ちゃと・まっし～ぐ～ら～！

今日は土曜日で、実家と定例電話懇談デー。
ひとしきり、また母のプールでのああだこうだという話だとか、その後、体調によくないところがないかとか、いろいろ聞く。
たいていは母と45分くらい話すとそれで電話を切ってしまうことが多いが、私が「おとん元気？」と言ったもので、母は父に電話を替わる。
「昨日あたりまでえらい寒かったけどな、まあおかげさんで風邪もひかんと機嫌ようやってますわ」と言った後、父が言う。
「それはそうとな、前に買うてもろた香水な、もうなくなってしもたんや。そやけどアレはもう廃番になってたて言うてたし、自分でインターネットで探して、アレとは違うけど一つ申し込んでみたんや」

父は10年くらい前から同じオードトワレを愛用している。
母なんか辛辣なことを言うもので「ジジイになったら年寄り臭くなるんやから、外に出かける時はちょっとエエやつパッパッと吹いて出かけんと嫌われる」が口癖だし、それは別としても、父のほうがだいたいお洒落な人なので、母に言われなくてもオードトワレをつけたり、私があげたマニッシュなスカーフをアスコットタイ風に結んだりするのが好きなのだ。
父のお気に入りのオードトワレはAramisのHavanaというシリーズで、柑橘系を効かせ、男性用に渋く辛口でまとめた香り。

私がどこかに出かけた時、自分が好きで買ってきたのだが、父はそれがかなり気に入ったようで、浮気せずにそれだけを使い続けてきたので、私も時期を見計らってはそれを父用に買ってきていた。

ある時に「お金出すし、次に行ったらまた買うてきて」と言われていたのに、どこを探してもHavanaが見つからない。
仕方なく「アレ、なかったし、一回別の方法で探してみるわ」と父に言って、本気で探し始めたところ、なんと発売から10年も経たないのに廃番になってしまっていたことがわかった。
アメリカの香水のサイトでなんとか見つかったので、50ml入りのスプレーを3本買って、送り先を実家にしておいた。
父はいつも「お金は出すし」とは言ってくれるが、そんなもの親子の間で別にもらおうとは思っていないし、カードで買って送り先だけ実家にしておいたら、それが無事ついたようで、父はよろこんで「ワシ、やっぱりあれでないとダメなんや」というメールを書き送ってきてくれた。
それが今から2年くらい前の話。

今日の電話で話を聞いていると、とうとうその時のストックがなくなってしまい、父としては私に迷惑をかけたくないと思ったらしく、インターネットで自分で探し始めたらしい。
しかし、どうしても探し切れず、結局、どこかのショップに入り込み、それぞれの香りの説明が書かれていたものの中からアラン・ドロンの「ショーグン」のごく小さいものを自分で買ったという。
78歳にして初のインターネットショッピングデビューだ。
私は「ショーグン」はどんな香りだか知らないが、とりあえず、ブツがついたら感想をメールしてきて、と言っておいた。
そして、今後もしも本当にHavanaが見つからなくなった時のために父に一つアドバイス。
私「お父さん、一回お母さんと一緒にデパートに行って香水売り場でいろいろ匂いを嗅がせてもらい」
父「そやけど、匂いだけ嗅いでエエのがあっても高かったら買えへんし、そこでほなサイナラとは
　　言いづらいやろ？焦って一つ買うて、後で『コレはやっぱりもひとつやった』というようでは困るし」
私「あのな、そこのお店の人に言うねん。
　　『もうちょっとしたら誕生日やし、好きなやつプレゼントするから、どれがええか先に探しとくように
　　娘に言われましたんや。メモしてよろしいか』て言うたら、たいがい向こうはイヤとは言わへんわ」
父「あ、さよか、そういう手があったかー！」
私「そうそう。誕生日でも結婚記念日でもなんでもええねん。とりあえずそう言うとくねん。」
父「相変わらず悪いやっちゃなー。（笑）」
私「ウソも方便、ていうのはこういう時に使わなあかんやん。
　　うちはお父さんもお母さんも私も好みが似てるし、お母さんも連れていきや。
　　2人とも『コレや』て言うものにしたら間違いないやろ。」
こうして、娘は父親に知恵をつけた。（爆）

父は、今回インターネットで買った「ショーグン」がそこそこ気に入っても、結局Havanaと絶対に比べると思う。
このHavanaは私もものすごく気に入っているし、自分用にも一つほしいくらいだ。
同じHavanaの女性用はたいした香りではない。
電話を切ってからもう一度、今のHavanaの在庫を置いているところがあるかどうかをインターネットで探してみたが、前に買った業者ではもう扱わなくなっているし、今回は探すのがかなり難しそうだ…
とは言っても、もうしばらく私は私で探してみよう。
でも、父も自分でまた他に気に入った香りを見つけてほしいなとも思っている。

30日は両親の43回目の結婚記念日だ。
こっそりお花を贈っておいた。