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July 25, 2007
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カテゴリ:美術
スキン+ボーンズ」というタイトルは、
ファッションと建築を結ぶキーワード。

展覧会の中で、両者は、「身体」を守るシェルターであり、
アイデンティティの表現手段であるとして、同じ俎上に載せられます。

…難しい、ってば(苦笑)
しかし、切り口は新鮮で面白い。

ファッションと建築が一緒に並べられるなんて、そうそうないですし、
これらが双方向に与え合った影響なんて、考えたこともありませんでしたし。

-----
まぁ、社会人になってから、建築は気をつけて見るようになりましたが、
昔から「ファッションは苦手」でしたからねぇ。

つまり、ファッションショーとかでトップモデルが着てる服とか、
何がすごいのか、意味分かってないですから。

奇抜だし、高そうだし、普段着では着られそうにないし、
普通の人が着ても似合わなさそうですし。

なんて、「食わず嫌い」を抱えつつの今回の展覧会。
「知らない」だけに、新鮮さも格別でした。

=====
驚いたのは、ファッション・ショーそのものが、
かなり、現代美術の領域に踏み込んでいる点。

パリ・コレとかで、八頭身のスーパーモデルが、しゃなりしゃなりと
奇抜な格好で歩いている、固定的なイメージを持っていただけに
メッセージ性の強いファッション表現には、目を見張りました。

-----
ヴィクター&ロルフによる「ロシアン・ドール」という作品は、
簡素な服を着たモデルに、一枚ずつ服を重ねていく、というもの。
モデルは、段々と服にくるまれ、最後には大きなケープに覆われてしまいます。

それぞれの「衣服」の価値は、その上に重ねられた服によって覆い隠され、
逆説的に、それを着ている「人」の価値を強調しているように感じられます。

-----
あるいは、テス・ギバーソンの「構造1」は、円形に並べられたポールに、
次々に出てくるモデルが、自分の着ていた服を脱いで掛け、
一つの「シェルター」を作ってしまう、という作品。

解説によると、作者は「子供の頃にお城を作った記憶」から、この作品を考えたそうです。

=====
あまりに挑発的だったのは、フセイン・チャラヤンの、「ビトウィーン」。
イスラムの衣裳であるチャドルの丈が、モデルが変わるごとに段々と短くなっていき、
最後には、仮面だけ残した、裸身となってしまうのです。
正直、この表現方法は、宗教的な問題にまで発展しかねませんが、
ファッションという「言葉」を借りた、作者なりの主張なのでしょう。

-----
同じ作者による、「アフターワーズ」のメッセージ性はさらに強いものです。

4脚の椅子と、低いテーブルの置かれた部屋に、シンプルな衣裳のモデル。
彼女たちは、おもむろに椅子のカバーシーツを取り、それを裏返しにします。
それは、あっという間に彼女たちの身を包む艶やかなドレスへと変貌し、
椅子の枠組みは、折りたたまれてスーツケースへと変容します。

極めつけは、最後に残された円形のテーブル。
モデルが、その真ん中に立ち、テーブルを引き上げると、
それは同心円を描くスカートに早変わりします。
そして、モデルたちは去り、部屋からは何も無くなってしまうのです。

紛争において、「着の身着のまま」逃げ出さざるを得ない「弱者」を思う時、
この作品のもつ、独特の緊張感は、より切実なものとして感じられます。

-----
建築の側からは、このメッセージに対して、
坂茂の「紙の緊急シェルター」が一つの回答を指し示しています。

被災地で、ルワンダで実際に使用されたこのシェルターは、
単に「ファッション」で終わらない、実用性のある実践として、
語られる価値のあるものでしょう。

=====
フォーリン・オフィス・アーキテクツの「メビウスの輪」的な建築イメージと、
三宅一生の「一枚の布」との発想的近似、
また、同じく三宅一生のプリーツ構造が、建築に与えた影響、
知らないことばかりで、刺激になりました。

てか、コム デ ギャルソンが川久保玲さんって
日本のデザイナーによるものだってことも知りませんでしたよ、私は。

----
建築の方では、今回の旅行で見てきたばかりの
金沢21世紀美術館」by SNAA が取り上げられているのも嬉しかったですし
ザハ・ハディドなんて、聞いた名前があるのも楽しい。

一方で、知らない建築家の名前がいっぱいで、
自分の勉強不足を切に思い知らされる展覧会でもありました。

=====
それにしても、建築とファッションを同じ俎上に載せてしまう、
という今回の企画は、刺激的で新鮮なものでしたが、
多少、牽強付会かなぁ、と苦笑してしまう部分もないとは言えず。

建築なり、ファッションなりの知識が十分あって、はじめて、
「なるほど、面白い」と言えるのかな、という気がしました。

しかし、質・量ともに、見応えのある展覧会で、今後とも、
たとえ空振りに終わるのだとしても、こういう想像も出来ないような
ダイナミックな企画を立ててもらえると嬉しいな、と思った次第です。

----
一つ注文をつけるなら、カタログにファッションショーのDVDをつけて欲しかったなぁ、と。
うん。難しいであろうことは容易に想像がつくのですけど。

=====
『スキン+ボーンズ 1980年代以降の建築とファッション』

  @国立新美術館 (乃木坂)

[会期]2007.06/06(水)~08/13(月)
[開館]10:00-18:00(金曜は 20:00まで)
[休館]火曜日
[料金] 一般 1000円 / 大学生 500円 / 高校生 300円

作者:
 テス・ギバーソン (Tess Giberson;1971-)
 フセイン・チャラヤン (Hussein Chalayan;1970-)
 三宅一生 (Issey Miyake;1938-)
 川久保玲 (Kawakubo Rei;1942-)
 ザハ・ハディド (Zaha Hadid;1950-)
 坂茂 (Ban Shigeru;1957-)
 妹島和世 (Sejima Kazuyo;1956-)
 西島立衛 (Nishijima Ryue;1966-)SANAA

 ヴィクター&ロルフ (Viktor & Rolf)
 フォーリン・オフィス・アーキテクツ (Foreign Office Architects)


★★★★☆





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Last updated  September 30, 2007 04:18:18 PM
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mrtk@jp@ Re[1]:本と共に~「ぼくらはそれでも肉を食う」(06/19) >そらねこさん コメントありがとうござ…
そらねこ@ Re:本と共に~「ぼくらはそれでも肉を食う」(06/19) はじめまして。本の題名につられてお邪魔…
浅葱斑@ 心のハレっていいですよね? こんにちは。 誕生日の暦から今の自分、未…
I read your post and wished I'd wrtietn it@ I read your post and I read your post and wished I'd wr…
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