飯田橋にも未踏らしきエリアがあったようだ
若い頃、今はなき(といっても物件跡は未だ当時のまま)飯田橋ギンレイホール(及び併設のピンク映画館のくらら)に足繁く通ったものです(カッコ内のくららはあまり気の利いた作品が上映されることがなかったたま指折り程度)。当時は相当に貧乏生活を送っていたので、映画と映画の合い間に時間を潰そうと思っても喫茶店などで浪費するようなことはできなかったのだ。図書館などの公共施設で過ごそうとはなぜか思わなかったのですね。じゃあ何をしていたかというと、ひたすら歩いていたのでした。映画漬けの日常で足腰の衰えをどこかで不安に感じていたのかもしれません。とにかくただただ歩いていたのです。でも人というのは闇雲に盲滅法歩くなどできるはずもないのです。ぼくの場合は、とにかく朝は早朝から開館する、例えば桜木町にあったヨコハマニュース劇場なんかに向かい、次に川崎の川崎国際劇場、そして次が大井町の大井武蔵野といったスケジュールをこなすわけですが、こういう京浜東北線の沿線でハシゴするとなるとどうしたって沿線沿いを繰り返し歩くことになり、多少脱線しても意識としては常に京浜東北線の線路に沿って歩こうという意思が働く訳です。例外的には多少脱線が過ぎてしまうと持ち前の方向感覚の乱れからとんでもない場所を進んでいることに気付くこともあるけれど、そうなると次の上映開始時間が気になって風景煮など目がいかなくなるのです。純粋に行き先を決めずに散策できるようになるには公共交通機関の縛りから脱するしかないのかもしれません。というか、散策者としてあるまじき蛮行ではありますが、タクシー利用に躊躇しないようになれない限りは自由に町歩きできるようにはなれないんじゃないかなんて思ってしまうのです。 と当初想定していた話から逸脱してしまいましたが、飯田橋も散々歩いている割には首都高速5号池袋線沿いというか神田川沿いを歩くことはほとんどなかったようです。いや、北岸はそこそこ歩いているはずですが、なぜか南岸側を歩いた覚えがあまりないのです。というのが、「中華 アオキ」を目撃した記憶がなかったからで、単にこの渋い中華屋さんを覚えていなくてもまあ仕方のないことですが、以前は恐らくこの通りには居酒屋などの飲食店が立ち並んでいたように思われるから、記憶の琴線に触れることがあっても不思議ではなさそうなのです。ともあれこの外観を目にしてしまっては、いくらお腹が空いていなくても立ち寄らざるを得ないのでした。昼下がりではありましたが、幸いにもまだ営業中です。調べるとこちら、11時から16時までの営業時間と訪れる機会はそうそうなさそうだったので、改めて入っておいてよかったなあと思ったのです。しかしまあ、店の方たちを見るとまだまだ現役世代が活躍されているので、当分は変わらず営業を続けられるように思われます。取り急ぎビールをもらったら、ビールしかないというお答え。特に意地悪だった訳じゃなくて、以前は清酒も提供していたからそう仰っただけと理解します。さて、すでに書いたとおりすでにそれなりにお腹は満たされていたので、まるまる1食分を食べ切るのはちょっと自信がありません。こういう場合2名だと助かるなあ。餃子とソース焼きそばをもらうことにしました。どちらも普通よりちょっと美味しいかな。というかコチラの料理は値段もそこそこするのですが、とにかく盛りがかなりのものなのです。だからでしょうか、腹を空かせたお客さんたち(いかにも食欲旺盛って感じの人ばかりだったような)がポツリポツリと訪れるのでした。今度来る機会があったらやはりしっかり歩いて腹を空かせてから訪れるべきでありましょう。