【ジェフ・ベック・モデルの誕生】
ジェフ・ベックは、エリック・クラプトンの代わりとして伝説のバンド「The Yardbirds」に加入するやいなや、世界中の音楽ファンに愛されるギター・プレイヤーとして人気を博しました。その後の1967年にはロン・ウッド、ロッド・スチュワートと共に自身のバンド「Jeff Beck Group」を結成、70年代にはソロ・アーティストとしても活動し当時の音楽シーンで最も勢いのある人気ギタリストの1人となりました。その人気絶頂期のジェフ・ベックのプレイを支えたギターこそ、ギブソンのレス・ポールだったのです。
【Blood from Gold and Blow By Blow】
ある時、レコーディングのためにテネシー州メンフィスを訪れていたジェフ・ベックは、地元で有名な「Strings and Things」という楽器店に立ち寄りました。その時、ジェフ・ベックの目にとまったギターこそ、一人のユーザーがモディファイのためにお店に持ち込んでいた「'54 Les Paul」だったのです。
そのギターは、オリジナルのゴールド・トップのフィニッシュを濃い焦げ茶色にリフィニッシュされ、光の加減ではOxblood(くすんだ濃赤色)に見えました。さらに、オリジナルの「P-90」ピックアップはハムバッキング・ピックアップへ、50年代初期のラウンド・ネックはよりスリム化され、チューナーも新しいものに交換されました。
この改良されたギターを一目で気に入ったジェフ・ベックはすぐに持ち主から買取り、その後自身の多くのレコーディングやツアーで使用、数々の名演を生み出したのです。ジェフ・ベックに愛されたそのギターは1975年の自身の名盤「Blow By Blow」のアルバム・カバーにも登場し、ここに伝説のギター・サウンドが誕生したのです。