カテゴリ:友人・知人
実は、先週の週末も昨日の日曜もみつこさんのところにお邪魔していた。
先週の週末は「ウチの近くの日本食のレストランに一緒に行かない?」という話だったので、それに乗っかった。 みつこさんちに行くといつも時間をかけて煮込んだ料理が出てくるので、それが心苦しかったが、よそで食事をして、後でお茶一杯頂けるならそのほうが都合がいいし。 ということで、先週末はいったんみつこさん宅の前に車を置いて、繁華街までふらふら歩きながらレストランに行き、そこで食事をしてからみつこさんちに帰ってきて、それから談笑していた。 とにかくみつこさんのご主人のジョージが、とてつもない日本びいきなのだ。 日本びいきといっても、キモノ~とかスキヤキ~で喜ぶレベルにはとっくになく、強烈に答えにくいことをいつも聞かれるのだ。 必ず出てくるのがどうしても宗教の話。(爆) 私も別に嫌いではない。 嫌いではないというが難しいところからの話ができるわけではないので、例えば、日本の恐怖映画の「リング」について、とか。 あの映画を観たことがある人ならわかると思うが、そういう怖い存在が向こうからひゅ~~~っと、またはぐわぁ~~~っと出てくると、私たちは出そうな瞬間から肩を詰め、来そうだと思いながら怖がる準備にはいるか、または準備完了前にその瞬間がやってきてやられてしまうかのどちらかだ。 昔から幽霊=足がなくてはかなげで髪がざんばらで地を這うように出てくるものと決まっていて、すたすたリズミカルに歩いてくるような幽霊は想像されにくい。 要するにどぉーーーっと下から出てくるような存在とか、一瞬でばきっと出てくる存在というのが私たちにとっては怖いし気味悪いしショッキングだ。 まず「化けて出る」という発想に、大多数の日本人はやっぱり無条件に弱いと思う。 ところが、である。 以前からこの日本の「リング」で、貞子が出てくるような場面でガイジンはわはわは笑っている人が多く、そこにわー、きゃー、というリアクションはあまり見られなかった。 いわゆる、ひゅーどろどろ系というものに対してガイジンは怖いとか気味悪いとかいう感覚はぜんぜんないらしい。 その代わり、例えば「オーメン」で出てくるような666という数字であるとか「エクソシスト」の中で出てくる悪魔祓いのようなシーンに対してとか、いわゆるクリスチャニティ(キリスト教信仰)の中での不吉さ、前兆というもののほうが、ひゅーどろどろ系よりこちらの人には怖いらしい・・・が、これは私はまったく怖いとは思えない。 そういう話をしているうちに、では仏教というのはどういうコンセプトでの宗教か、というような話になり、キリスト教というのは「善」があり「悪」があり、「天使」がいて「悪魔」がいる、というような極端な存在の対比を前提としているが仏教の場合は0があれば100もあるが30も70もあるというような、ある種、連続的な流れの中で度合いの存在を認めている信仰なのではないかという話になったり。 (いや、これが正しいのかどうかは知りませんよ、あくまでもウチ夫婦とみつこさん夫婦との間の話なので) そのうち、仏教の話から禅の話になるので(ガイジンはこの禅宗、という考えがめちゃくちゃ好きみたい)実際には禅宗は今の仏教の主流ではないこと、主流はあくまで浄土に衆生で救済されに行こう、というような浄土教だと思うよという話に移動していく。 すると今度は、平安時代から鎌倉時代に至る歴史の中で、どうしてそれまでは文化人の宝庫の時代のようだった平安時代の後期から武将が台頭して鎌倉時代に移行していったのか、それは課税制度の制定で徴税や納税、荘園ごとの揉め事や何かの利害関係の解決に武力を頼むことが増えてきたからではないかとか。 じゃあ、そうなると話はイタリアのチェーザレ・ボルジアの統治下に非常に似たところがあるなとか、妹のルクレツィアは近親姦だったというのは有名な話だとか(でも私はこのへんの話はぜんぜん知らない)4人で話し出したら暴走の一途を辿ってしまう。 あまりにも話が吹っ飛ぶことが多いので、みつこさんちへの訪問は体調がよくないとできないのだが、たぶん私たちが日本に帰るまでにはこれが最後になるかなと先週思っていたら、たまたまみつこさんのPCが何か問題があったらしい。 会社でみつこさんの話を聞いてみたが、今一つそのPCの問題の状態がみつこさんの話からは見えないので「じゃあ見に行ってあげるよ」ということで昨日の再訪となったのだ。 私はみつこさんのPCと格闘し、クマイチは、以前使っていた音楽の機器をジョージにもらってもらい、その使い方を説明しながらちょっとセッションをやってみたりして、今日は早く帰るねと言っていたのに、やっぱり予定よりかなり遅くなったのにまだみつこさんの家にいた。(笑) ジョージは会うたびに「ちゃとが日本で幸せなら、それをどうこう言ってはいけないんだけれど」と言いながら、昨日もまた言った。 「やっぱりキミはこっちで勉強して法律家になるべきだと思う。どんなに苦しくても難しくても達成できる人だと思うんだ。だから、どんなサポートでもするから、もしも日本で行き詰ったら絶対にすぐにこっちに戻ってきて、それをすべきだと思う」 今、帰国すると決めてからそれを言われると私はとても苦しいのだ。 一人になった母のこともあるし、今から帰国の撤回はどうしてもできない。 ジョージは「でも、日本でもキミは絶対に目標は達成できるよ、というか、そのためにミスターヤマムラはちゃとを呼んでいるんだから、」とも言ってくれる。 本当のところは自分ではよくわからない。 今、人生でいちばん自信を無くしている時期だと自分でも思うが、そういう時に、根拠もなく自信を無くしてはいけないと言ってくれる人がいる。 みつこさんちで、ジョージにそう言われながら、そのジョージの言葉にうんうんとうなずいて時々口を挟むクマイチの言葉を聞きながら、私は泣けて泣けてしかたがなかった。 その私をみつこさんが向かい側から黙って見ていた。 たぶん私は今の今、自分に何ができて、何ができないかをいちばんわかっていない一人なのかもしれないと思った。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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