カテゴリ:下手詩
「自分の頭を叩く男」
困ったことがあると、自分の頭を叩く男がいる。 右腕に力を込めて、頭をこめかみを頬を思い切りやるのだ。 何故そんなことをするのか。 彼は言う。自分をおとしめたいのだ、と。 ヒトから堕落したい。ゴミになりたい。ゴミになると成立する、と。 ヒトである自信を持て余すんだと。 彼はその行為が見苦しいと知っているらしく、殴るときはベランダに行く。 しかし、彼よ!君の殴る鈍い音は誰かを殴っている音なのだよ。 ずるいではないか。 君の痛みより、何倍も何十倍も何百倍も痛い人がいるのだよ。 知っているのか。知らないのか。アピールだろ? 全世界に痛みをアピール。 「石ころ帽子」をかぶる勇気もない癖に。 7階だろ?どうだい?そこから飛び降りては? それが出来ないなら、ゴツン、ゴツン、ゴツンの音を黙して飲み込めよ。 誰かいるんだろ? その音を聴いてくれる誰かがいるんだろ? それは奇蹟だよ。 まんざらでもないんだよ、セカイは。 400年も生きてきた俺が言うんだから間違いない。 誓えよ。 愛する人の前で。 誓えよ。 もうしないって。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2006.05.26 10:45:10
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