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カテゴリ:歯とアゴと顔の人類学
「グローバル・ハウス」に展示された世界初公開の700万年前の”人類最初の顔”(トゥーマイ)
提供:フランスーチャド古人類調査隊(MPFT) http://www.expo2005.or.jp/jp/N0/N2/N2.6/N2.6.69/index.html 2005年4月6日 (財)2005年日本国際博覧会協会 フ ランス・ポワティエ大学教授、ミッシェル・ブルネ博士率いる、フランスーチャド古人類調査隊(MPFT)は、世界的科学雑誌「ネイチャー」の4月7日号 に、中央アフリカ・チャド共和国から2001年に発掘された、700万年前の人類最古の祖先の頭骨「サヘラントロプス・チャデンシス」を、先端科学技術を 使って3次元的に復元したことを発表した。これによって“人類最初の顔”が明らかになった。「サヘラントロプス・チャデンシス」は、現地語で「生命の希 望」という意味の「トゥーマイ」という愛称で親しまれている。 世界最古の頭骨「トゥーマイ」を中心とした「人類の起源」の展示は、2005年3月 25日より、愛・地球博「グローバル・ハウス」にて開催されているが、今回、ネイチャー誌に、ブルネ博士等の新たな論文の発表によって4月7日から、 700万年前の“人類最初の顔”の復元像を世界で初めて展示し、一般に公開する。 これまでほぼ完全なかたちの頭蓋骨の化石の復元は、およ そ300万年前のものはあるが(ルーシーなど)、近年、新たに発掘されている400万年以上の化石は、顎や歯など部分的なものばかりで、顔を復元出来るほ どの元となる頭蓋骨が発見されていない。(発見されている部分だけでは、学術的な復元が困難)しかし、「トゥーマイ」は、現在、発見されている人類の化石 の中で最古の頭骨にして、ほぼ完全なかたちで見付かった。これによって、私たちは、人類最古の祖先がどのような顔をしていたのかを理解できる画期的な研究 となった。 発見時「トゥーマイ」は、化石化する過程で頭骨が湾曲し亀裂が生じてしまっていた。(頭骨がつぶれた状態:グローバル・ハウスでも展 示)そのためCTスキャンを使って3次元モデル化し、つぶれていない、当時の状態を復元した。(グローバル・ハウスでも展示)。その後、解剖学的な法則と 制約に従って肉付けをおこない、最後に3次元リトグラフを使ってコンピュータ上で復元を完成させた。復元の一貫性を検証するために2つ独立した方法を用い た。1つは、幾何学的なもので、もう1つは、解剖学的なものである。チーム2名、それぞれ専門的な研究者が、両方の過程を2度ずつおこなった。これによっ て、「トゥーマイ」は、類人猿ではなく、ヒト科のものであるということが確固たるものとなった。 「グローバル・ハウス」では、この 「トゥーマイ」の一連の復元過程の展示だけでなく、700万年前の化石だと裏付ける重要な展示もおこなわれている。「トゥーマイ」復元像の周りには、水、 サバンナ、草原、森など、当時、「トゥーマイ」が暮らしていたであろう環境に区別された、30あまりもの魚、亀、カバ、キリン、サルなどの哺乳類の化石も 展示されている。この生態系は、今回のネイチャー誌の表紙を飾った、「トゥーマイ」復元像の背景となっている、現存する環境では似ていると思われている、 ボツアナのオカバンゴ・デルタと同じ様な環境を意味している。「トゥーマイ」は、700万年前にこのようなモザイクな地勢環境の中で生活し、2足歩行をし ていたと思われている。チャド共和国のジュラブ砂漠には、火山性堆積物がなく、一般的に年代を決定するアルゴン等放射性同位体元素を利用した年代測定を行 うことができなかったため、「トゥーマイ」の周辺で発掘された同年代の多くの哺乳類の化石を用いて、生物年代学的な動物相を使って年代を特定した。また、 ウラン235やベリウム12等の放射性同位元素を使った検証もおこなわれた。 今回、ネイチャー誌では、「トゥーマイ」復元像の発表の他 に、2001年以降にジュラブ砂漠で発見された、ヒト科の化石8点(4つの下顎の断片、4 つの別々の歯)に関する論文も掲載され、2足歩行した裏付けやケニアやエチオピアで発見されている400万年以上前の人類化石とは歯の形態が異なり、独自 の種であると分類されることを確認した。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2006年04月09日 01時30分48秒
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