カテゴリ:東北
録画しておいた番組(みのもんたの日本ミステリー)を、ヒマを見つけては細切れに子ども達と見ているが、邪馬台国が四国の阿波にあったとする「新説」があった。一部に強固に主張されているのは知っていたが、昨年の古墳発見で俄然注目を浴びたという説明。天皇家に代々仕える阿波忌部氏の話は大変興味深かった。
ところで全然関係ないことだが、この徳島の話で登場した先生の肩書きが、市立鳴門工業高校教諭、とあってビックリした。何に驚いたかというと、あの甲子園で有名な鳴門工業は県立だろうなと、根拠もなく思っていたからだ。 一般に市立は商業系が多いが、鳴門市は工業が盛んなのだろうか、大きな工場でもあっただろうか、国立の鳴門教育大学は知っているがそもそも都市規模も大きくないと思うが、などと疑問が消えない。 そこで、調べてみた。人口6万2千人は東北の地方都市と変わらないが、大塚製薬グループの大塚製薬工場が立地する、グループ発祥の地。不勉強で恥ずかしいが徳島ヴォルティスの本拠地でもある。市立鳴門工業高校は1962年に設立されている。 鳴門市の一般会計規模は200億円、市税収入は80億円のようだ。各市サイトに掲載された広報から平成20年度当初予算を拾うと、 石巻市(人口17万人) 一般会計歳出591億円、これに対し市税収入183億円 気仙沼市(6万5千人) 214億円、63億円 北上市(9万4千人) 294億円、134億円 米沢市(9万3千人) 304億円、112億円 名取市(7万人) 216億円、103億円 大館市(8万2千人) 278億円、82億円 白河市(6万5千人) 236億円、82億円 能代市(6万2千人) 230億円、67億円 五所川原市(6万2千人) 260億円、54億円 という感じで、やはり東北の6万人都市と比較すると、ちょっと市税収入は多めかな、という気はするが飛び抜けて工業都市という感じもしない。それでいて市立高校を持ちつづけているのは、やっぱり産業人材育成にかける市民の意気込みか。 先月記事に書いたが、能代商業高校は市立だ。市立高校は、秋田には3市4校。東北全体を見渡しても、県庁所在市以外で高校を持つのは、我が宮城の石巻市のほか、酒田市(酒田中央高校)だけ。なお、青森市と福島市には市立高校がない。 つまり、高校を持っている市は、仙台市、石巻市、山形市、酒田市、盛岡市、そして秋田の3市、これだけだ(ちょっと意外)。かつては地方中心都市の需要を反映して、商業科や女子実業系学科が結構あったのだろうが、県立に統合するなどして姿を消したものも多いと思われる。 仙台市は高校6校と特別支援学校1校を持ち、さすがに東北ではダントツの数だが、全国の政令指定都市と比較してみると、札幌市(高校8、特別4)、広島市(高校8、特別1)、千葉市(高校2、特別2)などとなっており、伝統ある先発指定都市ほど市立学校も多いようだ。 一概には言えないが、仙台市の場合は宮城県における同心円的な文化構造から来る伝統なのだろうか、市独自で教育基盤整備をすることが少なかったように思う。特に特別支援学校や大学は顕著に他の指定都市と差があるように感じる。京都市、川崎市、北九州市、広島市などが市立大学を設置しているのに対し、仙台市は、宮城県が本間知事の強い思い入れで大学を開校したこともあったためか、経済界からも要望の強かった市立の産業系大学構想を結局見送っている。札幌市や神戸市は高専も持っている。 今となっては財政的に懸命な判断だったとも言えようが、私はこの点随分前から気になっていた。仙台市は自ら大学を設置することを断念する代わりに私立大学の充実を図る施策を設けたが、ちょっとまずい結果となったのは周知の通り。高等教育機関を設置すべきだ、と言うわけではないが、高校の学力低迷や進学率低下が久しく、また市内に県立特別支援学校が5校もある上に市外の県立養護学校にも依存しているという。 仙台商業や市工など卒業生の活躍は大きいとは思うが、高校教育の底上げや独自性発揮、また養護教育の充実のために、仙台市はもう少し目を向けても良いのではないだろうか、と率直に感じるときがある。 ■関連する過去の記事 東北の組合立学校(08年6月19日) 檜山茶と能代商業高校(08年6月11日) がんばれ東北の商業高校の生徒達(08年6月10日) お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2008.07.15 01:42:13
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