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ヒロガルセカイ。

ヒロガルセカイ。

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5.

焼肉パーティのような夕食が過ぎると、後片付けが始まりました。
「おい、物音を立てるな!」
やけに音に気をつけて皿を運んでいますね。

「紀章さん?その膝の坊っちゃんはどなたですか?」
極西会の料理番を一手に引き受けている家政婦さんが顔を出しました。
「うちの組の大事な人ですよ」
紀章の膝に頭を乗せて、警戒心も無くまるで猫のように寝ている黒い髪の少年を見て家政婦さんが微笑みました。
「志信さんのお相手ですか。暴れるような子供には見えませんが?」
「おとなしく寝ているからでしょう。起きたら手がつけられません」
紀章がアヤの髪を撫でました。
「手が出せないのと違いますか、紀章さんたら。
そんなに愛おしそうにしていると舎弟たちがやきもちを焼きますよ」
ずばり言当てられて返答に困っています。
家政婦さんはアヤの寝顔を眺めて、ふうとため息を吐きました。
「そんなに細い子がこの組の姐になるのですか。
まだ子供でしょうに、いいのでしょうかね。この子の親御さんは…」
やはり女性です、何よりも親のことを思うのでしょう。
しかし大事なのは本人の気持。
紀章はアヤの頬にそっと触れながら

「アヤさんは何もかも捨てて、好きな人のところに飛び込んできたのですよ。
大丈夫です、皆でアヤさんを守ります」

「驚いた!たいした度胸じゃないですか。さすがは志信さんのお相手ですね。
そんなところも紀章さんのお好みですか?」
ふふと笑って家政婦さんが台所に消えていきました。

そんなことを言われて、ふたりっきりにされるとどうしていいのやら。

「アヤさん」
呼ばれてもアヤはちっとも起きそうにありません。
引越し作業で疲れていたところに、焼肉でお腹いっぱいときたら…寝るでしょう。
もとより寝るのが趣味な子です。

「こんな可愛い顔をして、この子は蹴るし」
起きていれば確かに蹴ります、どんな男も倒してきたくらいのやんちゃものです。
「寝ている今だけ、こんなに近くにいられるのだろうか」
男の膝はそう居心地がいいものではないでしょうに、アヤはかすかに寝息をたてています。
「しかし、肉を食べてすぐに寝るなんて。牛になりますよ、アヤさん」
笑いながらふと…自分の指がアヤの唇に触れました。
ちょっとでも力をこめたら、きっと口の中に入れる。
そう思っただけなのに無意識なのか、そっと唇に指を押し付けてしまいます。
「…ん」
アヤが寝返りを打とうとしたのかごそごそと膝の上で動きました。

<いけない>

わかっているのに、わずかに開いた唇に指を差し込んでしまいました。
背筋がびりっと痺れます。





どこかが熱い、アヤがぼんやり感じていました。
<ああ、寝ていたのかな>
志信さんはよその組に挨拶に出かけたと聞いています、なのに目の前にぼんやりと男の人がいるようです。
<帰ってきたのかな>

ちゅっと首筋にキスをされました。
<シャツを着ていたのにな…>
お気に入りのナンバーナインのシャツがたくし上げられています。
<あ、脱がさないんだ>
いつもよりもゆっくりと指が動いているようです。
すこし触れられただけで感じてしまった乳首が、指先で摘まれて。
「ん!」
アヤは思わず膝を立てました。

その膝を撫でながら舌先がアヤの乳首をつつき、そして口に含んで吸いました。
「あ」
たまらずに震える腿を撫でるとアヤのジーンズを腰まで下ろして下着の上から刺激を与えてきます。
<なんか、いつもと違う…>
その指はゆっくりとアヤの股間を濡らしていきます。
茂みをまさぐって自身をそっと撫でます。
固さを増したアヤのそれは触られるたびに限界に近づきます。
<熱い、いつもよりも熱い>
はあ、と息を吐くと片手がアヤの乳首を下から撫でました。
ズキンと体の奥が反応します。
乳首を指先でくるくると刺激されて腰が震えます、自身もゆっくりと扱かれて早くも達してしまいそう。
<も、だめ>
乳首を刺激するその指に触れました。
そして股間に誘導します。
立てた両膝を広げて迎え入れようとしますが、手は握られたまま。
きりりと起った乳首を再び口に含まれてしまいました。
「んん!」
アヤがのけぞるとつないだ手に力がこめられます。
そして自身を扱く力は次第に強くなりました。
<どうしたんだろう、いつもよりも…>
アヤが達するのを我慢させて、まるで焦らすような愛撫です。

腿に汗が光ります。
前戯に時間をかけてくれたのは初めてです。
<自分だって抜きたいだろうに、どうしたんだろう>
困惑しながらつないだ手を口元に持ってきて、その指を舐めました。

もうイきたい。
お願いだからイかせてほしい、我慢できない。

荒い息を吐きながら舌で指を舐め続けます。

ふいにその指が離されました。アヤの唾液で濡れた指が腿を撫でて、その柔らかな肌を吸いました。
「あ!」
敏感な部分にも刺激を受けてしまい、アヤが自分の手で股間を覆いますが指の隙間から溢れる白い精液。
茂みも白く変えてしまったのを見ると、力が抜けました。

いつもなら脚を上げられて志信さんが挿入してきます。
アヤはそう思いましたが、長い愛撫のせいで体力がなくなってしまい体を放り出していました。
息を大きく吐くアヤの奥に指が入りました。
まるでためらうかのように、すこしづつ…中に入り込みます。
<そんなところで…>
焦れてきたアヤが何かを言おうとしますが、果てたはずの自身も撫でられていることに気がついて肩が震えます。
力が全く入りません。

<名前を呼ばない…>

体だけが熱くなっていきます、感じたいのに抱き締めてくれません。
焦らされてばかりで苦しい。
弄ばれているのかと唇を噛みます。
指だけがアヤを確かめていて、とうとう挿入のないままにアヤが力尽きてしまいました。


「え!!」
視界に広がる白い天井にびっくりして飛び起きました。
いきなり頭を動かしてしまってくらくらします、寝起きの悪い子ですから。
ぼんやりしながらタオルケットを眺めて…何かを思い出しました!

大慌てで自分が服を着ているか確かめました。
無事に下着もつけていてほっとしましたが…恐る恐る触れてみます。
かすかに濡れているのは寝汗ですか?それともあれは夢では無くて、志信さんに抱かれていたのでしょうか。
「あのひとならご丁寧に服を着せないはず」
はあ、とため息をつきました。

夢の中で抱かれたのでしょうか。
そんなに自分は志信さんを求めていたのかな、アヤは恥かしくなりました。

「アヤさん、おはようございます」
紀章が突然声をかけてきたのでびくっとしました。
「いつからいたんだ!」
「そう言われても、ここは俺の部屋ですから。
さあ、起きたならお仕事を始めますよ?さっさと顔を洗ってください」
アヤの荷物はすでに運び込まれています。
釈然としないまま、アヤが荷物を開けようとして気がつきます。

箱が開いていました。

そしてアヤの着ている服は、お気に入りのナンバーナインではありません!

どきっとして動きが止まります。
背後に紀章の気配がします。
「昨日、俺はここで寝ていたの?」
「そうですよ、どうかしましたか」
「誰が着替えさせたんだよ」
「俺です。寝汗をかいてみえたので、風邪でもひかれたら志信さんに怒られますからね」
どうも悪びれた様子がありません。
アヤはまさか、と思ったのですが。
もしも手を出していたのなら、距離をとらないでしょう。

「寝汗?」
アヤは着替えるほど寝汗をかいたことはありませんよ。
「紀章さんはどこで寝ていたんだよ」

「アヤさんの隣です」

→夢か現か。アヤ対紀章、6話に続きます。

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