2423548 ランダム
 ホーム | 日記 | プロフィール 【フォローする】 【ログイン】

碁法の谷の庵にて

 無謀な希望もかない、ちょっと燃え尽き気味な人間のふたまた日記です。
 ブログ主は大学法学部4年のころからこのブログをやってきましたが、大学院を経て現在弁護士となっております。

 旧名「囲碁と法律の雑記帳」ですが、開設500日に題名を変更しております。

 リンクはご自由にどうぞ。

 一般の人たちが細かい法解釈論の勉強をする必要はありません。
 ただ、自分達に納得できない法制度がどうしてあるのか、「どうしても納得できない!」だけではなく、「よーし、納得してやろう」と、自分達の理解力を高めるという方向でも考えて行ってもらいたいと思います。


 記事数が膨大であるため、現在正しくなくなっている記述が放置されている可能性が多々あります。
 その点は注意してお読みください。(ご指摘いただければ訂正を入れます)
2019年10月15日
XML
今回の避難所へのホームレス受け入れ拒否問題にも関連して、少し建設的かもしれない思い付きをお話しさせていただきます。


 避難所を設ける場合,避難者は一時的とはいえ見ず知らずの人たちと集団生活を行うことになります。
 皆で協力して助け合って…というのはもちろん理想的ですが,そうもいかないケースも出てくるでしょう。
 東日本大震災の時にも、避難所で避難者はストレスをためやすく、ケンカが起きたり,財産犯や性被害などと言った問題が度々発生したことが報じられました。


 そんな時に考えるべきは,個々の避難所について責任者を決定し、その責任者に避難所の秩序を維持するために必要な権限を付与するという事ではないでしょうか。
 私も今回,避難所の責任者の権限などを示した法令やガイドラインなどがないか探してみたのですが,避難所運営のガイドラインは見つかったものの,責任者の権限を示したものはついぞ見つかりませんでした。むしろ,住民も協力して運営しよう!というような形で権限や責任の所在がひどく曖昧になっているように思います。
 災害関係法令なんて個人的に初めて調査しましたし,私の調査能力がお粗末なのかもしれませんので,避難所の運営について法令があるならぜひご教示願いたい所ですが,検索してもなかなか出てこないという事は,一般の方は避難所でどういう権利義務があるのか知らされる機会もほとんど与えられず逃げ込む訳で、それが適切かどうかは疑問ですし,調べても分からないとなると仮に権限があっても責任者が知っているのかという疑問にもなります。
 

 避難所責任者に避難者に対して指示・監督・違反に対して懲罰を行う権限がなければ,責任者が避難者に対してできることは大半が「お願い」にとどまることになってしまいます。
 つまり,意地でも従わない避難者がいる場合に強制力を持ってどうこうというのが難しい…という問題が起きえます。

 管理権者が「出て行け!」という手もないことはない(管理権者の退去要求に立ち退かなければ不退去罪になりえる)でしょうが,そもそも管理権者=避難所責任者とは限りませんし,叩き出すのは生命の危険があって流石に厳しい場合も多くなるはずです。場合によっては避難所をたらいまわしにしただけという結果になるリスクもあるでしょう。
 避難所内のルール違反ではあるが,犯罪者とまで言えない場合も多い(禁煙の場所で喫煙しても犯罪とは言えません)以上,警察に突き出すのは難しかったり、犯罪だとしても災害で警察も手一杯で軽犯罪にまでいちいち対応できないこともあり得ます。
 それなら,せめて一時的にせよ避難所の中の特定の部屋にでも閉じ込めておきたい。あるいは、勝手に喫煙するならたばこだけでも同意なく避難所側で預かっておきたい。

 こうした避難者に対する指揮監督権限の不存在が,困った避難者に対してお願いしかできず,他の避難者への迷惑も避けられないという事態を生んではいないでしょうか。

 航海中の船舶の船長には、船員法で法令上の義務が定められている船員は元より、契約関係に立たない船客や,自らの意思で乗ったとは言えない者(漂流中拾われた者など)まで含めて指示する権限が法律上与えられています。
 船長と同等の権限を認めるのは行き過ぎとは思っていますが,避難所運営のため,相応の権限を避難所の責任者にも認め,その権限の具体的な内容を法令などで明示した方が良いように思われます。(流石に一昔前の特別権力関係理論のように包括的に何でも認め、司法的救済も認めないというやり方を支持する気にはなりません)
 もちろん、その分避難所の責任者の責任は重大であり、きちんとした育成も必要になることでしょう。


 今回の台東区ホームレス受け入れ拒否について,受け入れ拒否が人権侵害であるという私の見解はいささかも揺らいでいません。
 他の避難者は悪臭や感染リスクがあったとしても緊急事態においては受け入れそれ自体は耐忍するほかない、生命よりも避難環境の維持を優先する価値判断は許容しえないと考えます。(ペットは財産権扱いなので許容の余地があると考えます)
 他方で避難所の秩序や環境維持のためにも、他の避難者に拒否的な反応を示されないに越したことはないのも確かです。

 ホームレスの受け入れ拒否の理由をあれこれ言っている人達がいますが,「悪臭」が原因なら避難所において責任者が

「受け入れる。
ただし,石鹸とタオルは貸すのでそこの水道なりシャワーなりで体を洗ってきなさい。」


と命令できれば,悪臭・不潔などの問題もある程度は解決しえたはずです。


伝染病罹患者,あるいはその合理的な疑いがあるという状況の場合も
「受け入れる。
ただしこの部屋(区画)で過ごしなさい。トイレ含む外出は要通知。
必要な物資は定時にこちらから持ち込む。中から外に連絡する手段は保障する。」

というような形にすれば,疫病伝染リスクも軽減できたはずです。

他方で逆に、「あいつはいびきがうるさいから追い出せ!追い出せ!」と正当に受け入れている避難者を排除するよう殊更に騒いで秩序を乱す者に対しても、こうした処分が出来れば収まることは考えられるでしょう。
 

 もちろん,これは避難者の基本的人権の制約につながるため相応の検討が必要になると思いますが,災害という緊急事態において,避難所内の秩序・衛生環境維持のために合理的な範囲で法令の根拠を用意し,避難所から排除しない代わりに指揮監督やケースによっては懲戒などに服させることは私個人としては違憲とは言えないのではないかと思います。
 少なくとも,受け入れ拒否をするなどして間近に迫る生命の危険の前に放り出すよりははるかに「合憲」で理屈が作りやすいと思います。






最終更新日  2019年10月15日 20時57分03秒
コメント(0) | コメントを書く

PR

キーワードサーチ

▼キーワード検索

カレンダー

カテゴリ


Copyright (c) 1997-2019 Rakuten, Inc. All Rights Reserved.