生活保護者問題
こんばんは、謎の不動産屋、Mr.Xです。本日は読者の方から質問があったので、生活保護者の入居について思う所を書きたいと思います。(書くネタが不足気味のため、トピックの提供をいただけると大変嬉しいです)。さて、大家さんにとって、生活保護者を入れるメリットには次の様なものがあります。 一、家賃が安定的に入る。 但し、家賃が確実に入ってくるための方策をたてる必要があります。(市町村から直接入金してもらったり、保証会社の保証を付ける、など)二、長期間にわたっての入居が見込める。 生活保護者は高齢であったり、そもそも仕事に就けないために生活保護を受ける人が多いため、いったん入居してしまえば滅多なことでは余所へ引越しません。三、市町村の定める上限家賃で契約できるので、物件によっては募集家賃より高く貸せる場合もある。 30,000円で募集している部屋を、生活保護者に貸す場合に35,000円に値上げするなど・・・。 但し、単に値上げするだけでは足元を見ているようなので、 その代りにフリーレントを付けるとか、入居時一時金の一部を大家持ちにするなどの交換条件も必要です。※入居時一時金は、月額家賃の上限とはまた別に、市町村によって上限が設定されています。 例えば、ある市で月額家賃は35,000円が上限でも、一時金は家賃の3ヶ月分までが上限という条件だったとします。 家賃30,000円、敷金2ヶ月、仲介手数料1.05ヶ月、保証会社への保証料25,000円、火災保険料20,000円、鍵交換代15,000円の物件の場合、 市から下りる一時金は敷金60,000円と仲介料の一部30,000円の合計90,000円だけです。 仲介料の消費税分1,500円と、残った諸費用分を全部合計すると、61,500円ですが、この分は入居者本人に負担してもらう他ありません。 これを家賃35,000円に値上げし、その代わりに保証料25,000円は大家で持つということにすれば、入居者負担額は36,750円に軽減されます。 (さらに鍵交換を省略し、旧鍵のままで引き渡すことにすれば、21,750円ですみます)。 大家が負担した保証料は、家賃アップ分の5ヶ月分で回収できます。 (但し、保証料と火災保険料は2年ごとの更新時にもかかるので、更新時以降は入居者に負担してもらうように、最初によく理解させておかなければなりません)。 なお、生活保護者の場合、2~3万円すら自己負担できない人も多いですが、そうかといって敷金は負けない方がよいです。 理由は次に述べるデメリットで明らかにします。生活保護者を入れる時のデメリットには次の様なものがあります。一、人物的な問題から生じるお金の面以外でのトラブルが起きる可能性がある。 ゴミ屋敷にされるなど・・・。 といっても、それ以外に特に思い当たるようなトラブルはありませんので、余計な心配かもしれませんが、生活保護者は一般人よりもモラルが低い場合があります。 こういうと差別的ととられるかもしれませんが、経験上、そういう人が多いです。 もちろん人それぞれの属性や、生活保護を受けるようになった経緯によりますので、よくよくその辺の事情を把握して、入れるかどうかを判断しましょう。二、高齢者や病気がちの人の場合、亡くなるリスクがある。 面倒をみる家族がいないために生活保護を受けている場合が多いので、これもよく事情を聞いて、 いざ容体急変という時に誰か駆け付ける人がいるのかどうかを確認しておきましょう。 (単なる独居老人よりは、生活保護者の方が市の福祉課の職員が定期的に連絡を取るので安心だという意見もありますが、 よほど心配な病気でない限り、職員もそう頻繁には訪問したりしないと思います。 また、市の職員は公務員ですので、少なくとも夜間と土日には決して連絡が取れません)。 メリットの二で、長期間の入居が見込めると言いましたが、そのことは同時に、死ぬまで住み続けるということにも考えられるので、解約される時は亡くなる時だということになります。 (入院するとか、親戚の家に引き取られるとか、就職して引越すという場合もありますが・・・・・・)三、生活保護を打ち切られるケースもある。 入居者が就職したような場合は、生活保護は打ち切られます。 給料が少しばかり入るようになっても、かえって以前よりも生活が苦しくなり、家賃を払えないという場合も考えられます。 また、市に隠れて密かに行っていたバイトがバレたり、本来持っていてはいけない車を持っていることがバレた場合も、生活保護は打ち切られます。 これも、入れるかどうかを決める前によく事情を聞いて、本来働ける年齢なのに生活保護を受けているような場合には、 近々働く予定はないかどうか、またズルをしそうな人かどうかなどをよく確認しましょう。 但し、保証会社の保証が付いていれば、生活保護打ち切り後の家賃も回収してくれます。四、解約後の原状回復費用を払ってもらえないリスクがある。 月々の家賃は取りっぱぐれることはありませんが、解約後(退去、または死亡)の支払いまでは市も保証してくれません。 もちろん一般の人でも取れないリスクはありますが、生活保護者はまとまったお金が無いことが明らかな人たちです。 そのため、敷金は原状回復に足りる分だけ(部屋の大きさによって1~2ヶ月分)を預っておきましょう。 また、保証会社の中には原状回復費まで保証してくれるところもありますが、面倒な手続きはあるので、敷金があるにこしたことはありません。五、ヤクザの女である可能性がある。 ハッキリと実例を知っている訳ではありませんが、聞くところによると、ヤクザは自分の息のかかった女に生活保護を受けさせることがよくあるそうです。 年配の大家さんに時々いますが、昔は単に単身女性というだけで、悪い男を引き入れるからという理由で入居を断っていた時代もあったそうです。 私は若いころ、まだ不動産屋に勤めて半年ぐらいの時に、これで失敗した経験があります。 中年の単身女性をファミリータイプの広い間取のマンションに決めたのですが、大家さんからどうも怪しいという不審の目を向けられました。 私はそれにもかかわらず、大丈夫ですよと押し切って契約してしまいました。 しかし、入居させてから一週間目に、その部屋にヤクザ風の強面の男が出入りしていることが判明しました。 そこの大家さんからはたいそう責められたものです。以上、考えられるメリットとデメリットです。デメリットの方は、引越理由と経緯をよく把握し、また人物面を含めた審査をすることである程度のリスクを防げます。また、敷金を預かったり保証会社を付けることを怠らなければ、十分安心できると思います。そこまで対策を講じた上で、いったん入れてしまえば、後は長期安定入居者になります。 ですので、私は大家業を経営的に考えるのならば、生活保護者を入れるのに賛成です。 ただし、入れるのに反対な大家さんは実際のところ、とても多いのが現状です。いろいろな理由で断られますが、つまるところは、「まっとうに働いていないのはけしからん」ということのようです。まあ、これはそう言われても、しょうがないといえばしょうがないとも思います。なんといっても、生活保護で家賃として支給される金額の原資は、働いている人が納めた税金ですからね。本当に可哀想で生きていけないような人もいれば、単に制度に甘えている人や、ズルしてるだけの人もいますので・・・。入れるべきかどうか、モラルの面ではまだまだ議論の余地はあると思います。経営面だけ見れば、入れても良いと思います。Mr.X