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2021/07/04(日)21:04

全固体電池の量産、EV用次世代電池実用化の課題

EV  電気自動車(368)

​   世界的な電動化の流れの中、次世代バッテリーの開発・実用化が急がれている。  新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)は2018年6月15日、電気自動車(EV)向けの次世代蓄電池として注目される全固体リチウムイオン電池の開発を産学連携で始めると発表した。  参画企業は自動車メーカー4社、電池メーカー5社、材料メーカー14社の計23社。  自動車メーカーからはトヨタ自動車、日産自動車、本田技術研究所、ヤマハ発動機が参画。  パナソニック、東レ、旭化成、三菱ケミカルなどの主要メーカーや15の大学・研究機関も参画してオールジャパンでEV用全固体電池の早期実用化と量産技術の確立を目指し、世界市場で主導権獲得を狙う。         ​​  2020年6月23日、FDKはSMD対応小型全固体電池の年内量産開始を決定した。 IoT機器やウェアラブル機器などの半導体関連製品や、電解液を使用した電池はで適用困難な環境下など高耐久性が求められるアプリケーションで使用できる。  量産開始第一弾として4.5x3.2x1.6mm, 3V, 0.5mAhなど量産仕様を決定。  20年度中に月30万個規模の生産体制を整備し、22年度に月200万個を計画している。​ 2020年10月15日、村田製作所がこちらもEV用ではないが全固体電池の量産開始を発表。         ​​ 村田製作所は ​全固体電池を2020年度中に量産へ​、 リチウムイオン電池も高出力化2020年10月19日 [朴尚洙,MONOist] 村田製作所は2020年10月15日、オンラインで会見を開き、オンライン展示会「CEATEC 2020 ONLINE」(2020年10月20~23日)に出展する電池関連製品について説明した。  注目を集めている全固体電池は開発が順調に進んでおり、2020年度中(2021年3月まで)の量産開始という当初計画に変更はない。  また、円筒型リチウムイオン電池については、50~60Aの大電流出力が可能な製品を開発しており2022年4月に投入する計画である。   ― 引用終り ―         ​​  安定性が高く、高エネルギー密度、大出力、低コストが要求されるEV向けの全固体電池の課題について、オートモーティブワールドで、トヨタ先端材料技術部チーフプロフェッショナルエンジニア中西真二氏が語っている。        ​​ トヨタが「全固体電池」の開発状況を明らかに、 ​量産化への課題は​ …オートモーティブワールド2020 2020年1月16日 Response​​ オートモーティブワールドの専門セッションにおいて、トヨタ先端材料技術部チーフプロフェッショナルエンジニア中西真二氏による、全固体電池の現状と課題に関する講演が行われた。   …(略)…         ​​  東工大とトヨタは、全固体電池の研究開発の中で、2011年にLGPSと呼ばれるリチウム、ゲルマニウム、リン、硫黄によるセラミックス素材を発見している。  LGPSは従来の液体の有機電解質と同等なイオン伝導率を示した。  LGPSの発見は、全固体電池の実用化が一歩進めた。  その後、東工大とトヨタは、LGPSをベースにゲルマニウムの代わりにシリコンを使いさらに塩素を追加した新しいLGPS系無機電解質(Li9.54Si1.74P1.44S11.7Cl0.3)を発見した。         ​​ 新しい素材で作った全固体電池は、従来型のリチウムイオン電池より3倍の電流が流れることが確認できた。  さらに-30度、100度でも安定して充放電ができることも確認された。  氷点下の低温や水の沸点でも動作するのも電解質が固体であることのメリットだ。 全固体電池の基礎技術は第2段階に入ったが、実用化には量産など製造技術の問題もある。  ひとつは、固体の電解質をどのように重ねて電池の形にするかという問題だ。  実験用にコイン型、円筒形に作るのはそれほど難しいものではない。  しかし、EVのような大容量、大出力にするには、セルを何枚も集積したモジュールを作らなければならない。         ​​ 筒に入れるなら正極、負極、電解質をパウダー状にすればいいのだが、集積化を含めた量産を可能にするには別の方法が必要だった。  トヨタでは、電解質の粉を液体とのり(バインダー)を混ぜる湿式コーティング技術を開発した。  これにより、電解質の層を大幅に薄くすることができ、角形のセルのプロトタイプを完成させている。 全固体電池はまだ研究開発段階だが、生産技術もある程度同時に進められている。  実用化、本当の量産化にはまだハードルはあると中西氏はいうが、開発は着実に進められている。   ― 引用終り ―         ​​  テスラを含め世界中のどの自動車メーカーも、次世代バッテリー量産開始の宣言は発されていない。  次世代バッテリー戦争は2020年が佳境。  実用化されて初めて、内燃機関の代替ではない真のEV普及拡大が始まる。​​​

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