夜が待ち遠しい

2020/03/14(土)08:30

護国寺の寂しい路地裏蕎麦屋で呑む

文京区(83)

護国寺は、何もない町だなどと断言するのは、また余計な誤解を流布するようなもので、自重せねばならないなんて事は分かっているのです。でも穏便な表現っていうのは読み返すまでもなく弱々しすぎて、それで多少なりとも読んでもらえるような文章に仕立て上げるには相当な熟練の芸が求められるのだろうと思うのだ。と己の凡夫ブリを理由に何をか語らんやとなるのだけれど、護国寺を知ってる方ならぼくか語り出すのを待つまでもなく、護国寺の酒場過疎の現況に不満を並び立てようとしているとお考えになるかもしれません。それは当たってはいるけれど、反面としてそんな過疎地にあくまで酒場を求める事に楽しみを感じてもいるのです。そして実はまだ足を踏み入れておらぬ酒場が2軒、護国寺でもかなり侘しいと思われる場所に見出しておる訳で、訪れる機会を虎視眈々と狙っているのです。  とうい事で、護国寺を訪れることにしたのですが、この日の目当ては呑みではないのでした。いやまあ、ここで報告しているからには当然呑みはしますが、むしろランチついでに立ち寄ったのでありました。界隈には目を付けている蕎麦屋も2軒あるからどちらかに入れるだろうと高を括っていたのですが、ところが最初に立ち寄った「藪久」がお休みなのを知ると途端に不安になるのです。ここは日本女子大に至る坂道の途中の脇道にあってその孤立した雰囲気が以前から気になっていたのです。  さて、次がやってないとなると池袋もしくは江戸川橋方面に向かうしかないかと弱気心を出したもう一軒はさらに目立たぬ路地で目立たぬように営業している「松栄庵」だったのです。いやあ、助かるなあやっていてくれました。このそばに2軒の酒場もありますが、うち一軒、テイクアウトメインの焼鳥屋では仕込みの最中で、男性二人が串打ちに精を出しているのが見えました。で、まあそんな様子を眺めてやはり近いうちに来ることにしようなんて思いながら先述のとおり営業していることを確認したのでありました。こういう場所にあるお店で休日の日中ってお客はいるのだろうか、出前を主力としているんじゃないかなどと思って暖簾をくぐったのでした。表の枯れた感じから想像したのと違って店内は改装したのかすっきりと新しい雰囲気です。案外、店は奥に深くて汗ばむほどに温かかったから暖房代だけでも大変だろうなあなんて余計な心配をしてしまいます。案の定というのは失礼ですが、他にお客はいないようです。店のご夫婦が全戦力とお見受けするから出前に出ているということもなさそうです。席に着くと早速、熱燗を頼みます。カレーを見るとついつい頼みたくなるのですが、セットもあるのでたぬきそばをお願いします。しばらくすると工事現場の作業員たちが訪れました。なるほど確かに休みの日の町外れのお店ではそういう方たちを多く見掛けますね。休みだからと独りのんびり昼酒なんかしていて後ろめたい気分になります。カレーは普通においしく、そばはちょっと緩いけど出汁が辛目で好みでした。来るまではどんな店かとヒヤヒヤしもしたのですが、実際にはごく普通の蕎麦屋さんでした。

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