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テーマ:洋楽(3323)
カテゴリ:レビュー
ドゥルッティコラムというグループがイギリスにある。グループといっても実質、ひとりみたいなもんだが、その中心人物であるミニ・ヴァレリという人は1979年より活動を始めて現在も一応、活動中だ。80年頃、UKではラフトレードというレーベルがロックの先端を行くバンドを数々、輩出してきた。ハッピーマンデイズ、ストーンローゼス(89年)、スクリッティ・ポリッティ等。私は、高校生当時、ジャムなどのパンク系に夢中で、コクトー・ツインズだの、ロバート・フリップだのといったよくわからんサウンドには近づかなかった。ただ、1枚、ドゥルッティコラムのアルバムを気まぐれにレンタルレコードで借りて、テープに入れたが、長い間、それは部屋の片隅に眠っていた。
そのテープが日の目を見たのは、1998年頃の築30年のアパートにおいてである。そのテープがどんな過程で、引越し先に渡っていったのか、よく覚えていない。もうカセットテープを聴くことが少なくなってきた頃だ。気まぐれに聴いてみると、それは深海の海の色よりももっと深く、どこまでもダークで、飽きない旋律であった。基本はアコースティックギターのアルペジオなのだが、織り成すサウンドは中東だったり、スペインだったり、と世界の夕暮れを想起させる。とりとめがないので、繰り返し聴くことになり、結局、私はゴロリと横になったまま、眠ってしまい、ミニ・ヴァレリのギターが何時間もひなびた部屋に染み込んでいった。 このテープはその後、クルマの中に無造作に置かれ、ときどき気が向くと聴いている。フィリピン人のマリエルさんは、独特なメロディを嫌い、ダンスミュージックにしろと要求してくる。わからん女だ。ということで、ひとりで聴くこの音は、やっぱり一人の時に合っている音なのかもしれぬ。 ふと、深夜にドゥルッティコラムを思い出し、CDを1枚購入してみようかとアマゾンに行ったが、とり 扱っていなかった。ここでマニアは本家アメリカアマゾンに注文するのだろうが、そこまで血圧を上げて購入するようなグループでもない。残念な限り。1枚のテープをえんえんと何年も聴いていきそうな按配である。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2006年04月08日 03時46分28秒
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