結婚26年アメリカ人夫婦の会話&晩ご飯日記

「おめでとう、なながアメリカ人になってからの初めての独立記念日だね」ベットの上で、私の髪を優しく耳にかけて、Qちゃんは私の耳元でそういった。

何もいわないで、白い枕に顔を埋めていた。

私がアメリカ人になってもう8ヵ月になった。 何か、変わったことはあっただろうか。 何か不自由なことはあっただろうか。

書類なんかで、ステイタスの隣の枠に印をつけるときに、今まで Permanent Residentだったのが US citizen にかわったくらいだ。 結婚して、名前が『濱田』から『アディソン』に代わったようなもんだ。

独立記念日、一般アメリカ人は何をするか。

ここ3年、休日は働きっぱなしだったから、予定を立てなくてもよかった。 オフだったとしても、家族や友人の独立記念日BBQパーティーに参加させてもらうくらいだろう。

祝いとは、何なのだろうか。

独立記念日はアメリカ国民にとって盛大な祝日だが、アメリカ国民1年生の私にはまだピンとこない。

祝いとは、年中事項の儀式に過ぎない。仲間や家族が集まって、 楽しい音楽や会話、美味しい料理を分け合うこと。今年もまたそうした儀式を行えること、自分(達)がこうして生きていること、それを感謝します。と、いう具合ではないだろうか。

私とQちゃんは、こういう儀式は進んでしない。 私はワイワイガヤガヤの祭が好きだが、Qちゃんは嫌いだ。 あるときから、私も祭やイベントに足を出さなくなった。

車が少ないね。 皆、お家で家族や友達を招待してポテトチップスや西瓜をかじっているのかな。

窓を眺めながら、Qちゃんに云ってみる。 アパートから見下ろした道、今日は朝から人の気配がしない。

ジョギングをする人、犬の散歩をする人、休日の仕事に出勤する人。 右指で数えるくらいしか、今日は見てない。

Qちゃんは、寝転んでイギリス小説のドラマを見ている。 テーブルには、仕合わせさんから頂いた中国菓子と、ジェファーからもらったWhite Tea。

私が働いていたときは、こういう國の祝日に、二人揃ってオフというのは考えられなかったはずなのに。 今、こうして、毎日がオフになっている私には、彼の休日は彼を安ませてあげることが第一候補になっている。

独立記念日、皆は何を食べるのかなあ。 BBQとかさ、グリルで焼けるハンバーガーとかさ、ホットドックかな?

なんか、お腹が空いてきた。 朝ごはん、何か作るけど、一緒に食べる?

朝ご飯:



ソーセージ
サワークラウト
ポテト
目玉焼き
コーヒー

Qちゃんのプレートはこっちだよ。



ソーセージ
サワークラウト
ポテト
スクランブルエッグ
芥子菜

「WOW! WOW! WOW! 独立記念日ブレックファーストだね」

二人で、 アメリカンな朝食をとる。 今日は 4th of July。 朝食だけは、4th of July。

「どこか、行こうか? 行きたいとこはあるかい? 連れていってあげるよ」

食事を済ませたQちゃんがいう。

どこに行くんだろう。 賑わうダウンタウン、人の群れの中に入ってカメレオン。

どこに行きたいんだろう。誰もいない森林公園で、空跳ぶ蛾になるか。

どこにも行きたいばしょはない。 何もしないで、独立記念日。 こうして、Qちゃんと二人で独立記念日。私にとって、それは、贅沢な独立記念日。

毎日が記念日。 昨日とは違う、明日にはない記念日。 Qちゃんがいなくなって、私が一人になったら「記念日(特別な日)」はなくなる。

それほど、Qちゃんを好きになってしまった。

2009年の独立記念日、まるで恋に悩んでいるような私が窓の前に立っていた。夜空の花火を見上げるには、まだ時間がある。