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カテゴリ:長寿
認知症は高齢者の生活の質を大幅に低下させてしまうと考えられます。それまでに積み上げてきた思い出や習慣、家族との関わりが変化し、日常的な行いさえ維持する事が難しくなってしまう事さえあります。
そんな認知症がなぜ起こるのかという話をしていた際、認知症はやがて訪れる死への恐怖を和らげる安全装置なのだという話を聞かされた事があります。 また最近の研究では、認知症の存在がなくても死亡する15年ほど前から重要な知的技能の衰えが加速する事が確認され、死へと向かう事と知的機能の衰退とは何らかの関係がある事が示唆されています。 言語能力、空間認識、知覚速度の衰退が顕著に見られるとされ、通常の老化に見られるプロセスとして生じるものとは無関係とされます。死期が近付く前に認知能力が衰退する事は過去の研究においても確認されていましたが、比較的健康な人にも衰退が訪れる事が明示され、認知能力に影響を及ぼす脳の変化が長期間にわたって生じる事が明確にされた事になります。 具体的には知的技能の衰退は年齢や認知症とは無関係に始まり、言語能力の低下は死亡する6年以上前から急激に加速するとされ、空間認識能力は約8年前から明確な衰えが見られ、対象を正しく素早く比較する能力である知覚速度の衰えに至っては、15年も前から始まる事が判ってきています。 今回の研究で明らかにされた事は、正常な老化プロセスと死へと向かうプロセスの違いの存在を示したものであり、加齢に伴って知的機能がどのように変化するかを考えた場合、高齢者と死期が近付いた人は同じではないという事を示し、知的機能の低下が加速する時期の存在、それがこれまで考えられてきたよりも遥かに早く始まる事を明確にした事になります。やはり死へと向かう恐怖を和らげる安全装置は存在するのでしょうか。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2008年09月26日 08時08分48秒
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