442872 ランダム
 HOME | DIARY | PROFILE 【フォローする】 【ログイン】

職の精神史

職の精神史

【毎日開催】
15記事にいいね!で1ポイント
10秒滞在
いいね! --/--
おめでとうございます!
ミッションを達成しました。
※「ポイントを獲得する」ボタンを押すと広告が表示されます。
x

PR

Category

Archives

2024.05
2024.04
2024.03
2024.02
2024.01

Freepage List

Profile

nao12317556

nao12317556

Calendar

Comments

isaka@ Re:竹山道雄「白磁の杯」(05/28) 突然で失礼いたします。「白磁の杯」は、…
背番号のないエース0829@ Re:ヒトラー 映画〈ジョジョ・ラビット〉に上記の内容…
takokuro@ Re:ヒトラー「わが闘争」(06/08) 「内心に罪の意識があり、自信がない人間…
しみず ぎすけ@ Re:278.笑顔に勝る化粧なし・・・(04/25) 小さな店舗で、運営を任されている清水と…
Abc@ Re:私の外国語学習(05/21) 頭悪すぎm9wwwwwwwwwwwwwwwwww
2008.06.22
XML

◆第9話「冷たい情報、熱い情報」



(喫茶店、純一と学生たち)



美里 合説って、あんなに人が多いんですね。立ちっぱなしで、足痛くなっちゃった。


純一 じゃあ、新天町に「歩人館」っていうアシックスのお店があるから、そこで靴買うといいよ。RUNの卒業生がアシックスにいる。


美里 そりゃ、行かないと。あれじゃ耐えられませんから。


純一 ついでに、卒業式の衣装ならイッツフォーマルが人気だよ。で、合説、どうだった?


亘 去年が懐かしかったです。というより、懐かしむにはまだ早いんですが…。


純一 何かいい情報はあった?行きたい会社は見つかった?


麻衣 はい。TOTO、JR九州、りそな銀行の説明会が面白かったです。


純一 まぁ、説明会はどこも工夫するから面白いよ。「仕事」は面白そうだった?


麻衣 あ…。考えるの忘れてました。


美里 あたしも。


純一 最初はそんなものだ。説明会も取材と同じで、何度もテーマを持っていくと、段々目が肥えてくるものだよ。


美里 あたし、気になったことがあるんですけど。


亘 何が?


美里 パソナの説明会、後半しか聞けなかったんですけど、そこで学生たちの質問を聞いて、「こりゃどうなのさ?」って感じたんです。


純一 「クローズ・エンド」ってこと?


麻衣 クローズ・エンド?


美里 みんな、有給休暇とか業界内順位とか、離職率とかばかり質問してるんです。あたし、やりがいとか夢とか聞きたかったのに…。今度はもっと早く行こうっと。


亘 どこもそんなもんだよ。オレは財務情報を中心に聞いてたけどね。


純一 会場の出口には、不満そうな学生が集まってなかった?


麻衣 いました。


純一 「いい会社ないなぁ」とか言ってただろう?


美里 言ってた言ってた!煙草プカプカふかして、ラーメンの話してました。


純一 しかし、君たちは同じ合説に行って、「行ってよかった」と思ってる。不思議とは思わないか?


麻衣 確かに…。私たちは同じ会社を見たはず。滞在時間は違っても。


純一 美里ちゃん。君、血液型、何型?


美里 え?あたしは…B型ですけど。


純一 分かった。じゃあ、どこ出身?


美里 下関です。だから何なんですか?


純一 じゃあ、B型である自分を、どう思ってる?


美里 え?それは…自己中心で気分屋で、優柔不断で…何か嫌になってきますね。


純一 じゃあ、下関をどう思ってる?


美里 あたしの故郷ですから、大好きですよ。ふぐもおいしいし、赤間神宮とか海峡タワーも素敵です。春帆楼もあって、下関条約が結ばれた当時の会議室が残っていて、ロマンを感じます。


純一 そうだね。伊藤博文や陸奥宗光の座った椅子がそのまま置いてあって、下関の町が歴史の舞台になったって実感が湧いてくるよね。そして、故郷を盛り上げたいと思うだろう?


美里 そりゃ、いつかは地元に恩返しをしたいです。


純一 …ということで、ちょっと「ムチャ振り」だった今の質問で、何か気付いたことはなかった?


亘 話を広げていった…。


麻衣 分かった!質問の仕方です。最初は「何」、「どこ」だったのに、次は「どう」でした。


純一 さすが。その通り。実は、質問の仕方には二通りあって、「確認」のためにする質問、つまり「何、どこ、いつ、誰」を「クローズ・エンド」と呼び、「共感」のためにする質問、つまり「どう、なぜ」を「オープン・エンド」と呼ぶんだ。


例えば、美里ちゃんはB型だ。だから、僕が「B型」という答えを聞いて、「び、B型?…すごい。会いたかった。これこそ運命だ」と言ったら、ただの変態でしかない。


「何」は共感できず、ただ確認するしかない。感情じゃなく、理性で処理する情報だ。コトよりモノを聞く質問、と言ってもいい。非常に唯物的な発想だ。


亘 なるほど…。


純一 しかし、「B型であることをどう思う?」という質問なら、同じB型の人がいても、答えは様々なものになる。つまり「個性」が出てきて、共感の対象が生まれる。


美里 こ、これって、就活も一緒じゃん!


純一 その通り。クローズ・エンドの質問に対してもたらされる答えを「クールデータ」と呼び、オープン・エンドの質問に対してもたらされる答えを「ホットデータ」と呼ぶ。そして、就活でも営業でも、クール、ホットをうまく組み合わせて使うことが大切なんだ。


例えば、麻衣ちゃん、パソナの人事の人に「業界何位ですか?」と聞いたら?


麻衣 一位とか二位って言われます。


純一 そうだね。つまり、そこで「クローズ」だ。じゃあ、「一位になるため、今後どんな事業展開を考えていますか?」と聞いたら?


麻衣 …パソナ独自の営業戦略や事業理念を答えてもらえます。


純一 それは「確認」と「共感」、どちらで受け止める?


美里 共感です!





お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう

Last updated  2008.06.23 03:30:43
コメント(0) | コメントを書く
[短歌/俳句/小説/戯曲] カテゴリの最新記事



© Rakuten Group, Inc.