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2024.04.19
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2024/04/13    夢の泪 こまつ座149回公演 東京裁判三部作 第二部     
紀伊國屋サザンシアターTAKASHIMAYA、    作:井上ひさし、演出:栗山民也、音楽:クルト・ヴァイル、宇野誠一郎、音楽監督:久米大作、 
 伊藤菊治:ラサール石井、伊藤秋子(妻):秋山菜津子、伊藤永子(娘):瀬戸さおり、    竹上玲吉(老弁護士)久保酎吉、田中正(新人所員):粕谷吉洋、    ナンシー岡本:藤谷理子、チェリー富士山:板垣桃子、片岡健(永子の恋人):前田旺志郎、ビル小笠原:土屋佑壱、ピアノ演奏:朴勝哲



図1  20240413 こまつ座 夢の泪 チラシと半券から

 ピアノ奏者が客席前下手扉から登場し、舞台下手客席フロアに置かれた一寸古びた感じのピアノ演奏が始まって開演。休憩時間15分以外、多分ずっとピアノ演奏が多分ほぼ一定のリズムで続いていて、それがこの芝居、多分オペレッタというべき、の基調を決めていた様なのだ。・・なぜ客席にいたのに曖昧な言い方をするのか。 

 この芝居、第二次大戦で日本降伏直後の1946年からの東京裁判で、太平洋戦争がどの様にして引き起こされてきたのか、そのメカニズムと関与した軍部為政者始め多くの人々のあり方を明らかにすることが出来ると期待し、そのために膨大なエネルギーを注いだ法曹関係者、特に弁護士サイドの物語なのだ。  
 夫婦弁護士の、ラサール石井の演じる夫は下町の民事弁護士。二人のキャバレー歌手が、それぞれ親しい人からあなたの持ち歌にと歌詞楽譜が渡された。歌っていたら、私だけの歌と思っていたのを別の一人が同じ事を言って歌っている。どっちかが取った、盗作だ裁判だ。夫弁護士が関係者から聞き取ったところ、戦地の隊内で偶然知り合った音楽好き三人組が密かに曲作り密かに合唱を楽しんでいた。しかし要の作詞作曲の名手が病に倒れ戦病死。残された二人は彼の残した最高の作品を書き写しそれぞれに復員した。そして二人はそれぞれの最愛の女性にあなただけの歌にと、その楽譜を捧げたのであった。 盗作騒ぎは深い思い出と反戦への絆の歌になった。  
 妻弁護士は我が国で女性が法曹界に出られるようになった第一世代の一人である。東京裁判の弁護団への誘いが彼らの尊敬する大御所弁護士からきた。更に、担当する戦犯は、かの国際連盟から大演説を行って脱退宣言した松岡洋右と決まった。離婚の危機にあり娘が心痛していた話は、妻に降って来たこの大きな役割に吹っ飛んだ。夫は事務所総出で全面協力体制に ・・・・・

 井上ひさし流の軽妙洒脱なストーリー展開に重く深い本質論主題が優しく噛み砕かれて客席に浸透していく。 ほんの瞬間、歌詞ではない普通の台詞が挟まれ、あっ、今までの話の展開はすべて独唱合唱等々の歌詞で語られてきていたのだと思い起こされる。その裏にずっと流れている筈のピアノの旋律は意識の外になっているままで。 
  
 第2幕は約20年後の安保闘争時代、大きな法律事務所になった夫婦のオフィスに法務事務員として娘も加わり、戦後を語る。   

 この脚本に井上ひさしが託したメッセージは、3時間にわたる上演時間に何の瑕疵もなく完璧にやり遂げたピアノ演奏、完璧な和声で完璧に歌詞の内容を伝えきった全員の高い音楽性・歌唱力、その音楽が黒子に徹していた、そして参加者全員の井上ひさしの思いに寄り添うまとまりによって、鮮明に客席と共有されていた・・・・と思う。
 ラサール石井がこの芝居の諸処において真ん中という感も、舞台の終わった後の時の経過とともに記憶の核として次第に浮き上がってくる。そして何となく感じる、多分本人たちは断固否定しそうな井上ひさし・ラサール石井を結ぶ潜在的カトリック精神の絆も。


『中古』夢の泪





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最終更新日  2024.04.19 21:20:30
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