Divorce-離婚- その5
R(元旦那)との別居を前後して、ワタシはヘザーから紹介された日本人セラピスト(さちさん)からドメスティックバイオレンスのトラウマ克服のためのカウンセリングを受けていた。さちさんは、小柄だけど、理知的な大きな瞳がとても印象的なおだやかな女性だった。彼女はこれまでにも多くのDV被害者と関わって来ており、離婚に関することにもいろいろと情報をくれた。そんな彼女が紹介してくれたのが、離婚や移民法を主に取り扱っている弁護士、デビッド(仮名)だった。ワタシはデビッドとの面会を経て、彼を雇う事に決めた。弁護士費用は$1500。離婚を取り扱う弁護士費用では決して高い料金ではなかったが、当時のワタシには大出費だった。しかし、一刻も早くRとの関係をきちんと清算したかったワタシは、信頼していたさちさんの紹介でもあるし、実際にあったデビッドの印象が、信頼するものに足るものだと判断したのだったが...(これが後々、間違いだった事に気づかされるんだけどね)。そうして、デビッドを雇ったのが2002年の3月。デビッドの事務所に勤めるパラリーガルは、早速書類の作成に取りかかり、数週間後にはRに書類を届けるべく、アクションをとり始めた。しかし。その頃のRは、電話では連絡が取れるが、住んでいる場所が不明になっていた。そのため、デビッドの事務所では、Rに連絡を取り、離婚の書類を受け取りにくるように依頼した。Rは、いついつに取りにいく、とは返答するものの、約束の時間をすっぽかすという事を数回にわたって続けた。そんなある日。ワタシの職場に怒り狂ったRから電話がかかって来た。『せっかく今日、デビッドの事務所に書類を取りに行こうとしているのに、どこにあるのかわかりゃしねえじゃないか!いったいお前らはどういうつもりなんだ!etc,etc』まったくこいつは、救いようのない馬鹿である。デビッドの事務所は南カリフォルニアの某都市のダウンタウンにあり、Rはその町に住んでいる(いた)。いわば、Rにとっては庭のような町であり、デビッドの事務所のあるビルは、Rも絶対知っているはずなのだ。ようするにRは、場所をよく探しもしていないのだった。結局その日、奴がデビッドの事務所に現れる事はなかった。その頃には時は既に2002年の6月後半に差し掛かっていた。Rと別居を開始して8ヶ月、デビッドを雇って4ヶ月が既に過ぎようとしていた。(つづく)