スカイマークがエアバスA380導入を発表したのは2010年11月のことでした(
2010年11月9日の日記)。6機導入予定で、既にエアバスの工場でスカイマーク塗装の実機も大方完成。遅くとも2015年春までには国際線(成田~ニューヨーク線など)に進出する・・・という筋書きでした。日本でA380を導入するのがJAL、ANAの2強ではなくスカイマークという衝撃。2強に次ぐ第3勢力としてのスカイマークの躍進を私は大いに楽しみにしていました。
しかし、7月末になって「支払いが滞った」という理由でエアバスから契約解除を通告されたとのことです。その後もスカイマークは交渉を続けたようですが遂に決裂し、
A380導入を断念しました。しかも、エアバスは既に完成済みのA380(スカイマーク向け)を別の航空会社向けに引き渡そうとしたり、逆にエアバスからは違約金の支払いを求められたり、さらに国内では賞味期限を過ぎたカップラーメンとコンソメスープを誤販売していたことが発覚したりと、
まさに弱り目に祟り目状態です。
おかげで、将来的な国際線進出を前提に就航した成田空港からは10月をもって撤退するという報道が出てきました。羽田空港が再国際化したとはいえ、国際線といえばまだまだ成田空港発着が多いです。国際線断念となれば、成田空港からも撤退というのは自然のことだと思います(しかし予断が許されない状態が続いています)。
原因として考えられるのが、
(1)急速な地方路線拡大
スカイマークは神戸空港が開港した2006年から地方路線の開設を積極的に進めていきました。今や、神戸からは札幌、仙台、茨城、那覇など多様な路線が飛んでいます。昨年末からは米子空港に就航し、米子を一種の拠点空港にまで仕立てました。羽田空港以外の路線が急激に増えていきました。
JAL、ANAに対する対抗心というのも確かにあったかもしれません。しかし急激な路線網拡大の裏では見通しが甘かったということがあるでしょう。2011年11月に「成田シャトル」という国内線を開設しましたが、利用率は芳しくないようです。
(2)エアバスA330の導入
スカイマークは6月14日に羽田~福岡線にて新機材・エアバスA330を導入しました。これも日本初でした。しかし当初予定では3月25日デビュー予定でしたが、操縦士育成のスケジュール遅れという理由で3度の延期をえてやっとデビューと相成りました。しかも、今まで使っていた機材はボーイングばかり。敢えてエアバスを選んだことが裏目に出たと思います。
以下、
Business Journalからの引用。
原因はパイロットの不足などによる国土交通省の事業認可の遅れ。スカイマークはこれまで米ボーイングの機材しか運航した経験がない。機材はメーカーごとに整備方式が異なるため、A330の導入に際して「整備マニュアルをゼロから作成し、整備士を再訓練しなければならなかった」(同)という。
(引用終わり)
同じボーイングからはB777を新たなワイドボディ機として導入することもできたはず。
「なぜわざわざエアバス機なのか?」という疑問を今頃持った私は、気付くのが遅かったです。
さらにエアバスは、スカイマークに対する再建策として大手会社の傘下に入っての再建という手段を勧めたそうです。エアドゥ、ソラシドエアと同様の再建策を取れということでしょう。しかし、スカイマークにとっては
唯一の独立系LCCという肩書を捨てるつもりはない。葛藤が続きそうです。
いずれにしてもスカイマークは創業以来の大ピンチに陥っています。