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2006年05月29日
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カテゴリ:イギリス
景気の悪い話ばかり書いてもしかたがない。
人間、1つのことだけ気にして生きていくと、勝手に自分を狭くしてしまうので今日はまた違うネタ。

こっちにいる友達・・・ちなみにTさんとしておこう・・・から実は長期に渡って相談を受けていることがあった。
Tさんはこっちに来てから知り合った友達で、最初に仕事についた職場の元同僚。
今は仕事も別々だが、生来気が合う性格だからか連絡は欠かしたことがない。

そのTさんの職場である、とある日系企業なのだが、今いろいろと問題を抱えている。
イギリスの日系企業というのは経営・運営・人事に難しいところがある。
日系企業の場合は取引先も日系企業が多いために日本人の従業員が多数を占めるが、取引先を日系企業だけに限ってしまうと儲からず、当然ビジネスチャンスは英系企業(というとちょっとおかしい。こちらが本来の企業なのだ)からも得ていかなければ企業は成り立たないからイギリス人の従業員も雇用する。
そこで出てくる問題がイギリスの雇用法であり、人事関係のトラブルの処理。
Tさんの会社は全体を見るとどうしても日本人が多い上に、日本での会社経営っぽい暗黙の了解的なやり方になってしまうが、イギリスの現地法人である以上、会社の経営の元になる法律は日系企業であってもイギリスの雇用法を採用しなければならない。
しかし、海外にある日系企業というのは得てして日本の親元になる企業から転勤の形で社員が派遣され、いきなり役員についたりしてしまう典型的なスタイルで、そういう人たちはイギリスの雇用法どころか意思の疎通のための英語からなんとかしていかなければいけないが、それは従業員たちの問題ではない。

イギリスの企業は基本的に他民族国家のようなものだから、企業経営の1つの鉄則として、従業員の人種・民族・性癖(ストレートでないタイプね)・宗教が多様であることを十分念頭に置いたルールを決めておかなければ大変なことになる。
会社と従業員が揉めて、会社が従業員を辞めさせたいような場合、その従業員が会社の中で同僚を殴ったとか会社の資金を横領した、というような明白な事実がある場合はその当人を辞めさせるのは簡単。
その場で監視者がついて机の中を片付けさせ、その当人が会社のものを持ち出したりメール添付で何か資料を送る操作をしたりする間髪を与えず自分の荷物だけを持たせ、会社の玄関からその当人を見送るばかりか駐車場までついていって駐車場からその車が出ていくまで監視する。
しかし少々曖昧な理由の場合・・・従業員の怠慢とか成績不振とか、はっきり質量で測りにくい事由の場合は難しい。
Tさんの会社、使えない社員から訴訟を起こされているのだ。
ある従業員に業務遂行能力が欠ける(怠慢・成績不振)という引導を渡すためにはまず「会社はその従業員を向上させるためにどのような協力・救済策=再研修とか、をしたか」の記録を取り、その従業員からも「再研修がありました、自分の向上に役立ちました、いいえ、内容が不足しています」等の内容を書かせてサインを取り付けたり、いわゆる証拠主義を取る。
会社ができる限りの救済策をとり、本人からもサインも取り付けたのに、最終的に向上しなかったのだ、と法廷で闘っても負けないだけの証拠が必要で「言った・言われた」では通用しない。
そういう手順や証拠が会社にないことを知っているTさんの会社の非日本人従業員は、自分の成績や素行の悪さを棚に上げて「日本人の多い会社だから非日本人の自分は不当な差別を会社から受けた」と言って法的手段に訴えてしまったのだ。

Tさんの会社の契約書には、雇用主と従業員の間でありがちな争議を解決するためのルールが会社からの契約書に書かれてなかったことを私は、Tさんからそれを前に見せられて知っていた。
「これ、絶対にやばいよ」と私は言い続け、Tさんも「そうだよね、なんとかしなきゃね」と理解し、事あるごとに会社の上層部に訴えかけていたにも関わらず、もともと人事とは関係ないTさんの意見は無視、というのでもないが、ともかく会社が軽く考えていたら、きっちり訴訟に巻き込まれてしまったのだ。
Tさんから私がどうして相談を受けていたかというと、私はイギリスの雇用法の研修を前の会社でイヤイヤやらされてきたからだ。
その雇用法の研修を最初に受けた時、出てくる言葉、出てくる言葉が一語もわからない上、辞書をひいても言葉のコンセプトがわからなくて、思わず昼食時に当時の上司に電話して「一言もわからないし、いてもムダだから帰らせてくれ」と訴えたが無視された。
当時その研修を受けさせられた日本人は私だけで、後は全部ガイジン(いや、私がガイジンだが)ばかりで、ロールプレイなどをやらされても私と組まされた相手のほうがかわいそうというような苦境に陥っていた。
その後も3ヶ月に1度くらい同じような研修を受けさせられているうちに、雇用法の言葉には慣れ、社内の処分の手続きもぼやーっとわかってきた。

Tさんから問題を聞いた時にびびったのは、Tさんの会社では、問題の従業員を取るに足りないとほぼ黙殺していたが、その従業員が取った法的措置は教科書通りの定石だとわかった時だった。
「Tさん、私が見ただけの話だけどTさんの会社、この人に負けちゃうかもよ」と私が言うとTさんは驚いて「そんなに深刻?その従業員は本当に使えない人なんだよね」と言う。
Tさんの人を見る目は以前から確かだし、その従業員に対する見解は会社でも疑いはないらしいが、これまで研修でやってきた雇用法の内容からすると、その従業員のとった方法は正攻法。
本人の質がどうかは関係なく、対処のノウハウをまったく持っていないTさんの会社がどう考えてもやばい、というのが私の結論だった。

ここで初めて深刻な事態だと考えた私は、知り合いの弁護士のA氏に電話してみた。
A氏はTさんともつながりがあってTさんも自分で何度か連絡していたらしい。
A氏も忙しいので、最初にメールでTさんのところの件で私が心配に思う部分を送っておいてから後で電話したのだが、A氏は「ちゃと、メール見たけど、キミの推察は全部ドンピシャリだよ。どうもTさんのところは、会社全体が最初から誰もイギリスの雇用法を知らないし、ぜんぜんルールが存在していないところが何よりいちばん問題だね。今の訴訟はちゃとの想像通りたぶん負けるよ。残念だけど。まあ賠償金はあの通りにはならないだろうけど1/4くらいになるかな。Tさんの会社にとっては高い授業料だね」と言った。
「やっぱりね。なんだかTさんの会社だったら私が訴訟起こしても勝てると思ったよ」と言うとA氏は「ボクもそう思うよ」と笑っている。
「ボクが雇用法の研修を受けたのは何年も前だから、たぶん今だったらちゃとの知識のほうが新しいんじゃない?それにしてもよくがんばったもんだね」とA氏。
「違う違う。実はアレ、好きでやってたわけじゃなくて前の会社にいた時に強制的にやらされただけで本当はずーっとイヤだったの。日本人の私がこんなもの受けないといけないのかと思って、最初の回に半泣きになってとんずらカマしてしまうつもりだったし、結局はあそこの会社の私の課じゃ一度もそんな法律を実際に使うような場面もなかったし、自分でちゃんと理解してるかどうかもぜんぜんわからなかったんだけど、今回はTさんの話を聞いてやばいなと思っただけで」と答えると「あのメールに書いてた君の解釈はまったくあの通りなんだよ」とA氏からちょっとうれしいことを言ってもらう。
「思ったんだけどさ、これから自分のビジネスとしてロンドンにある日系企業に対して雇用法の講習会を自分でやってみたら?」とA氏は言う。
「雇用法自体はもちろん日本にもあるだろうけど、概念がイギリスのものとは違うし、イギリス人の講師が説明するものを日本人が聞いて理解するのは難しいんだよ。だから、もしもそれを知っている日本人がいるなら、ボクはその日本人が概念のギャップを埋めながら日系企業に研修をするのがいちばんいいと思うけどね」と、日本にもいたことのあるA氏は言った。

そっかぁ・・・そういうビジネスも考えたらできなくはないな、とちらっと思った。
A氏は前から「ちゃとはイギリスで法律を勉強するのが向いていると思うから、その気になったら行ってきて」と言ってくれていた。
まあ、そこまで調子に乗ってもいけないかとは思うが、今のところはTさん個人の相談顧問みたいになっている時間も結構おもしろい。





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Last updated  2006年05月29日 02時03分15秒
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王島将春@ Re:また祭日に書いている・・・(11/23) はじめまして。福井市在住の王島将春(お…
背番号のないエース0829@ Re:初夢(01/03) 今回こちらのtitleです。 もしよろしかっ…
誰やねんっ20号@ Re:また祭日に書いている・・・(11/23) 御無沙汰しとります。 気がつきゃもう年…
べる@ Re:また祭日に書いている・・・(11/23) ってことは次は12月23日? 早くアジ…
yokko_888@ おかえりなさ~い 一気に寒くなりましたが、ちゃとさん、お…
にゃんきち@ Re:また祭日に書いている・・・(11/23) アジアやオセアニアは日本から近いですよ…
ちゃと0508@ panasea75さん パナセァさん、おこんばんは~~~。 そ…

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