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奈良県の社労士・行政書士 大和侍 の 徒然日記

奈良県の社労士・行政書士 大和侍 の 徒然日記

継続雇用制度Q&A

急速な高齢化の進行等に対応し、高年齢者の安定した雇用の確保等を図るため、事業主は、(1)定年の引上げ、(2)継続雇用制度の導入、(3)定年の定めの廃止、のいずれかの措置を講じなければならないこととするとともに、高年齢者等の再就職の促進に関する措置を充実するほか、定年退職者等に対する臨時的かつ短期的な就業等の機会の確保に関 する措置の充実を図ることを内容とする改正高年齢者雇用安定法が平成16年6月5日に成立し、平成16年12月1日から施行(高年齢者の安定した雇用の確保等を図るため措置については平成18年4月1日から施行)されました。
特に中小企業さんでは継続雇用制度の導入が最も多いと思われますが、私たちがよく受ける質問等を下記にまとめてみました。


Q. 継続雇用制度について、定年退職者を継続雇用するにあたり、いわゆる嘱託やパートなど、従来の労働条件を変更する形で雇用することは可能か。その場合、1年ごとに雇用契約を更新する形態でもよいか?
A. 継続雇用後の労働条件については、高年齢者の安定した雇用を確保するという改正高年齢者雇用安定法の趣旨を踏まえたものであれば、最低賃金などの雇用に関するルールの範囲内で、フルタイム、パートタイムなどの労働時間、賃金、待遇などに関して、事業主と労働者の間で決めることができます。1年ごとに雇用契約を更新する形態については、改正高年齢者雇用安定法の趣旨にかんがみれば、年齢のみを理由として65歳前に雇用を終了させるような制度は適当ではないと考えられます。

Q. 継続雇用を希望する者について、定年後、子会社やグループ会社へ転籍させ、転籍先において65歳までの雇用が確保されていれば、親会社として高年齢者雇用確保措置を講じたものと見なしてよいか?
A. 改正高年齢者雇用安定法第9条の継続雇用制度については、定年まで高年齢者が雇用されていた企業での継続雇用制度の導入を求めているものですが、定年まで高年齢者が雇用されていた企業以外の企業であっても、両者一体として一つの企業と考えられる場合であって、65歳まで安定した雇用が確保されると認められる場合には、改正高年齢者雇用安定法第9条が求める継続雇用制度に含まれるものであると解釈されます。具体的には、定年まで雇用されていた企業と、継続雇用する企業との関係について、次の1及び2の要件を総合的に勘案して判断することとなります。
1.会社との間に密接な関係があること(緊密性)              具体的には、親会社が子会社に対して明確な支配力(例えば、連結子会社)を有し、親子会社間で採用、配転等の人事管理を行っていること。
2.子会社において継続雇用を行うことが担保されていること(明確性)  具体的には、親会社においては、定年退職後子会社において継続雇用する旨の、子会社においては、親会社を定年退職した者を受け入れ継続雇用する旨の労働協約を締結している又はそのような労働慣行が成立していると認められること。
また、その子会社が派遣会社である場合は、継続雇用される労働者について、「常時雇用される」ことが認められることが必要であると考えられます(派遣先がどこかは問いません。)。具体的には、次のいずれかに該当する限り「常時雇用される」に該当すると判断されます。
1.期間の定めなく雇用されている者
2.一定の期間(例えば、2か月、6か月等)を定めて雇用される者であって、その雇用期間が反復継続されて事実上1と同等と認められる者。すなわち、過去1年を超える期間について引き続き雇用されている者又は採用(再雇用)の時から1年を超えて引き続き雇用されると見込まれる者
3.日々雇用される者であって、雇用契約が日々更新されて事実上1と同等と認められる者。すなわち、2の場合と同じく、過去1年を超える期間について引き続き雇用されている者又は採用(再雇用)の時から1年を超えて引き続き雇用されると見込まれる者
※雇用保険の被保険者とは判断されないパートタイム労働者であっても、1から3までのいずれかに該当すれば「常時雇用される」と判断されます。


Q. 同一グループ内の子会社同士であるA社とB社において、A社の定年到達者をB社に転籍させ、転籍先において65歳までの雇用が確保されていれば、A社は高年齢者雇用確保措置を講じたものとみなしてよいか?
A. A社、B社ともに親会社Xの連結子会社等である場合であっても、A社とB社の間では「緊密性・明確性」の要件を満たしていると認められないような場合には、A社は改正高年齢者雇用安定法が要請する高年齢者雇用確保措置を講じたものとは認められません。ただし、A社とB社が「緊密性・明確性」の要件を満たしていれば、この場合におけるA社は改正高年齢者雇用安定法が要請する高年齢者雇用確保措置を講じたものと判断されます。
Q. 55歳の時点で、
1.従前と同等の労働条件で60歳で定年退職
2.55歳以降の雇用形態を、65歳を上限とする1年更新の有期雇用契約に変更し、55歳以降の労働条件を変更した上で、最大65歳まで働き続ける
のいずれかを労働者本人の自由意思により選択するという制度を導入した場合、継続雇用制度を導入したということでよいか?
A. 高年齢者が希望すれば、65歳まで安定した雇用が確保される仕組みであれば、継続雇用制度を導入していると解釈されるので差し支えありません。なお、1年ごとに雇用契約を更新する形態については、改正高年齢者雇用安定法の趣旨に鑑みれば、65歳までは、高年齢者が希望すれば、原則として契約が更新されることが必要です。個々のケースにおいて、改正高年齢者雇用安定法の趣旨に合致しているか否かは、更新条件がいかなる内容であるかなど個別の事例に応じて具体的に判断されることとなります。


Q. 本人と会社との間で賃金と労働時間の条件が合意できず、継続雇用を拒否した場合も違反となるか?
A. 改正高年齢者雇用安定法が求めているのは、継続雇用制度の導入であって、事業主に定年退職者の希望に合致した労働条件での雇用を義務付けるものではありません。よって事業主の合理的な裁量の範囲の条件を提示していれば、労働者と事業主との間で労働条件等についての合意が得られず、結果的に労働者が継続雇用されることを拒否したとしても、改正高年齢者雇用安定法違反となるものではありません。ただし、平成25年3月31日までは、その雇用する高年齢者等が定年、継続雇用制度終了による退職等により離職する場合であって、当該高年齢者等が再就職を希望するときは、事業主は、再就職援助の措置を講ずるよう努めることとされておりますので、当該高年齢者等が再就職を希望するときは、事業主は、求人の開拓など再就職の援助を行う必要があります。

Q. 継続雇用制度の対象者に係る基準を労使協定で定めた場合は、労働基準監督署に届け出る必要はあるか?
A. 常時10人以上の労働者を使用する使用者が、継続雇用制度の対象者に係る基準を労使協定で定めた場合には、就業規則の絶対的必要記載事項である「退職に関する事項」に該当することとなります。このため、労働基準法第89条に定めるところにより、労使協定により基準を策定した旨を就業規則に定め、就業規則の変更を管轄の労働基準監督署に届け出る必要があります。しかし、継続雇用制度の対象者に係る基準を定めた労使協定そのものは、労働基準監督署に届け出る必要はありません。


Q. 継続雇用制度の対象者に係る基準として、「過去○年間の人事考課が○以上である者であって、かつ、会社が必要と認める者」と基準を含めることは可能か?
A. 継続雇用制度の対象者に係る基準の策定に当たっては、労使間で十分協議の上、各企業の実情に応じて定められることを想定しておりますが、労使で十分に協議の上、定められたものであっても、事業主が恣意的に継続雇用を排除しようとするなど、改正高年齢者雇用安定法の趣旨に反するものは認められません。質問の基準の組み合わせについて言えば、たとえ「過去○年間の人事考課が○以上である者」という要件を満たしていても、さらに「会社が必要と認める者」という要件も満たす必要があり、結果的に事業主が恣意的に継続雇用を排除することも可能となるため、このような基準の組み合わせは、改正高年齢者雇用安定法の趣旨にかんがみて、適当ではないと考えられます。なお、例えば、「過去○年間の人事考課が○以上である者、又は、会社が必要と認める者」とした場合については、「過去○年間の人事考課が○以上である者」は対象となり、その他に「会社が必要と認める者」も対象となると考えられるため、改正高年齢者雇用安定法違反とまではいえません。



Q. 継続雇用制度の対象者に係る基準として、「協調性のある者」や「勤務態度が良好な者」という基準を設けることはできるか?
A. 改正高年齢者雇用安定法の趣旨にかんがみれば、より具体的かつ客観的な基準が定められることが望ましいと考えられますが、労使間で十分協議の上定められたものであれば、改正高年齢者雇用安定法違反とまではいえません。


Q. 労使協定では、通常、労働組合の対象者(組合員)のみを念頭に規定するので、労働組合法上の労働組合に加入できない管理職については労使協定で、『定年時に管理職であった労働者については、別途就業規則で定める』と定め、別途就業規則で、基準を定めることは可能か?
A. 過半数を代表する労働組合と労使協定を結ぶことを求めているのは、基準について労働者の過半数の団体意思を反映させるとともに、使用者による恣意的な対象者の限定を防ぐことにあります。このため、定年時に管理職であった労働者についても基準を定める場合には、過半数を代表する労働組合等との労使協定の中で定める必要があります。なお、管理職を対象に含む基準が労使協定の中で定められていなければ、管理職については、改正高年齢者雇用安定法第9条第2項の要件を満たす基準が設定されていないので、希望者全員を継続雇用制度の対象としなければ、公共職業安定所の指導の対象となります。


Q. 労使協定で、特定の職種についてのみ規定することとし、他の職種については労使協定で、『○○職であった労働者については、別途就業規則で定める』と定め、別途就業規則で基準を定めることは可能か?
A. 過半数を代表する労働組合と労使協定を結ぶことを求めているのは、基準について労働者の過半数の団体意思を反映させるとともに、使用者による恣意的な対象者の限定を防ぐことにあります。このため、労使協定で対象とする特定の職種以外の他の職種であった労働者についても基準を定める場合には、過半数を代表する労働組合等との労使協定の中で定める必要があります。 なお、当該他の職種を対象に含む基準が労使協定の中で定められていなければ、当該他の職種については、改正高年齢者雇用安定法第9条第2項の要件を満たす基準が設定されていないので、希望者全員を継続雇用制度の対象としなければ、公共職業安定所において指導を行っていくこととなります。

Q. 職種別に異なる基準や管理職であるか否かによって異なる基準を定めることは可能か?
A. 継続雇用制度の対象者に係る基準の策定に当たっては、労使間で十分協議の上、各企業の実情に応じて定められることを想定しておりますので、労使間で十分に話し合っていただき、労使納得の上で策定されたものであれば、改正高年齢者雇用安定法違反とはなりません。


Q. 継続雇用制度の対象者に係る基準として、「○○職(特定の職種)の者」や「定年退職時に管理職以外の者」という基準を設け、特定の職種や管理職以外の者のみを継続雇用する制度は可能か?
A. 改正高年齢者雇用安定法の規定からは可能ですが、高年齢者が年齢にかかわりなく働き続けることのできる環境を整備するという改正高年齢者雇用安定法の趣旨にかんがみれば、職種や管理職か否かによって選別するのではなく、意欲と能力のある限り継続雇用されることが可能であるような基準が定められることが望ましいと考えられていますので、各企業で基準を定める場合においても、改正高年齢者雇用安定法の趣旨を踏まえて、労使で十分話し合っていただく必要はあります。




【基準例】


●は厚生労働省の継続雇用制度の対象者に係る基準事例集によるもの
○は●以外によく利用される基準


【働く意思・意欲に関する基準の例】

● 引き続き勤務することを希望している者
● 定年退職後も会社で勤務に精勤する意欲がある者
● 本人が再雇用を希望する意思を有する者
● 再雇用を希望し、意欲のある者
● 勤労意欲に富み、引き続き勤務を希望する者
● 定年退職○年前の時点で本人が再雇用を希望し、気力について適当と認められる者
○ 定年退職前の3年間の人事評価において、「働く意思、意欲」の点でA評価以上と判定されていること

【勤務態度に関する基準の例】

● 過去○年間の出勤率が○%以上の者
● 懲戒処分該当者でないこと
● 人事考課、昇給査定において、著しく評価が悪くないこと
● 無断欠勤がないこと
○ 過去○年間の遅刻・早退・欠勤日数が月平均○日以下であること
○ 過去○年間に出勤停止(減給、戒告など)以上の懲戒処分を受けたことがないこと

【健康に関する基準の例】

● 直近の健康診断の結果、業務遂行に問題がないこと
● 直近○ヶ年の定期健康診断結果を産業医が判断し、就業上、支障がないこと
● 60 歳以降に従事する業務を遂行するうえで支障がないと判断されること
● 定年退職○年前の時点で、体力について適切と認められる者
● 体力的に勤務継続可能である者
● 勤務に支障がない健康状態にある者
○ 60歳定年を迎える1年前より継続して、再雇用する職務に求められる健康状態を、産業医による健康審査(定期健康診断とは異なる)により確認できること


【能力・経験に関する基準の例】

● 過去○年間の賞与考課が管理職○以上、一般職○以上であること
● 過去○年間の平均考課が○以上であること
● 人事考課の平均が○以上であること
● 業務成績、業務考課が普通の水準であること
● 工事・保守の遂行技術を保持していること
● 職能資格が○級以上、職能レベル○以上
● 社内技能検定○級以上を取得していること
● 建設業務に関する資格を保持していること
● ○級土木施工管理技士、○級管工事施工管理技士、○級建設施工管理技士、○級電気工事施工管理技士等の資格を有し、現場代理人業務経験者または設計者である者
● 技能系は○級、事務系は実務職○級相当の能力を有すること
● 定年時管理職であった者、または社内資格等級○以上の者
● 企業に設置義務のある資格または営業人脈、製造技術、法知識等の専門知識を有していること
○ 部長職の在任年数が○年以上であること
○ 営業経験が○年以上であること
○ 勤続年数が○年以上であること
○ 定年退職時直前○年間の人事評価が、全て(あるいは平均)△評価以上であること


【技能伝承等その他に関する基準の例】

● 指導教育の技能を有する者
● 定年退職後直ちに業務に従事できる者
● 自宅もしくは自己の用意する住居より通勤可能な者
● 勤続○年以上の者
○ □□□の技能について、△レベル以上を有する者のうち、指導者としての適正が、役員会議等で推薦された者
○ 過去3年間、自己過失による人身事故、免許停止等重大な交通違反がないこと
○ 協調性のある者、勤務態度が良好な者






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