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おぼろ二次元日記

mamさんより20万打銀魂小説♪

『真昼の走馬灯』




「あら、こんなにおいしいのに。」とあいつが口を押さえて
不思議そうに言う。
「こんなの辛すぎて食べられませんって、みつば殿。」と近藤さんは
目に涙を浮かべている。
「こんな野郎どものことはどうでも良いですから、姉上は休んでいて
くだせぇ。」
総悟の言葉を、「あら、総ちゃん、言葉遣いが変よ。」とクスリと
笑って聞き流し、あいつは男たちの間をくるりくるりと動き回る。
「あなたにはこれですね。」とマヨネーズを渡そうとするから、
俺は無視して懐からマイ・マヨネーズを出して、飯にかける。



「お前は国に帰れ。居たって邪魔なだけなんだよ。」
「土方さん、姉上にその言い様、許せませんぜ。」と言う総悟を、
俺は睨みつける。


「いいえ、帰りません。私が居なかったら、あなた達、どうやって
生活できると言うんです?。」
お掃除だって、洗濯だって、食事だって・・・、とお前は数え上げる。
「そんなもんは、やろうと思えば野郎だって出来るんだよ!!。」
「あら、じゃあやって見せて下さいな。」
「そうですぜ、土方さん。じゃぁこれから真選組の家事は全部土方さんが
やって下さるってことで。」
「お前は黙ってろ。」



こんな所で野郎共の世話なんて焼いてることはねぇんだよ。
たった一人の男、どこかの普通に暮らしてる人の良い男と所帯をもって、
そいつの世話を焼けば良い。
お前に似た子供をたくさん産んで、そいつらの面倒を見てやれば良い。
普通の男、普通の子供、普通の家庭、その中で笑っていて欲しいんだよ。


お前がそうやって幸せなんだと思っていたいんだ。


なのに今、お前は隊員たちのいっぱいの洗濯物を、鼻歌まじりに庭に干す。


春を感じさせる風の中で、洗いたての洗濯物がゆるゆると揺れる。
あいつのほつれた髪が金色に輝いている。
俺に気がついて、その顔にゆっくりと微笑が広がる。
溢れる光の中に溶けそうに、けれどしっかりと存在している女。


風に吹かれて、あついの手から洗濯物が一枚、こぼれ落ちる。
俺はそれを拾い上げて、あいつに渡す。


触れる手。
包み込んで、口元に寄せる。
身体ごと引き寄せて、抱きしめる。
唇を重ねる。


お前が欲しい。
全部欲しい。
一つ残らず俺のものにして、誰にも渡さない。



・・・・・



まぶたを侵しはじめる白いスクリーン。
陽の明るさ。
どうやらうたた寝をしているらしい。


あぁ、そうだ、分かっている。
また、見ているんだ。
夢と分かっていながら、見る夢。
もうこの世のどこにも居ない女。


分かっているから、もう少し、この夢の中で生きさせてくれ。


「惚れた女には幸せになって欲しい」だって?。
くだらねぇ!!。


繰り返し、繰り返し。
細波のように寄せては返す思い。
くるくる、くるくると。
そんな真昼の走馬灯。




*****************************



20万打記念銀魂みつば編小説をいただきました。
ミツバの幸せを願って離れようとする土方の心は
どうにも戻ることができなくて。
ならば夢のなかで・・・。
切ない二人の思いが回る・・・


mamさん、本当にありがとうございました!











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