利府町の新幹線総合車両センター
JR東日本の新幹線車両の中枢基地が、利府町にあるアレだ。正式には、新幹線総合車両センターというそうだ。JR東日本で総合の名が付く車両基地は、新幹線についてはここだけ。昭和54年設置。担当車両数は1359両、最大収容579両、従業員数1200名。ここは、JR東日本の保有するすべての新幹線車両の点検整備を担当。東北、上越、北陸、山形、秋田の各沿線各所に車両センターはあるが、それらを統括しており、全般検査(36月以内又は120万km以内)、台車検査(18月以内又は60万km以内)は、全てここで行われる。これらの検査のほか、日常的な検査である交番検査(30日以内又は3万km以内)と仕業検査(48時間以内)が、各新幹線沿線の車両センターで行われるが、利府は東北新幹線車両について交番検査と仕業検査を実施している。台車検査は、車両を連結したままで、台車に取り付けられている部品をすべて外して、分解整備する。2日で作業を終えて、試運転を含めて3日を要する。全般検査は、車両を1両ずつ切り離して行い、台車工場、組立工場、車体工場、組立工場、台車工場の順に指定の作業を行う。組立工場は、車両から取り外された機器の分解整備を行う。車体はさらに隣の車体工場で整備される。全般検査の最終段階では、車両をつないだ編成試験が行われるが、利府の基地構内での試運転のあと、仙台ー北上間で実際に走行して試験する。なお、台車検査での本線試運転は、白石蔵王ー仙台間で行う。新幹線は走行距離が長く、東京ー新函館北斗の一往復だけで1700km以上になる。また、最速320km/hで、不具合が発生した場合の対処が気になる。東京は東京新幹線車両センターが担当するが、利府の総合車両センターは郡山付近から北上付近を担当するので、担当エリアが最も広いという。不具合は、走りながら修理するが、それができない場合は仙台で列車を打ち切って車庫に入れる。自力走行できない場合は、数キロごとにある軌道への専用出入り口まで、車で向かい、そこからは軌道上を歩いて現場に向かう。■参考:柴田東吾『車両基地 知られざる鉄道バックヤード』交通新聞社(交通新聞社新書104)、2016年なお、文中の「東京新幹線車両センター」は田端。また、これ以外の各「新幹線車両センター」とは、以下のとおりのようだ。盛岡新幹線車両センター(なお、青森派出(油川)があり)小山新幹線車両センター長野新幹線車両センター新潟新幹線車両センターまた、山形車両センター(新幹線車両センターではない)と、秋田車両センター(同じく)では、それぞれ、新幹線直行特急電車(E3系、E6系)が配置されているようだ。