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「俺、占ってもらったら早死にするって言われた。」 これがもやしみたいな、もしくは見るからに「オタク」な兄ちゃんが言ったのならふんふんと聞き流して忘れてしまったかもしれない。 ところが、どうしても死にそうにもない熊みたいな大男が言ったから、あまりのアンバランスさに 「そうなの?・・・」 と言ったままこれと言ったコメントができなかった。 そう、すごく大きな人だった。 私一人ぐらいきっと片手で持ち上がっただろう。 昔家電会社に勤めていて、冷蔵庫ぐらい一人で運んでいたと聞いたことがある。 もっともそのせいで腰を痛めて退職することになったらしいが。 トラックの運ちゃんがすごく似合ってた。 ご多分に漏れず酒好きで、「おいしいお酒」を教えてくれた人だった。 いつも「おいしい料理」が一緒に出てきて、ついつい「飲み会」をねだっていた。 料理も酒も彼持ちだったんだから、今から考えてもずいぶんわがまま言っていた。 でもいやな顔一つしないひとだった。 はじめてあったとき、彼に「あんちゃん」とあだ名を付けたのは私だ。 「あんちゃん」と呼ぶと本当にお兄さんができたみたいですごくうれしかった。 おいしいコーヒーが飲みたい、と言うとコーヒーミルを用意し、 おいしいカレーを食べさせるために三連休、鍋の前で過ごし、 当時劇団をやっていた私のために、搬入搬出から、 あの大きな手で繊細な小道具まで作ってくれた「あんちゃん」 あんまり「あんちゃん」って連呼するものだから最後はみんな「あんちゃん」で通ってた。 占いで言われたからって何も本当に若死にすることないじゃないか! 結婚式ならいいけれど葬式に呼ばれたってちっともうれしくないやい! あんちゃんの青ざめた顔、はじめてみたよ。 あんちゃん、いっぱいありがとう。 でも、ご冥福をお祈りしますなんていえない。 だって、なんだかお芝居の続きみたいで、全然信じられないから。 ごめんね、あんちゃん。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2006年09月26日 20時19分50秒
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