青い山脈
青い山脈といえば、石坂洋次郎原作のミリオンセラーで7回も映画化されたほどの名作である。他にも、何処へ5回、若い人4回とかなりの作品が複数回映画化されている。その中で、「暁の合唱」は41年、55年、63年と3回映画化されているだけだから、石坂作品の中では映画化の回数はかなり控えめなほうだ。ここで、紹介するのは1963年、つまり一番最後に映画化された作品で、出演者を見てみると、星由里子・新珠三千代・宝田明・山村聰と,そうそうたるメンバーが立ち並んでいる。舞台は中国地方の古都「倉敷」。若きバスガール星由里子を中心とした青春ドラマである。主役は、この星由里子とバスの運転手宝田明だが、第二の主役は、公共輸送の第一線からとっくに引退したボンンネットバスである。そのボンネットバスが生き生きと画面で走り回っていたものだから、私はその雄姿に見とれていて、肝心の筋をほとんど覚えていない。又、あまりにも近代化された倉敷は嫌いだ、という諸兄には、しっとりとした古都の雰囲気を漂わせる本作品はお勧めといえる。