アニメ「ひぐらしのなく頃に・業」を視聴しているうちに、梨花と沙都子の関係の変化に考えさせられることがありました。梨花と沙都子は親友同士で、同じ高校を受験して見事に合格しました。しかし2人の人間関係は、高校進学を機に大きく変化してしまいます・・・。
作中で2人が入学した聖ルチーア学園は、東京でいう雙葉のようなお嬢様学校。礼儀作法や伝統が重視され、勉強も厳しい。梨花にとっては、自分の夢を実現できる場所でした。しかし、もとより勉強が「嫌い」だった沙都子にとっては、牢獄みたいな場所だったのです。
私は東京で塾講師として働いた6年間、様々な生徒と出会ってきました。その中には、いわゆる進学校での授業内容に大苦戦している生徒も少なくありませんでした。
そんな子たちが通っている学校(ほぼ全部が中高一貫の私学)は、東大、早稲田、慶応、G-MARCHといった有名大学に毎年合格者を数十人も出しているのです。中2の段階で数学は二次関数を、英語は現在完了形を勉強する・・・。それが東京のほとんどの「有名私立中高一貫校」で当たり前に行われていることなのです。高2の段階になると高校卒業レベルまで勉強し、高3になると東大・早稲田・慶応といった超難関大学を受験するための演習に専念する。これでは沙都子の心が壊れるのも時間の問題です。
私が勤務していた個別学習塾では、様々な有名私立中高一貫校に通う生徒が通塾していました。一例を挙げると(五十音順。共学校、男子校、女子校)、
・大妻多摩
・神奈川大学附属中学・高校
・学習院中等科
・国学院久我山
・青稜
・世田谷学園
・高輪
・桐朋
・日大豊山
・明大明治
・立教新座
・早稲田実業
と、枚挙に暇がありませんでした。
個別指導塾では授業内容が、学校での学習内容の復習(あるいは、長期休みの課題での不明点)になっていることもありました。中2にしては難しすぎる課題に自分では手をつけられていない生徒が多かったです。結局、上記の有名私学に通っている生徒の中には、とある事情で塾通いを止めて家庭教師に切り替えた人もいました。
中高一貫の6年間では、(これは男子に多い例ですが)中1の頃はダメダメだったけど、中3~高1の頃になると基礎学力がしっかり定着して、応用問題もある程度正解できる・・・という状態になる可能性もあるでしょう。
でも「ひぐらし~」での梨花と沙都子の場合、高校からの外部募集で合格して中高一貫の有名私学に入学。「高校受験合格後の目標」がある程度はっきりしていた梨花は、順調に学園生活を送っているのに対し、「聖ルチーア学園に入学」が目標だった沙都子は、クラスメイトや教師から「落ちこぼれ」あるいは「問題児」と思われました。その結果、沙都子は地獄を見たのです。
東京でも開成高校が高校からの外部募集を行っていますが、それは定員が100人しかいない(開成中学は募集定員が300人)。しかも入試問題は超難関。文字通りの血のにじむ努力をしないと合格はできない(例として、世田谷区で最も学力の高い中学3年男子でも、合格できる保障がない!)。
中学・高校受験とは、まさに人生を左右させる通過儀礼だと改めて考えさせられたのでした。
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Last updated
Aug 17, 2021 10:50:34 AM
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