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碁法の谷の庵にて

碁法の谷の庵にて

 無謀な希望もかない、ちょっと燃え尽き気味な人間のふたまた日記です。
 ブログ主は大学法学部4年のころからこのブログをやってきましたが、大学院を経て現在弁護士となっております。

 旧名「囲碁と法律の雑記帳」ですが、開設500日に題名を変更しております。

 リンクはご自由にどうぞ。

 一般の人たちが細かい法解釈論の勉強をする必要はありません。
 ただ、自分達に納得できない法制度がどうしてあるのか、「どうしても納得できない!」だけではなく、「よーし、納得してやろう」と、自分達の理解力を高めるという方向でも考えて行ってもらいたいと思います。


 記事数が膨大であるため、現在正しくなくなっている記述が放置されている可能性が多々あります。
 その点は注意してお読みください。(ご指摘いただければ訂正を入れます)
2024年06月12日
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保護司の方が、保護観察対象者に殺害されたというニュースが世間を騒がせています。
 被疑者は否認しているそうですし、事件の真相解明については捜査機関に任せるとしますが、保護司の方の安全性の確保というのは、実は弁護士の仕事などとも共通する問題があるので一筆書かせて頂きます。



 弁護士が法律相談などをする場合にも、結構ヤバイ相談者というのはいます。
 相談すれば自分が救済されて当たり前だと考えていて、厳しい見通しを伝えると弁護士に向かって暴言を吐いたり、酷いと暴力をふるう……そう言うタイプの人は残念ながらいるものなのです。
 自分の相談に乗って助けてくれる弁護士なんだから弁護士が言いさえすればヘコヘコ言うことを聞くんじゃないの?と思っているなら、それは大きな勘違いです。

 司法関係では、裁判所…特に家庭裁判所もかなりヤバイ場所の一つです。
 家庭内でDV等が酷い事件で離婚調停をすると、自分の言い分は正しいんだと信じ込む人から調停員等が攻撃されてしまうような事例もあります。
 平成22年には、この手の離婚事件の当事者(夫)から逆恨みされた末、相手の弁護士が事務所に上がり込まれて刺し殺されるという事態もありました(事件後に、この犯人は家庭裁判所で調停員にも危険を感じさせていたことが判明しています)。
 DV案件などだと、裁判所の事務官や書記官も関係者の出頭にビリビリ緊張して準備したりもします。


 他にも、世間で困っている人向けに相談をする役所や施設の類では、こうした不平不満から関係者が攻撃される事態は残念ながら後を絶たないのが実状です。
 せっかくこうした仕事をしているのに、感謝されないを通り越して攻撃対象になる…こうした支援に当たる人の心を折っていく事態です。
 しかし、心を折るどころか物理的危害という事態になる危険性もあるので、実はこう言う関係各所は、スタッフの安全確保のための対策をしていたりもするのです。



 保護司の方の中には、とにかく対象者に寄り添うことが大事なのではないか、と言う考えもあるようですし、その考えを間違いだとは思いません。
 しかし、様々な役所も弁護士も、寄り添いについて必要性があるのは同じであり、護身と寄り添いを両立させるべく工夫しているのも確かなのです。

 安全確保のために弁護士や役所などが実施している対応を下にいくつか掲げてみようと思いますので、自宅に保護観察対象者などを招く保護司の方で安全確保が気になる方は、こうした工夫を実施してみてはいかがでしょうか。


一、人数を増やして対応する

面談するときに、1:1ではなく、できる限り複数人態勢で面談を心がけるのが大切です。
別に威圧する必要があるわけではありません。
必ずしも相談に同室する必要があるわけでもなくて、家には自分以外に誰か対応できる人がいる状態で、その人とも「こう言う人が来ている」という意識を共有した上で面談する、というのは重要でしょう。

逆に、小さな子どもがいる場合には、登校中などでいない時間帯を使う、と言うのも考えた方が良いだろうと思います。

二、警備会社と契約する

いざというときにセコムやALSOKなどと言った警備会社と契約し、ボタン一つで通報できるようにしておくのもいいでしょう。
保護司の職務以外でも、家に入る泥棒などの対策には役立ちます。
家庭裁判所などでも、当事者が暴れた場合に備えた緊急通報システムは準備されていることがあります。

三、武器類の準備

学校でも、大阪教育大学付属池田小事件以降、さすまたなどの緊急用の武器が準備されるようになりました。
もちろん何のトラブルもないのに見せつける必要はありません(下手すると奪われて逆に武器にされかねない)が、いざと言うときに武器となり得るものをしまっておくというのは意味があると思います。
自分自身ですぐに使えなくとも、いざというときには家に一緒にいる人が持ち出して対応できるように、と言うわけです。

四、面談に行き止まりの部屋を使わない

自宅で面談する場合、建物構造上の限界がどうしてもあるでしょうが、行き止まりの部屋だと、相談者が暴れ出したとき、一つだけの出入り口を塞がれると為す術がなくなります。
複数の出入り口がある部屋があるなら、そこを面談に使い、いざというときの逃げ道を確保しておくのがよいでしょう。

五、面談は事前予約だけにしておく

突然現れての面会要求は、単独対応をせざるを得なくなるなど準備不足が生じやすく、危険性も高くなります。
面談する場合は事前に予約しておいて、予約時間にのみ対応することを勧めたいところです。
それでも突然現れた場合には、手が離せない用事があると言ってお断りすることも重要だと思います。

六、常時鍵かけ

来客が予定されていないのであれば、例え家に人がいようと常に鍵をかけておくのも効果があります。
先ほどちらっと触れた、離婚事件の相手から殺害された弁護士は、事務所の鍵を開けておいた結果、執務室に入り込まれて殺害されてしまいました。
(もっとも、犯人はガソリンまで携行していたので、鍵をかけたら火をつけられたという点も懸念されていますが…)
鍵をかけていれば、突然やってきても諦めてくれる可能性は高くなります。

七、大きめの机をはさんで対話する

大きめの机を間にはさむことで、突然襲いかかってきても咄嗟に時間が取れる可能性があります。
裁判所でもDVなど当事者が暴れる危険性の想定される事件だと、大きな机をはさんでの対応とすることで調停員の安全を確保したりもしています。
あまり露骨な大机を使うのは考え物ですが、大きめの机をはさむことは考えられるでしょう。





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最終更新日  2024年06月12日 22時00分10秒
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