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夏希ヒョウの世界へようこそ

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2015年05月18日
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カテゴリ:漫画道
カリスマ・テーマ・読者の想像を超えた展開など
「一歩」には不足していると述べましたが、もう一つは“ヒロイン”の存在です。

ジョーが パンチドランカーになったのも、力石が死んだのも、カーロス・リベラが廃人になったのも、全ては葉子が原因である。
もちろん、彼女の思惑とは別の結果。

力石は過酷な減量に耐え切れなくなって、遂に水を求めて水道の蛇口に向かってしまった。
しかし、見張り役の練習生が(葉子の指示で)蛇口に針金を巻きつけて、水を出せなくなっていた。
それでも、減量に耐えかねて水を求めて暴れる力石に、人間としての弱さを見た葉子は嬉し涙を流しながら、
「これを飲んだからといって 力石徹が力石徹でなくなることなんて絶対にないのよ! 
 私は、あなたが人間としての弱さを少しでも持っていてくれたことが、とても嬉しい」
と、コップ一杯の水を差し出した。
その言葉で自分を取り戻した力石は、水を捨てて“打倒矢吹”に更なる決意を誓った。しかし、その葉子の言葉がアダとなって力石は帰らぬ人に。

カーロス・リベラは、(力石を殺して、ボクサーとして立ち直れない)ジョーの野生を蘇らせるために葉子がベネズエラから来日させた。
そして、ジョーと戦い廃人に。

野生・ジョーはリベラとの試合で再生したかに見えたが、まだ納得しない葉子は「野生児・ハリマオ」を刺客として送り込んだ。

結果、それがジョーのパンチドランカーの症状を悪化させる原因になった。
彼らは葉子に翻弄されたといえる。(だから女は恐ろしい)


財閥の娘がボクシング界に関わることで色んな弊害(へいがい)を生んだが、一番そのことを表しているセリフがあった。
それは、試合中にコーナーで休憩しているジョーが、リングのコーナーから(リング外の)葉子に向かってうがい用の水をブッ掛けながら、
「女が俺達の世界に顔を出すんじゃねぇー!!」
と、怒鳴るシーンである。
ただの町のチンピラにセレブなお嬢様が恋をする……という設定は、原作者の意向だと思われるが、これが作画家にはよく分からなかったらしい。
だから、紀子が出てきたと思われる。
(原作には、紀子はいなかったらしい)

普通の娘が“ささやかな幸せ”を求めてジョーに恋をするが、結局彼にはついていけなかった。

完全無欠の世界チャンピオン、ホセ・メンドーサとの試合で廃人になるかもしれないリングに向かうジョー。
しかし、葉子は控え室で愛の告白をすると共に(パンチドランカーの)ジョーを引き止める。
「廃人となる運命が待つリングに、あなたを行かせるわけにはいかない」
という、葉子を振り払うジョーのセリフが格好よかった。

「リングには、世界一の男が俺を待っているんだ」

ジョーは試合が終わった後、葉子に試合で使ったグローブを手渡す。
「これを……アンタに、 受け取って欲しいんだ」
これは、ジョーの精一杯の愛情表現だったのだろう。
実はジョーは葉子に初めて会った時、一目惚れしていた。
しかし、意地っ張りな彼は、そのことをひた隠しにして葉子に突っ張っていたのだ。それも、好きなればこそ。自分に素直になれない子供のような心境である。
しかし当初、葉子はチンピラ・ジョーには目もくれず、力石に恋をしていたと思われる。(力石もまた葉子に恋をしていた)
それが、結局は巡り巡ってジョーと葉子が……という運命のいたずら。
そのジョーは、葉子によってパンチドランカーを加速させ、廃人に……。

やはり「あしたのジョー」は、いろんな意味で名作である。

つづく。





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最終更新日  2021年09月04日 23時49分37秒
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