夜に誘う、危険な花 (アメリカチョウセンアサガオ)
夕方になると、ダイニングの出窓からむせるほど濃厚な甘い香りが入ってきます。この誘うような妖しい香りの主は径10cmもある大きな白い合弁花。夕暮れとともに夜空に向けてたくさんの白いラッパがいっせいに開いて幻想的な饗宴が始まります。花粉の媒介を夜行性の蛾に頼ろうとする花は夜に目立ちやすい白い花が多くて、香りも甘く濃厚。蛾を誘ってるわけだけど、人も誘われる(笑)実を言うとこんなに大きくて派手な花はちょっと苦手で植えるつもりもなかったんだけどどこからか種が・・・。ダイニングの出窓の下に勝手に育ち始めたそれ。産毛に包まれた左右不対象のやわらかな葉はベルベットの手触り。おぉ、ういやつじゃ、と見守っていたらそれがアメリカチョウセンアサガオでした。ぐんぐん大きくなって、今や草丈1m、1日に10個以上の花が。一夜だけの薄命な花で、翌日の午前中でしぼんで落ちてしまいますが次から次へとつぼみが・・・。明日は私の番・・まだ小さいつぼみにも、葉にも茎にもやわらかい毛。が、果実になると一変して、かたくて鋭いトゲトゲ~。熟すと、果実がはじけて・・扁平な茶色い種をたくさんこぼします。この、なかなかに魅力的な植物。見つけたら、ぜひぜひ、ベルベッティな葉に触ってみて(*^-^*)ただし華岡清洲が日本初の乳がんの手術で麻酔薬として使った「チョウセンアサガオ」の仲間。全草に、ヒヨスチアミン、アトロピン、スコポラミンなどのアルカロイドを含む毒草です。草の汁が目に入っただけで瞳孔が開いて、調整障害が起きるそうです。この根を「ごぼう」と間違えて食べるといった事故も報告されていてその場合は、おう吐、瞳孔散大、呼吸のみだれ、けいれん、呼吸困難のようにわりあい重度な症状が・・・。夜に誘うアメリカチョウセンアサガオは危険な香りに満ちている(笑)お気をつけ下さいね。 ◆◆ アメリカチョウセンアサガオ ☆ 豆知識 ◆◆■学 名 : Datura inoxia (Datura meteloides)■和 名 : ケチョウセンアサガオ アメリカチョウセンアサガオ ■流通名 : ダチュラ ■英 名 : Dawny thorn apple , Devil's apple■分 類 : ナス科 チョウセンアサガオ属 ■原産地 : 北米南部 ■タイプ : 多年草(非耐寒性)