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カテゴリ:キャリアデザイン
私が東京に住んでいた頃、特に東日本大震災が起きる前は、テレビをよく見ていました。その中でよく出てきたのが関西出身の芸人。フジテレビの「爆笑レッドカーペット」や、日テレの「エンタの神様」といった番組では関西弁をよく聞きました。
でも東京に住んでいた時、全国ネットで関西弁以外の方言はあまり聞いたことがありませんでした。紹介されるとしても、おもしろおかしく取り上げられるといった具合でした。 他にも高校野球マンガ「ROOKIES」を読むと、東北弁を話す女子高生が出てきます。 「ほっといてけろ!」 私はこのことを思い出す度に、「関西弁はOKだけど、他の方言はださい」ってか!?と憤りに似た感情を抱くようになりました。 アニメ「りゅうおうのおしごと!」のヒロイン・雛鶴あいちゃんは金沢弁。金沢から大阪へ出ました。ひそかに恋心を抱く主人公に対して「だらぶち!」と罵倒するのはお馴染みの光景。 アニメ「八十亀ちゃんかんさつにっき」は、もう愛知県のPRアニメと化していて、戸松遥さん(愛知県出身)が名古屋弁を、小松未可子さんが三重弁を話します。 また、アニメ「博多豚骨ラーメンズ」は、福岡市で活動する殺し屋を主人公にした作品です。博多弁、北九州弁がたくさん登場します。 要するに、方言とはその地域で発展してきた文化です!決して標準語(政府が作った国策の文化)だけが日本の文化だとは思わないでほしいのです。 職場の“方言ハラスメント”が起こるワケ。「なまりは失礼」なのか(bizSPA!フレッシュ、5月12日配信) この春からパワハラ防止法がすべての企業で施行され、ハラスメント意識は高まっている。一方で、悪気のない共通語の強制や訛りいじりが、ハラスメントになる恐れがあることをどれだけの人が知っているだろうか――。 政府も認知していない「パワハラ」 「すごい訛(なま)ってるね」「今の言葉、どういう意味?」 就職や転勤先の慣れない土地で、こんな指摘を受けたことはないだろうか。話のきっかけになるならまだしも、なかには共通語(標準語)を強いられる職場もある。「方言は個性だと思ってきたのですが、上司が代わって『方言を直すように』と指示されたんです」と、すっかり訛りがなくなった東北出身の商社営業の男性(43歳)は、若手時代をこう振り返る。 「『俺も昔、茨城弁で悩んだから』と親切心ゆえの助言で、アナウンススクールを勧められて共通語を練習しました。人前で話す自信はつきましたが、生まれを否定されたようでいい気はしませんでした」 関西弁を使い続ける人は珍しくないが、関西出身の女性(30歳)は新卒で東京の広告会社に入社した際に共通語に矯正したという。 「新人研修で『関西弁が出ているから、よくないと思う』と言われて……。理由は、関西弁はキツく聞こえてお客さまに失礼になる、みんな直していて新人なのがバレるからと。急に直せるものでもないし、話しにくくなりました。常に標準語を意識して、訛りの指摘がなくなるまで2年かかりましたよ」 =度を越えた方言指導はパワハラになる例も= 度を越えた方言指導は、パワハラになる例も起きている。2021年7月に三重県松阪市の職員が、部下にイントネーションが不正確だと何度も言い直しをさせるなどのパワハラがあったとして降格・停職1か月の処分を受けた。 あまり知られていないが、方言に関連して相手を不快にさせる行為は「ダイアレクト・ハラスメント(=ダイハラ)」というハラスメントに該当する。アメリカでは、合理的に必要な範囲を超えて訛りの矯正を執拗に求めることは、雇用差別法でハラスメントを含め禁止されている。 日本では厚生労働省のハラスメント例にもなく、認知度が低いのが現状だが、“方言ハラスメント”は、少なからず発生しているのだ。 =訛りが強く「二度手間だから電話に出るな」= 「日本ハラスメント協会」代表理事でハラスメント専門家の村嵜要氏のもとには、ひと月に約80件ある問い合わせのうち5件ほどはダイハラに該当しているという。 「2パターンがあり、1つは方言をいじられて仕事がやりづらくなるもの。いじりを超えて、鹿児島出身の訛りが強い人は『二度手間だから電話に出るな』と業務を制限された例も。 もうひとつは、パワハラ相談の中にダイハラが含まれているもの。関東の人が、関西に赴任して関西弁の上司にパワハラを感じる例は少なくありません。その場合は、上司の方言を矯正するのではなく、パワハラに注意するよう助言して解決を促します」 どんなケースがダイハラになる? しかし、現実的に方言の意味がわからず、コミュニケーションが成立しないことは起こりうる。どんなケースがダイハラになるのか。 「職場での方言や訛りの扱いは、言葉の意味を双方が理解できれば問題ありません。通じない方言を共通語に変えるのは業務上必要な範囲といえますが、意味が通じているのにイントネーションの精度を高めるような場合はダイハラに該当するでしょう。 ダイハラが厄介なのは、他のハラスメントより悪気なく起こりやすいこと。方言を話す側も、言われて仕方ないと思う人が多く、表沙汰になってきませんでした」(村嵜氏) 共通語への威信や“権威感”が背景に ダイハラが起こる背景について、東京女子大学現代教養学部教授で言語学者の篠崎晃一氏に聞いた。 「共通語を強制する人は、無意識に共通語に威信や権威を感じていて、プレステージが高いからこちらに合わせるべきという価値観があるのでしょう」 方言を言い換えることはできても、訛りを直すのは一朝一夕にはできず、人知れず努力する人がいるのも事実だ。 =訛りを直すのが難しい地域とは?= 言語聴覚士の林桃子氏は、発話や発音のリハビリのほかに共通語のアクセントを身につけたい人へのレッスンを行っている。 「一回30分のレッスンを月1~2回行い、だいたい3か月で習得します。毎年数件ほどで多くはないですが、異動の時期や新社会人から依頼があります。特に北関東と南東北の人は『箸』と『端』といった同音異義語を高低で区別しない無形アクセント地域なので、意識しないと音の高低が感覚的にわからない傾向があります」 共通語のアクセントの習得には自主練が欠かせないという。 「その方法は、YouTubeなどの音声を10秒程度で区切ってよく聞き、復唱します。その声を録音して、自分の声を客観的に何度も聞くことで音程のズレを正していくのです。慣れてきたら尺を長くします。ほかに日本語アクセント辞典アプリの『JAccent』も、単語単位で共通語の音声を再生できるので参考になりますね」 =ビジネスの場ではプラスになることも= ビジネスの場では方言をどのように扱っていけばいいのだろうか。 「方言はいわばその人の母語で優劣はありませんが、きちんと相手に伝えなくてはいけない時は共通語のほうが誤解が生まれにくいため、使い分けが有効です。営業トークで効果的に方言を使うこともできるはず。アクセサリーのように扱うといいですね」(篠崎氏) 「方言を使う側は、時と場合で共通語に合わせる姿勢を見せること。使われる側は『それってどういう意味?』と方言を覚えることと、すぐに直るものではないと長い目で見守ることです。双方が歩み寄る姿勢が大切です」(村嵜氏) まさに双方の歩み寄りを実現させていたのが、千葉県出身のインフラ系SEの男性(46歳)だ。 「『(進捗は)どんな感じですか?』という意味の房州弁『あじょうですか?』が通じませんでしたが、自分が直すのではなくみんなに覚えてもらったので今では通じます」 多様性が求められる社会。方言もポジティブに受け入れたい。 =職場で起きた方言プチトラブル= 【そのゴミ、なげといて】 札幌の広告代理店勤務時、東京から来た営業が職場の大掃除で本当にゴミを放り投げた、という嘘みたいなホントの話(45歳男性) 【お世話になっております。〇〇でした】 新卒の製造業で電話した時「え、なんで過去形? 電話終わったの?」と変な空気に。山形では丁寧語なんだけどな(23歳男性) 【そこら片しといて!】 神奈川県の工場で期間工として働いていた時に言われて、意味がわからなかった。地元大阪では聞かない言葉だったので(40歳男性) 【この資料、おわしたので】 栃木県出身です。「おわす」は北関東では「終わらせる」の意。東京の職場で使ったら、「古語?」と言われました(44歳女性) =「パソコンなおしますね」と言ったら驚かれた= 【パソコンなおしますね!】 上京直後、パソコンをしまうときそう伝えたら「壊したの!?」と驚かれました。関西の言い回しです(35歳女性) 【社長がきちゃった】 ITの営業事務での出来事。「いらっしゃった」の広島流の敬語だけど、後輩に「え! 何かしたんですか!?」と驚かれた(38歳女性) 【~していただけると喜びます】 転職で上京した通信業で働く島根出身です。「幸いです」「助かります」をこう言います。メールには気をつけています(41歳女性) 【〇〇さん、帰りましょうね】 「しましょうね」は沖縄では「します」の意味。東京の出版事務職で上司に言うと「え、一緒に帰るの?」と周りに怪しまれた(34歳女性) <取材・文・撮影/桜井カズキ ツマミ具依 写真/PIXTA> 【村嵜 要】 ハラスメント専門家。「日本ハラスメント協会」設立者。年間70社からパワハラ加害者研修の依頼を受け、毎年コンスタントにパワハラ加害者70人を更生 【篠崎晃一】 言語学者。東京女子大学現代教養学部教授。専門は方言学、社会言語学。著書に『それいけ!方言探偵団』(平凡社)など。TVの番組監修も行う 【林 桃子】 言語聴覚士。総合病院や吃音改善機関でリハビリ指導を8年経験。現在は発話や発音改善を行うダイレクトコミュニケーションの講師を務める (引用終わり) お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
Jun 22, 2022 11:50:28 PM
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