テーマ:囲碁全般(743)
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週刊碁で西村修さんが亡くなられたのを知った。一度だけの対戦は2002年のアマ十傑戦での8強を賭けた3回戦だった。
西村さんは、華麗な棋風で、毎局のように大胆な布石作戦や鋭い手筋での寄り付きで観戦者を魅了していた。アマトップクラスでは一番憧れていて、実は隠れファンだった。雲の上の存在で、恐れ多くて話しかけることなどできなかったが、全国大会に行った時は西村さんが負けるまでほとんどの碁を観戦していた。この前年は西村さんが決勝まで進出したので、最後まで観戦していた。決勝も見事な打ち回しで勝勢だったのだが、観客を楽しませようとしたのか、さらに頑張って大逆転負けしてしまった。芸術肌で勝負に執着しないためか準優勝が極端に多いのだが、そういう所も魅力的だった。
私の黒番。黒1に対する白2は全く予想もしていなかった格好良い手で、相手の手に見とれてしまった。ほって置くと寄り付かれるし、どう打って良いか分からなくなった。相手に手を渡す玄妙な手だ。
以下白4から14までも何とも軽妙な打ち方で、白の手がしなって来た。そう言えば、アマ強豪の中で、着手する姿の美しさという点でも西村さんは特別だったと思う。特に、流れが良い時のしなるように打ち下ろす手つきには惚れ惚れした。(余談:西村さんの指導も受けていたという結城先生のあの手つきはナゾだ。)
実戦図2
ただ、今検討すると意外に形勢はそれほど離れてはなく、やや白良しのようだ。黒は上辺ハネ上げて右上両ガカリから以下の図になった所で、白が1と打って来た。この手はまさに手がしなったカッコ良い手だったのだが、勇み足だったようだ。右辺白8くらいなら上辺、右辺の黒が薄く白がリードしていた。実戦は黒が先手で封鎖して、一気に、黒が良くなってしまった。
実戦図3
私もかなり高揚していたと思う。上辺黒2に打てば白がしびれる場面だが、おそらく私もいい所を見せようなどと色気が出たと思う。黒1に白2と打たれ大持ち込みになってしまった。ただ黒3から黒9となり、優勢を維持し逃げ切れた。憧れの人を相手に、下手なりに無心で精いっぱい打てた会心の碁だった。西村さんにすれば、手ごたえの無さに思わず勇み足が出てしまったと思う。
実戦図4
昨年、久々に全国大会を見たのだが、西村さんのように打ち下ろす姿に色気まであって魅せる人は見当たらなかった。ただ、以前から注目している選手がいた。それはかつて学生碁界で活躍した糸山さん。不本意な手でも、いつでも一手一手を力を込めてしっかり打ち下ろしている。この姿勢は立派で、なかなかできる事ではない。ぜひ、関西のY9段にも見習ってほしい。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
Apr 6, 2019 08:00:57 AM
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