衆議院解散権をもてあそぶな!
麻生さんが緊急経済対策を理由に衆議院解散を回避したのが昨年10月のこと。麻生内閣が発足した時期に、朝日新聞は「10月3日衆院解散、26日投票日」という記事を1面で報道したが、結局は幻に終わった。挙句の果てに麻生さんからは「朝日新聞に解散権があるみたいだ」と批判された。 昨日、衆議院解散を巡って河村官房長官がこんなコメントを残した。 「公明党から警告」官房長官発言、与野党に困惑と反発(23日、朝日新聞) 衆院選の時期の決定をめぐり河村官房長官が22日、7月12日投開票の東京都議選との近接を避けたい公明党の意向に配慮する姿勢を示したことに対し、与野党から戸惑いと反発が相次いだ。 河村長官は22日の講演で「公明党からは『7月の都議選の時に解散すれば自民党を応援する暇がない』と警告をいただいている。公明党がそう言うのだから無視はできないだろう」と発言した。 公明党の北側一雄幹事長は記者会見で「警告した覚えはない」と否定する一方、「都議選で競い合っていて、衆院選で自民の候補をしっかり応援していくのはなかなか容易ではない」と述べた。先週に太田代表や北側氏らが相次いで麻生首相と会い、総選挙と都議選の近接を避けるよう要請した直後だけに、主張が理解されていることを歓迎する半面、解散時期に圧力をかけたととられかねない表現に困惑も広がっている。 一方、民主党の鳩山由紀夫幹事長は衆院選立候補予定者の会合で「党利党略の発言だ。一刻も早く解散総選挙を打つべきだ」と批判し、共産党の穀田恵二国対委員長は「解散をもてあそんではいけない」。社民党の福島党首は「都議選のために国民は耐えないといけないのか。国民を愚弄(ぐろう)するな」と語り、国民新党の綿貫代表も「いつまでもじらしているのがいいのか」と疑問を投げかけた。 河村長官は22日の講演後の記者会見で「(公明党の)友達との話の中で『都議選に集中しているときによその応援をしろと言われても困る』という感じだったから、『警告を受けた』という表現にしてしまった」と釈明した。 一方、麻生首相は22日夜、河村長官の発言について首相官邸で記者団に「公明党という与党、友党にいろいろと配慮するというのは、常日頃からそういった配慮は持っているとは思います。思いますけども、それにあわせて選挙の日にちを考えるということはありません」と語った。 (引用終わり) 河村官房長官の発言が本心だとすると、自民・公明両党は自分たちの都合のために解散権をもてあそんでいると非難せざるを得ない。それこそ党利党略だ。確かに7月12日投票日の東京都議員選挙というのは各党にとって非常に重要な地方選挙だ。しかしたかだか地方選挙の日程によって、総選挙の時期が振り回されるということがあってよいだろうか。 総選挙と都議選の日程が重なることを一番恐れているのは公明党である。もし日程が重なると、第一に全国に散らばる支持者たち、創価学会員を東京に集結させることができなくなる。創価学会による組織型選挙を得意とする公明党にとっては大きな痛手だ。 第二に、投票率が大幅に上がることを恐れているのだろう。都議選の投票率はだいたい45%と低い。公明党が都議会で23,4議席も取れるのはそのためだと思われる。しかし日程が重なってしまうと有権者の注目を浴びるためにどうしても投票率が高くなってしまう。創価学会の組織票というアドバンテージがなくなってしまう。 公明党が都議選と衆院選とのダブル選挙を回避するよう求めているのは以上2点の理由からだと思われる。 ある週刊誌には「宗教政党が解散権を握っているという異常事態」という趣旨の記事があった。上記の記事にあるように自民党は友党である公明党に配慮して衆議院解散の時期を「調整」しているのだろうか。 自分たちの都合しか考えない政局運営を(これは民主党にも言えることだが)、そして衆議院解散権という大きな力をもてあそんではならない!