働かざるものを喰うべからず(その1)~仕事について~
●「朝」やっと働ける年になって、すぐに私はバイトを探した。見つけたのは病院での食事支給のバイト。そのバイト先は、祖母の家からとても近く、祖母の知り合いがたくさんパートに来ていた。15歳のガキは孫のように可愛がられたり、いびられたりしたが、めげなかった。バイト先の社員の人たちはみな若くて可愛い女の人ばかり。 朝は気分がいい。朝は色々なことを考えるし起こしたい気分になる。パートさんの中に一人すごく元気が良く、可愛く、頼りがいがあり、仕事が出来、でも手抜きも上手く、その人がいるとみんな仕事を楽しく出来るようになるくらい周りに良い影響を与えている人がいた。たぶん40後半から50歳くらいの人で、私はその人がとっても好きだった。そして、思った。「カミングアウトしてみよう!」自転車に乗り、そのパートさんと帰宅途中…信号待ちの時間。そのころ私はアカーで少しボランティアをしていたので言った。「私、ボランティアをしているんです」「えらいねぇ! かっこいい! なんのボランティア?」「色々やってるんですけど…」信号が代わり「そっか、今日もこれからボランティア行くの?頑張ってね!じゃね~」颯爽と自転車で信号を渡り、あっという間に見えなくなる。私は、人気のまだない道を「言えなかったじゃねーかぁ! 色々ってなんだよ~色々ぢゃねぇ~んだよっ!」と自己嫌悪とも、安心とも、反省ともなんとも付かない気持ちを吐き出しながら、家路についた。(続く)(みかこ) ■Youthライフヒストリー・スナップ ■~◎「仕事」編~みかこ(その1)■ 【ライフヒストリー・スナップとは?】誕生日が一日違い、同い年21歳のレズビアン・ユース(みかこ)とゲイ・ユース(しんご)がいろいろなテーマについて書くライフヒストリー。『QM』誌のレギュラー連載です。今回のテーマは『仕事』です。 『ライフヒストリー・スナップ』その他の記事を読む