 面白かったのは、「街角シネマ」というアイデアで、通り抜けの空き地にスクリーンを立て、 ロボット型のプロジェクター(張ボテの目の所にプロジェクターを仕込む)を使って 映画を投影する、というもの。 元の、学生さんのアイデアでは、町屋の壁に投影する、となっていたものを、 アトリエ・ワンとのディスカッションの中で、こういう形に練り上げられたそうです。 そう言えば、『ニューシネマパラダイス』に、そんなシーン、ありましたね。 変更後のアイデアは、クラフト・エヴィング商會さんの作品に出て来る、 「映画を水面に投影する」というのに近い気がします。 ----- でも、この「ロボット」というコンセプトは、少々、昭和の薫りがします。 えっと、つまり、これで『ローマの休日』は違う気がします。 寅さんとか、いや、やっぽり、今も昔も、特撮ヒーローかな? 子供達が目をキラキラさせながら、街角シネマを…今の子供じゃ、忙しすぎてダメかしら? 勉強より大切なことは、いっぱいあるんですけどねぇ。 ----- そういえば、同美術館の別プロジェクトで、 子供向けに、手回しシネマの制作をしていました。 例えば、岩井俊雄さんの作品なんかの、基本コンセプトは、そこにあるわけですから、 将来的にそういう才能が出てくれば面白いですし、 そうでなくても、子供には、目を輝かせる体験が必要なのですから。 ----- リアカー型黒板というのも見せてもらったのですが、 これは、裏に椅子が収納でき、どこでも青空教室が開ける、というもの。 なるほど、使いようによって面白いことが出来そうです。 ちょっと『ブラック・ボード~背負う人』を思い出しました。 ===== 閑話休題(それはさておき)。 場所を変えて、離れにあるプロジェクト・ルームヘ。 学生さん達も混じえてのメンバーが、プロジェクトを形にしていっています。 現在、まとめに入っているプロジェクトは、「町屋」を分類して、地図を色別けていく作業。 「町屋」を幅広く捉え、近代・現代の建物であっても、間口の取り方や、庇のつけ方など、 「町屋」的要素を受け継いでいれば、「町屋」として、プロットしていき、 その地図を、新しい街歩きの提案として作成する、という試み。 ----- 参加者の(地元の)方々からも、活発に質問が出ていました。 コンセプトを問う質問から、こういう通りを調査してみては、という提案、 「町屋」と街並に関する蘊蓄まで。 地元で育ってきた友の会の方々だからこそ出る質問であり、意見、提案でした。 こういうフィードバックは、恐らく学芸員さんの想定外でしょう。 いや、それにしても、友の会の方々、レベル高ぇ。 質問、意見のレベルが高すぎて、うなずくのが精一杯。 ----- 質問の中には、アイデアの実現に向けて、行政とどう協力していくのか、とか、 逆に、アートとして行政との緊張感をどう保つのか、といった、渋いものがありましたが、 方法論・手法論にこだわることなく、トータルとして、金沢がより「いきいき」した、 もっともっと素敵な街になれば、と思います。 建築やアートは、価値観に揺さぶりをかけ、街を変える力を持っています。 私は、人を幸せにできるアートの力を信じたいと思うのです。 ===== いやはや、それにしても、本当に楽しくて、あっという間の2時間でした。 学芸員さんたちに感謝♪ ===== アトリエ・ワン『いきいきプロジェクトin金沢』 @金沢21世紀美術館 (金沢) [会期]2007.04/01(日)~09/17(月・祝) [開館]10:00-18:00(金・土は 20:00まで) [休館] 毎週月曜日 [料金] 無料 [作者] アトリエ・ワン 塚本由晴&貝島桃代 ★★★★☆ お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
August 16, 2007 10:47:02 PM
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