名前だけは知っていたが、9月に初めて訪問した。平成の地域おこしブームで作った観光施設と勝手に思っていたが、地域に根差した歴史ある施設なのだった。
園内の順路に従って随所に、ダリヤ公園物語と銘打ってシリーズものの説明板がある。読んで回った。
(写真は最初の説明板だけです)
ダリヤ公園物語 1 ダリアの歴史と川西ダリヤ園
昭和三五年に開園した川西ダリヤ園は日本で一番歴史のあるダリヤ園です。町民の憩いの場として、また、観光地として町内外から多くのダリアファンにご来園いただいております。
天保年間の一八四二年ころ、オランダから長崎の出島を経由して東京巣鴨にもたらされたダリアは、「天竺牡丹(てんじくぼたん)」の呼び名で珍重されたと伝えられています。そして、江戸時代の後期になると全国に広まり、明治三十年ころから盛んに栽培されるようになりました。この時代のダリアはたいへん高価なものでしたが、川西町では多くの愛好家がダリアを栽培したといわれています。
こうした中、川西町では昭和二十九年に小松花の会、現在の川西ダリヤ会が発足。その二年後に初めて展覧会が開かれ、これをきっかけに一般家庭でも栽培が楽しまれるようになりました。
そして昭和三五年に、日本初のダリヤ園が開園しました。このときのダリヤ園は四七アール。
現在のダリヤ園のおよそ、五分の一の規模でした。
(写真)
・小松花の会立ち上げ・当時のメンバー(昭和30年)
・旧ダリヤ園建設予定地(昭和35年)
・ダリヤ園開園式の来賓(昭和35年9月21日)
ダリヤ公園物語 2 ダリアの魅力〜豊かな表現を持つダリア〜
ダリアは花形、色彩、花の大きさなどが多種多様でバラエティー豊かです。近年ではダリアの持つ豪華さがフラワーアレンジの世界でも注目され、結婚式など、パーティー会場を飾る花としても人気を集めています。もともと食用として原産国メキシコからヨーロッパへ持ち込まれたダリアでしたが、その花の豪華さから王侯貴族に好まれ観賞用の花として品種改良が進み発展してきました。
ダリアはキク科に属しており、花の直径はわずか三センチの極小輪から三十センチを超す超巨大輪まで、咲き方は花弁の形や付き方によって十七タイプに分けられます。
ダリアの花言葉の一つに「感謝」があります。口では恥ずかしくて伝えにくい「ありがとう」という言葉を、日頃お世話になっている方に、花言葉を添えて、ダリアの花束をプレゼントしてみてはいかがでしょうか。
ダリアの種類
【風下之郷】SIN(シングル咲き)
一重咲きの花で通常は8枚花弁の花です。原種に最も近いといわれる咲き方です。
【黒蝶】SC(セミカクタス咲き)
花弁の先がやや尖っていて全体の半分以下が外側に反るのが特徴の花です。
【ミッチャン】BA(ボール咲き)
たくさんの方々から人気のある品種です。花の形がポール型という特徴があります。
【宇宙】FD (フォーマルデコラ咲き)
舟形の花弁が幾重にも重なる花です。ダリアの代名詞とも言われ、最もボビュラーな咲き方です。
【銀婚式】(おだずま注、撮影が下手で読めませんでした。)
ダリヤ公園物語 3 ダリア栽培〜春・ダリアの目覚め〜
ダリア栽培の一年は春、四月から始まります。
まず、温度管理をしながら貯蔵庫で大切に保管してきた三万球の球根を目覚めさせるため、「芽出し作業」を行います。球根にストレスを与えないよう、貯蔵庫の温度を少しずつ上げていくと、カゴの中で少しずつ芽が出てきます。芽が出そろった頃、すべての球根を一球一球丁寧に確認し、芽が付いている球根とそうでない球根に仕分けします。
五月に入るとダリヤ園の土づくりが始まります。基本的な肥料を入れることはもちろん、土の成分を分析しながらダリア栽培に適した土をつくり、水はけを良くするため高い畝(うね)を立てます。
霜の心配がなくなる五月中旬には仕分けされた良質な球根を丁寧に植えつけていきます。
植え穴を十センチほど堀り、芽を上に向けて土で覆います。この作業は六月中旬まで続きます。
ダリヤ公園物語 4 ダリア栽培 〜綺麗に大きく咲かせるヒミツ〜
ダリアは植えつけたあと何もしなくても花は咲きます。でも、川西ダリヤ園のダリアの様に綺麗に大きく、そして長い期間花を咲かせ続けるためにはちょっとした秘密があります。その秘密とは「摘芯と芽かき作業」です。
ダリヤ園で栽培されているダリアの根元あたりをご覧ください。茎が根元の部分で四つ
(小輪〜中輪では六つ)に分かれて伸びています。このダリアの管理方法を『摘芯仕立て』といいます。地表から三~四節伸びたところで中心の若い芽をかきとり、その下の節から伸びてく
るわき芽を四本(小輪~中輪では六本)成長させ、その茎に一番花を咲かせる方法です。
この四本(六本)の茎のわき芽を適度に摘み取ることで二番花、三番花、時には四番花を期間中に綺麗に咲かせることができるのです。
植え付けから三週間ほどして中心の若い芽をかき取る作業を『摘芯作業』といい、わき芽を摘み取る『芽かき作業』は六月中旬から開園期間中絶え間なく続けられます。
(イラストと説明)
摘芯仕立て:地表から3~4伸びたところで主茎の中心の若い芽をかき取る。節から伸びてくるわき芽4本を生長させ、この茎に一番花を咲かせる。
ダリヤ公園物語 5 ダリアの見ごろ
「ダリヤ園の見ごろはいつですか?」といったご質問をよくいただきます。「九月・十月が見ごろです!」といったお答えをしていますが、開園期間中それぞれの時期によってダリアの表情が変わるため、お客様がどんなダリアを見たいのかによってその方の見ごろが変わります。
八月のダリヤ園は『一番花』が一斉に咲き始めます。一番最初に咲く『一番花』は、花のサイズが大きく整っているのが特徴で、一輪一輪の花をじっくり楽しめ、花の写真を撮るにも良い時期です。ただし、気象状況によりまだ花が咲かない品種があったり、遅咲きである大輪系も、つぼみしか見られない可能性がある時期です。
九月は『二番花』や大輪系の『一番花』が咲き、園内のダリアが咲きそろいます。『二番花』の特徴は、花数も増え、花のサイズも一番花よりひとまわり小さい程度で近くから見ても離れて見ても十分な見ごたえがある時期です。
十月を過ぎると、『三番花』『四番花』がメインとなり、花のサイズは小さくなるものの花数が圧倒的に増え、園内を見渡すとまるでダリアの海のようです。
このように時期によってダリヤ園の楽しみ方が変わります。
ダリヤ公園物語 6 オリジナル品種の誕生
ダリアは比較的品種改良がしやすく、世界には四万種類を超える品種があるといわれています。川西ダリヤ園でも毎年品種改良に取り組んでいます。
川西ダリヤ園の品種改良は他品種をかけあわせてタネをつくる方法をとっています。球根じゃなくてタネ?と疑問を持つ方もいらっしゃるかと思います。実はダリアはタネもできるのです。
花が咲き終わると花の中心にゴマの様なタネがたくさんつきます。そのタネを翌年の春に蒔けば新しい品種の誕生です。どんな花が咲くかは、花が咲くまでわかりません。タネから育った新しい品種は数年間の経過を観察し、球根の付きかたや病気への対抗性などを見て問題がなければようやく新品種として日の目をみることができます。
川西ダリヤ園では毎年三〜四種類の新品種が誕生して、おり、この品種名はダリヤ園に来園されたお客様から公募などし決定されます。世界中でここでしか見ることのできない川西ダリヤ園産のオリジナルダリアもお楽しみください。
(写真)
川西産新種類
・ゆ●●まる(おだずま注、一部文字読めず)
・キンメダル
・ソチトル
ダリヤ公園物語 7 もう一つのダリヤ園
川西ダリヤ園は「もうひとつのダリヤ園」を持っています。川西ダリヤ園の作付面積とほぼ同じ広さのダリア畑がダリヤ園の周辺に点在しており、増殖畑と呼んでいます。
この「もうひとつのダリヤ園」は次の年の球根を確保するために作られています。ダリヤ園内だけでも十分な球根は確保できますが、病気にかかったダリアの球根は次の年は使えませんし、採れる球根の数が少ない品種もあるので球根を確保するために必要なのです。また、そこで咲くダリアの花は、ダリヤ園のPRキャンペーンのため各地で展示をしたり、町内のイベント会場を華やかにするなどし活用されています。ダリヤ園に元気な球根を植え付け、よりきれいなダリアをお客様に楽しんでいただけるよう、見えない場所でもダリア栽培が続けられています。
また、川西町内いたるところでダリアをご覧いただけると思います。昭和五十年に町の花に制定されたダリアは町のシンボルとして町内の自治会や公共施設、個人宅などでも栽培されており、これもまた「もうひとつのダリヤ園」と言えます。
(写真)
●山形銀行本店への展示
●園内でのアレンジ展
ダリヤ公園物語 8 ダリア栽培 〜閉園をむかえて〜
11月上旬。閉園を迎えたダリヤ園にはまだまだ沢山の花が咲いています。まだ、開園できるのでは?といった声もたくさんいただくのですが、この時期を迎えるとすぐにダリアを根元から切り倒す作業を始めなければなりません。雪が降る前に地中に育った球根を全て掘り起こす必要があるからです。
ダリアの茎から下の部分には沢山の球根がついているので、一株一株丁寧に掘り起し、すぐに水洗いして陰干しをします。園内はもちろん、増殖畑全てのダリアの球根を掘り起こすまで約一カ月かかります。
十二月に入ると掘り起こした球根の塊から球根を一つずつ切り分ける『分球作業』を行います。ダリアは茎の部分からしか芽を出しませんので、茎の部分をつけた状態で切り離していきます。この作業にも熟練の技術が必要です。
この作業を経て毎年三万球を超えるダリアの球根が温度管理された貯蔵庫で眠りにつき、次のシーズンの植え付けを待つことになります。
ダリヤ公園物語 9 未来へ 〜ダリヤ園の挑戦〜
川西ダリヤ園は、開園六十年を迎えました。川西町のシンボルとして町内外から多くのお客様にご来園いただき、充実した時間を過ごしていただけるよう挑戦しています。
園内に咲くダリアの楽しみ方、その花が咲く過程等を説明しながら案内する「ボランティアガイド」はその試みのひとつです。
平成二十七年には、川西町誕生六十周年記念「国際ダリアサミット」において、「国際ダリア園宣言」を行ったことから、「ダリアの聖地」として、ダリアの魅力を発しています。ブラジルサンパウロ州イペランジャホームとの姉妹園の締結、全国のダリヤ花園とも交流しています。また、ダリアの魅力を引き立たせる川西ダリヤ園ならではの多彩なイベントをはじめ、皆様のお庭でもきれいなダリアを咲かせていただくための栽培講習会などもおこなっています。
ダリアを、見て、触れて、感じていただく機会をつくることで、感動をお持ち帰りいただける旅をご提供できるような仕組みづくりに、これからも挑戦していきます。
(写真)
●ボランティアガイド
●栽培講習会
●フローリストダリアアレンジ展