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2011年06月03日
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カテゴリ:読み物
リオです。
こんにちワオキツネザル。
そしてさよなライオン!

ええ、とうとうこの日がきてしまいました。
お別れです。
リオのお気楽ぶらり地獄旅ぶろぐ~湯煙編~は今日で終わりです。
短い間でしたがみなさんにはお世話になりました。
いやいや、よい経験をしましたよ。

ということで、みなさん、
おさらばです!
---------------------------------------
「カナコに首ったけ」

「行くんだね」
 士郎が重い声でカナコに尋ねる。
「はい」
 俯いたままカナコは答えた。
 柔らかい照明に照らされた店内には静かにモダンジャズが流れている。
 士郎のグラスの中で氷がカランと音を立てて傾いた。
「いや、わかってはいたんだ。でも、やっぱり……ショックだなあ」
 痛々しい笑顔を作る士郎。その顔を見てカナコの胸が小さく泣いた。

 あれ、意外と私も辛い?

「離れることは気にならないんだけどなあ……」
 士郎に聞こえないようにカナコは呟いた。
「寂しくなりますね、カナコさん。店主としてだけでなく、友人としてもカナコさんが御来店いただくのは楽しみでしたから」
「マスター……」
 士郎を見るほどではないが、マスターの声が聞けなくなるのも切なさはあった。
 ドアベルが鳴った。
「いたいた。やっほー」
 上機嫌のユキが入ってきた。
「二人きりの時間を邪魔して申し訳ないけど、私たちも混ぜてもらうよ。カナコのファンは士郎さん一人じゃないのだからね」
「私、たち?」
 カナコが首を傾げると、次々に知った顔が現れた。
「カッ、カナコオレ聞いてないぜ」
「太一くーん、今日はエリカと遊ぶ約束ー」
 血相を変えて近づいてきたのは太一。横にはエリカがくっついていた。
 ドアベルは鳴り止まない。
「いやはや、久しぶりですね。マスター。これ、野菜です」
「これはこれは雨宮君、いらっしゃい。ごちそうさまです」
 同級のよしみで話を交わす雨宮とマスター。
「カナコセンパーイ。士郎さんに『アパートの鍵貸します』か? なーんてね」
 アリサが最後にドアを閉める。
「みんなそろってどうしたのよ!?」
「色々あったの。ま、大体偶然よ。ただ共通しているのはアンタに会いに来たってことよ」
 
 あ、ちょっとマズイ。泣きそう。

「もーう、大げさなんだから。でも、みんなありがとう」
「いえ、カナコさん」
 マスターはカウンターを出るとドアに掛かっているパネルをひっくり返し、「CLOSE」を店先に掲げた。
「これぐらいしたいのですよ。みんなそれだけカナコさんが大好きなんです」

 もうだめ、こぼれる。

 ぽろりと、落ちた涙が照明に煌いた。
「ば、ばかー。みんなも笑うなー」
 泣きながら微笑むカナコ。
「さて、雨宮君のお野菜がありますし、今宵は振舞いますよ。みなさんお席にどうぞ」
「手伝うよ、マスター」
 雨宮がカウンターに入った。
「泣いてる先輩も可愛いっ。主任、女の子には嬉しい涙しか流させたらダメですよ」
 アリサが少し意地悪そうに言った。
「あ、ああわかった!」
 真に受けた士郎を見て太一が不機嫌そうにしている。
「遠距離なんてうまくいくのかねえ」
「あんたどっちの味方よ」
「太一くん、ちゃんと応援してあげなきゃですよ」
 ユキに頭をはたかれ、エリカに怒られる太一。
「カナコ先輩が中国にいったあと、企画管理責任者は私が引き継ぐことになりましたので安心して行ってきてください。……でも、不安なときは電話しますね」
 アリサもいつもとかわらない調子でカナコに話しかけた。
「ちょっと驚いたな。僕はこれだけの君のファンを押しのけて一番になったのか。責任重大だね」
 緊張した様子で士郎が呟くと沢山の同意の声が届いた。
 カナコは士郎の目を見て言った。
「ふふふ。大丈夫です。いつまでもヒーローに憧れるような士郎さんでいてくれたのなら、私はずっと傍にいますから」
 歓声があがった。
 豪華な料理が並び、酒が振舞われ、皆が思い思いに言葉を重ねる。
 笑顔が踊り、誰もが今日という日に感謝した。
 新しい物語への入り口。
 始まりの夜が、ここに咲いた。
--------------------------------------- 
「カナコに首ったけ」 fin.


キャンドル





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最終更新日  2011年06月06日 23時06分15秒
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