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カテゴリ:ミクロの世界
水中や土壌には線虫(せんちゅう)がいます。
線虫とは基本的には、体節を持たず、無色透明で原体腔があって・・・百聞は一見にしかず。 下図をご覧ください。 図1 : 線虫の一種 このタイプの生物を、『線形動物』と分類し、通称 『線虫』 と呼びます。 みんな大好きな寄生虫も線虫の仲間です。 寄生虫の類は研究は進んでいますが、そこら辺でフリーライフを満喫しているタイプは ほとんど研究がされておらず、生態は不明です。 ---------- 2002年のノーベル生理学・医学賞は、Cエレガンスという線虫の研究が受賞しました。 その研究内容で興味深かったのは、細胞の数が正確にカウントできたことです。 Cエレガンスの成虫の雄は細胞数が1031個であり、 細胞分裂初期からの細胞の系譜が容易であったことです。 また、DNAの塩基対はたった9.7×10^7個 (97000000個)であり、 80%近くが配列が決まっていないユニーク配列だそうです。 それは塩基1つを文字1つで対応させると・・・どれくらいでしょうか? 本棚で文字数が多そうな本を探すと広辞苑がありました。 大体1ページの文字数は、25文字 × 50行 × 4段 = 5000文字 広辞苑後半は文字が少ないので端折って、全体で2000ページなので、 5000文字 × 2000ページ = 10^7文字 (10000000) ・・・ということはCエレガンスは広辞苑2版なら10冊分の情報からなっていることになります。 しかし全体の8割近くはユニーク構造なので、実質的には生きていくためには 広辞苑2版の2冊分の情報が必要なようです。 ---------- 図2 : 線虫の一種 これは毛が生えているタイプです。 えらそうにそこらじゅうをのし歩いていました。 ---------- 線虫はおよそ1億種いると見積もられており、全てを調べるのは現段階では不可能です。 いつしか全自動で生態を調べ上げる装置が出来るかもしれません。 それを検証する人間が絶滅したにもかかわらず。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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