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カテゴリ:映画
原作:ジーン・ブリュワーの小説『K-パックス』。 SFファンタジー & ヒューマンドラマ。 古典的な建築様式で建造されたこのターミナルのメイン・コンコースは、巨大なドーム状の上部壁面にアーチ型の大きな窓を芸術的に配備し、光の空間を演出している。 忙しく行き交う人々の雑踏の中、降り注がれた光の中にサングラスをかけた一人の中年男が身動きもせずに立っている。男の名前は「プロート」。手には何も持っていない。 プロートはゆっくりと歩き始める。 プロートは老婆に駆け寄り手を差し伸べるが、駆けつけてきた警官に勘違いされ取り押さえられる。 「サングラスをはずして。」 「アンタらの星は本当に明るい。」 一部始終、様子を見ていた車いすの傷痍軍人の男が「犯人はチンピラで逃げた。」と証言するが、プロートという謎の男は手錠を掛けられ、そのまま精神病院へ移送される。 しかし、「自分は人間ではなく異星人だ。」と言うこの男の心電図、血液値、は正常で、脳震とう、脳腫瘍、発作 異常の兆候もない。 記憶喪失と妄想の症状があると診断され、3週間毎日300ミリの治療薬を投与されるが全く無反応。「幻覚薬中毒症」という病名で(薬物は検出されていない)マンハッタン精神医学協会へ転送される。
マンハッタン精神医学協会・臨床科部長、マーク・パウエル博士のもとにカルテNO.287自称「プロート」と名乗る患者が到着する。身元不明、失踪の届け出にも符合者なし。 マジックミラーの向こうからパウエル博士を見つけるプロートがいる。 「君の故郷は?」 「銀河系で訪ねた惑星は64個、ホモサピエンスは地球だけ。」
プロートはむしゃむしゃと動物が餌を食べるようにフルーツを食べる。そしてフルーツ以外は何も食べない。 ある日、医師たちは白光色に敏感なプロートの視界の幅を計測し、その数値に驚く。400オングストローム、紫外線を感知しているという。 医師たちがプロートの治療薬を模索している間、日を追うごとに院内の患者の様子に変化が表れ始める。患者たちがプロート(異星人)を信じ始めたからだ。ハウイはプロートからの任務だと言って庭に青い鳥を探し始める。
ホームパーティにプロートを招待し自分の家族に引き合わせたパウエル博士は、子供を扱うプロートのしぐさ、スプリンクラーの水の噴射に異常な発作を起こすプロートの様子に人の生活感を感じ、「プロート」と名乗る男の本当の名前、彼の過去を捜し出すことを心に決める。 そして、次第に明らかになっていく5年前のある事件。 男のささやかな幸福は無情にも粉々に打ち砕かれて、それは絶句するほど絶望的で悲しく胸が締め付けられる。
7月27日午前5時51分、太陽が昇る時、故郷の星へ帰るため、一人だけ連れていくというプロート。患者たちはどよめき、医師たちは真剣に彼の部屋を監視する。 結末は、予想に反し現実的で、それでいて謎めいていて最高のエンディングだと思った。 「宇宙は拡大し続け、はじけて崩壊する。そして再び拡大を始め、それを永遠に繰り返す。再び拡大した宇宙には元通りの世界がよみがえる。そして今の世界で犯した間違いを再び犯す。あらゆる間違いをまた犯すのだ。何度も何度も・・永遠に。だから今、間違いを正すのだ。今あるのはこの時だけなのだから。」 ケビン・スペイシーの、大人っぽく、穏やかで、知的で、柔らかい演技が本当に魅力的で引き込まれる。 なぜ、冒頭のシーンで、グランド・セントラル・ターミナルのメイン・コンコースが選ばれたのか。 それは、(私が思うのは)その高い天井に12宮の星座が描かれているから。 上部の大きなアーチ窓から大理石の床面に太陽の光が差し込む設計になっているから。 そしてこの建造物が、マンハッタンから各地を結ぶアメリカ合衆国の歴史ある鉄道駅でもあるからだと思う。
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最終更新日
2012.02.09 11:46:43
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