カテゴリ:きみに願いを。(詩)
夏至は値札をつけるラベラーの使い方を教えてくれました。
「ね。簡単でしょ。恭さん、これ全部お願いしますね。」 「わかった。」 特売のシャンプーに値札をつけます。 1箱に24本、それが5箱。 まあ・・すぐに出来そうです。 隣でシャッと音がします。 夏至がカッターで箱を1づつ開けてくれていました。 「えっ。ありがとう。」 「初日ですから。これくらいは。」 にこにこしながら全部開けてくれました。 「マイ・カッターがあると便利ですよ。 多分事務用の机の中に1つくらいあるでしょうから探しておきますよ。」 夏至が店内に行ったのとすれ違うように店長が来ました。 「おっ。よろしくね、恭くん。」 「よろしくお願いします。」 恭の名札を見て店長が笑いました。 「夏至が書いたの?あいつは・・。」 「なんかおかしいですか?」 「いや。あいつがちゃんと面倒みてるんだなーと思ってさ。」 店長は楽しそうです。 「あいつも恭くんみたいに新人のバイトだった時期があったから。 あいつが新人を教育するようになるとはね。」 「?だって、頼れって。言ってくれましたよね、店長。」 「まあ。そうだけどさ。言うこと聞くと思わなかった。」 なんでしょう? 「夏至さん。いい人ですよ。」 「あいつが聞いたら喜ぶよ。まあ仲良くね。」 店長が手を振りながら事務所へ入っていきました。 ああ。そういえば。マイ・カッターがあると便利って言ってたな。 恭はバックヤードのロッカーに入ろうとドアノブに手をかけました。 ・・・なにか声が聞こえてきます。 息を殺すような・・それでももれるような・・。 激しい息使いも。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2006/04/30 06:59:41 PM
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