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カテゴリ:心に残った短歌
近所の小さいショッピングセンターで、その周囲に棚をしつらえて、藤を植えているところがある。
もう30年近くも、毎年この季節には美しい花が見事だ。 今年も、その藤がとても美しく咲き始めた。 カナダの藤の花と日本の藤の花とでは少し違うかもしれないが、藤を見ると、宮柊二の藤の歌が、たくさんに思い浮かぶ。 特に、歌集『藤棚の下の小室』の「藤の花」の項には、亡き父上に思いを馳せながらの藤の歌9首が、しみじみと詠まれている。 私は、その中でも特に以下の一首、それも特に特に下の句が何度読んでも大好きである。 風かよふ棚一隅(いちぐう)に房花(ふさばな)の藤揉み合へば紫の闇 以下引用 藤の花 曇りつつ風わたる朝むらさきの藤の花房棚に揉み合ふ 風かよふ棚一隅(いちぐう)に房花(ふさばな)の藤揉み合へば紫の闇 色ふかく藤のむらさき咲き垂れてその花のした虫群れて飛ぶ 藤棚はあした小暗し咲き垂るる藤の花尖(はなさき)みな光持つ 長房(ながふさ)の先を離れし藤の花一つが早く石に落ちゆく 顔を打つ藤の花房冷たくていや年(とし)離(さか)る命(いのち)終へし日 日除(ひよ)けまで役(やく)立たざりし藤の棚かく茂りかく咲きたれて父偲ばしむ 父はいま遠き人にて幾十の藤の花房光りつつ垂る 母が知らぬ嘆(なげき)こそすれ亡き父の常臥(とこぶし)の部屋藤の花陰 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
May 15, 2006 10:22:14 PM
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