政治家の胸中 老川祥一 岸信介晩年
岸信介晩年の長生きの秘訣三条件は「ころぶな、風邪をひくな、義理を欠け、この三つです」と、年をとってから、ころんで寝ついてしまうと、足が弱ってそのまま病院から出られなくなる、だから絶対ころんではいけない。風邪、これもあぶない。たかが風邪と思っていると肺炎になって死んでしまう、もう一つは義理を欠け、である。知人の葬式などにいちいちつきあって、寒い時に出棺まで見送るということをやっていると、風邪をひいてしまう。これが長寿の秘訣だと笑っていたが、その実、岸さんは義理堅くて、義理をつくす。亡くなるきっかけになったのは、義理で出かけた先でころんで、腰を打って入院し、そのうちに風邪から肺炎を起こしてしまったという。自分のことになると思うとおりにはできないものだろうか。