各市の市長選挙を考える
日曜日(24日)に投開票が行われた市長選挙で、全国の話題となったのは、名護市と宮崎市だろう。名護市は、米軍普天間基地の移設受入に反対し、県外移転を求める元教育長の新人稲嶺さんが当選した。地元の意向を尊重するとしている鳩山内閣の判断に、影響が注目される。条件付き容認を唱え、2期目を目指す現職市長との接戦だった。 新人(社、共、民ほか推薦)17,950(当選) 現職(自、公支持) 16,362 投票率 76.96%宮崎市長選挙は、現職を破って当選したのが、合併前の町の町長さんだったというニュースで、印象に残った。4期務めた現職の引退を受けての選挙だが、当選した元町長は、前回の選挙でも現職に挑んで敗れた。姿勢の刷新を掲げて、後継者とされた新人を大差で破った。 新人・元町長 81,951(当選) 新人・元市議(民、公推薦)33,212 投票率 48.15%さて、東北でも市長選挙が行われた。当ジャーナルで3つの市長選挙に注目してみた。まず、福島県伊達市長選挙。無所属現職で2期目を目指す仁志田氏が、元伊達町長(冨田氏)、元梁川町議の2新人を破り再選。みを図ったが、わずかに及ばなかった。橘氏は地域農業の振興などを掲げたが、浸透しなかった。 現職 17,390(当選) 元町長 17,112 元町議 1,312 投票率65.30%この市長さんは、JRの車両所長をした方だそうで、保原町長を2期務めた。伊達市というと、保原の梁川の2つの核を連想する。今回の接戦も、この旧2町を代表した争いかと思いきや、惜敗の新人は元伊達町長さんだという。それにしても、300票足らずの接戦。河北新報は、現職が幅広い支持を集めたと表現しているが、どうなのだろう。地域的な構図か、現職の政策への批判か、かなり政治的な「中身」がありそうだ。朝日新聞によると、冨田氏は、小学校の改築などを例に旧保原町を中心とした利益配分だと批判したという。旧伊達町や旧梁川町の支持を集めたようだ。なお、朝日新聞は、伊達市の現職辛勝と、喜多方市の現職敗退、そして1週間前の南相馬市の現職敗退を含めて、平成の大合併のひずみと評している。南相馬は、民主支持の新人前市議が、現職をわずか700票差で破って当選していた。次に、喜多方市長選挙だ。ここは混戦で、現職が時点どころか3位に弾かれてしまった。 新人・元熱塩加納村長(山口氏) 12,502(当選) 新人・元県次長(飯野氏) 8,952 現職(白井氏) 6,553 新人・元市議(上野氏) 4,214 投票率 75.28%毎日新聞によると、山口氏は旧町村部を代表する形で地域間格差を指摘。経済人を中心に旧市域にも支持を広げた。陣営には渡部恒三議員の支持者らが加わった。自民が飯野、白井両陣営に割れたことも有利に働いた。飯野氏は、故伊東正義外相系の自民党組織が陣営の核となったが、世襲批判や知名度不足も響いた。この飯野氏は、現職白井氏の通算3期の後ろ盾役だった飯野陽一郎元市長の長男であり、白井氏は、後援組織の分裂を余儀なくされた。他には、花巻市長選挙だ。 現職(民主推薦) 30,954(当選) 新人(共産) 11,448 投票率 50.98%現職が堂々と2期目を決めたと言うことだが、共産党公認候補も結構票を取っていると見るべきではないか。投票率が前回から20ポイント近く下がっているから、基本的には無風だったのだろうが、批判票がやや多いようにも思う。