夏への扉
著者 : ロバート・A・ハインライン 訳者 : 福島正実 (1956年執筆:SF小説) 主人公ダンが飼っている牡猫ピートは、著者であるハインラインの愛猫ピクシーがモデル。冬のコネチカットの古い家で、「夏への扉」を求め続けるピートに家庭用品技術者のダンは彼の為に11もの扉を作ってやる愛猫家。ピュアな彼の発明への道は、文化女中器(ハイヤード・ガール)や窓拭きウィリー、子守のナン、下男ハリイや庭師ガスを兼ね備える、万能(フレキシブル)フランクを完成させること。 でも、親友のマイルズと秘書のベル(ダンの恋人)と共に設立した会社は営利主義の二人に裏切られ、マニックス財閥の傘下に入れられ各発明品、万能フランクの特許まで売り渡されてしまう。マニックスの言いなりになって自由な発明が出来なくなるのを拒んだダンは首になる。 自嘲症に陥るダンはバーで酒に浸り、窓越しに「ミュチュアル生命 冷凍睡眠保険(コールドスリープ・アシュアランス)の広告を目にする。1970年12月、30年先の未来に希望を託し、ダンはピートを連れて長期の冷凍睡眠に入ろうとするが、直前、マイルズとベルに思考力が衰える注射を打たれピートとも離れてしまう。でも、蘇生した2,000年の世界にマニックス財閥は存在しておらず、別会社に万能フランクの改造型の製図機ダンというロボットが存在していた。真相を究明する為、ダンはタイムマシン研究の権威トウィッチェル博士に会い、再び1,970年に戻る。 1956年発行の古い小説で、ハインライン の描いた1,970年も2,000年の光景もだいぶん違ってるけど、読みやすくて面白かった。 現代のロボット技術は人工知能の搭載と進化で小説を凌ぐ躍進を遂げている。 過去を形成し直し、ダンは愛猫ピートと求め続けていた温かい未来を見つけ出した。