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暇人たかし

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2022.08.27
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誘われなければホラー映画を映画館で見ないことにしている。どうも、怖がりです。
吉祥寺のアップリンクにて『女神の継承』を見てきた。

ホラーというジャンルは、ミステリーなんかと違って、原因結果といった因果関係を説明する必要がないけど、すべて心霊の一言で片付けてしまうようなお話がおおいなか、この『女神の継承』はプロットが上手いのかきっちりと色んな筋が見えるように描いていて好感が持てる。

一緒に行った先輩は不評だったけど、私は割と好きな映画だった。

憶えている限りで気になるところを書き出してみることにする。一度見ただけなのでザックリとではあるが。

でもこれって、なんかネタバレってことになりそうだけど。

とりあえず、タイ人の名前はおぼえられないので、それだけはwikiを見て思い出しながら、関係図を明確にしておきたい。

・ミン ケツのデカい美人。霊に憑かれる人。
・ニム ミンの叔母。霊媒師。バヤンとかいう女神を祀る宗教をやっている。
・ノイ ニムの姉。ミンの母。バヤンの霊媒師になるはずだったオバサン。
・マニ ニムの兄。ミンの叔父。どうやらニムとノイはマニと一緒に暮らしているらしい。
・忘れた人 ノイの夫。映画の最初で葬式をあげられてる人。火葬場にてロケット花火着火で燃やされる。
・マック 忘れた人の息子。なんだかミンとはいい感じだったらしい。
・サンティ ニムの知り合いの呪術師。

ミンを中心にすると、母親はノイ、父親は忘れた人、弟はマック、叔母はニム、叔父はマイ、知らない人がサンティということになる。

さて先ず気になったのは、本筋とちょっと離れるけど、監督というか共同製作者の一人が韓国人ということもあって、韓国らしい問題設定があったこと。タイもまたそうなのかもしれないが。

①犬肉を食べること。
ペットで飼うことと犬を食べることは矛盾するのではないかという視点。仁義なき戦いで広能も食ってたくらいだから貧乏なときは食べてたかもしれないけど、韓国はもう豊かな国だから、薬膳とかいう名目をつけてまで食べる必要はないんじゃないか、みたいな問題だろうか。

②売春あるいは性風俗のこと。
日本だとまぁまぁといったグレーゾーンだけど、それはどうかという白黒つける視点。教会の十字架がピンク色に発光しているけども、たぶん売春を指していると思う。最初、アムステルダムの飾り窓かなとも思ったけど、そういえば韓国に限らず売春というか性風俗はピンクのイメージだよなぁ。

この①②の問題は日本だと分かりづらいけど、たぶん韓国だと怨恨怨嗟に繋がりやすいんだろうなと思う。映画の中でもミンに取り憑いていたのは動物とか複数人らしいので、そういうことなんだろう。なんだかエッチガニ。
映画の中では、忘れた人の家業(?)を継いでノイは犬肉売って生計を立てているし、ミンが田舎似合わない派手な服装をしているのも教会を通じた売春をしているんだろう。サンティが言うには「変な儀式に参加させたせい」でミンに色んなものが取り憑いたというけど、たぶん教会でのお祈り(というか売春相手の斡旋、だからお祈り中にスマホにメッセージが入る)とかもあるのだろうね。

ここから気になったこととか疑問とか一つの解釈とか。

③霊っていうか精霊っていうか。
終盤、ニムが死んで、ノイがバヤン巫女に覚醒して、取り憑かれたミンと呪術バトルする。化け物には化け物をぶつけるんだよ的な展開にちょっとだけなるんだけど、バヤンって別に女神じゃなくね?
つまり、バヤンと呼ばれる女神は、壊された像が象徴しているにすぎないのであって、そもそもたぶん一つの人格を持つ霊というよりは、この映画でいう霊は自然崇拝というかシャーマニズム的な精霊のことなんじゃないかと思うんだよな。

④ニムがバヤンの存在を感じたことはないと泣くオチ。
ようするにニムは霊媒師じゃなくて、呪術師だったってことだけど、ニム叔母さんが可愛そうでちょっとしんみりしてしまう。けど、この一言で、この映画のニムのちょっと変かもという行動原理に全ての説明がつく。ノイがミンを連れて別の霊媒師をたずねると、そこに乗り込んで激怒したニムが、何故胡散臭そうなサンティに頼ったのかとか。女神バヤンの像の首がもげたとき、それが女神そのものと言わんばかりに泣いたこととか。
だけど、これのおかげで映画の最初の謎が浮き彫りになる。

⑤ミンの家系を呪う老婆。
ノイの夫の葬儀のあと、親族一同で寝ているとき、ミンが老婆を呆然と眺めているというシーンがある。この老婆が紡績工場跡で藁人形に釘刺していた犯人なのだろうが、どうしてミン、ニム、ノイ、マイを殺そうしたのか。
まぁなんでという原因はホラーでは説明しなけど、その紡績工場がミン一家と繋がりのあることはわかる。ニムが呪術師の傍ら、裁縫屋をしていたことからも、そうなんだろう。きっと、ノイが巫女になるからニムは家業を継がせるつもりだったのだろう。では、父方はどうかというと、いわゆる殺し屋みたいなことをやっていたらしく、忘れた人も工場焼いて自殺し、その息子であるマックは自殺してしまう。兄弟仲睦まじい以上の関係だったミンも当然呪われている。
母方、父方の両家の呪いを象徴する老婆はどんな存在だったのだろう。おそらく葬式場だった家の裏に住んでいるということから、ミン一家に近しい人だったと思う。だけれど、葬式に呼ばれない人。それは忘れた人の母親なんじゃないかな、と。

つまり、ニム、ノイのラインが女神バヤンの巫女として表なら、裏にあるのは呪いの女神の継承。

映画の最初のほうにある、老婆とミンの邂逅は呪いの継承であったのだった……。
女神バヤンとは精霊信仰の偶像的な象徴で、その善にも悪にもなり得る霊に、呪いをかけたのがあの老婆だ。
いやでも、あのシーン老婆が不気味だけど、何かを授けてる構図であるように思われてならない。このシーンでニムがミンにだけ呼びかけているのも、あの老婆が霊体だったから見えなかったとか、もしかしたら家系にまつわるアンタッチャブルな事情もあったかもとか、あるのかもしれない。


というわけで、女神の継承、楽しかった。





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最終更新日  2022.08.28 03:54:30
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