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テーマ:心の病(7246)
カテゴリ:精神病院より
今、3時半で病室ではWさんのラジオから大竹まことと山本モナのラジオが流れている。窓は15センチだけあいて、今日は乾いたさわやかな風が流れてくる。となりのOさんは例によって食事やおやつ、検温といったどうしてもでていかなければならないとき以外はベッドに横になったままだ.Oさんはゴルゴ13のような人で50歳くらいだろうか、3カ月以上同室なのだが、まだ2回くらいしか言葉を交わしていない。
60歳になるシゲさんは、なぜ精神科病棟に入院しているのかいまひとつわからない人だ。何回か入退院を繰り返しているそうだが、今回の入院は4年前に親族の葬儀の歳に香典をくすねたからだという。その金額が5千円なのだな。これで親族によりシゲさんは精神病院に措置入院のように入れられて、退院の見通しはない。こんな患者さんがここにはけっこういらっしゃる。シゲさんに精神遅延はないが、おしゃべりにしても、今一つ要領に欠けるところがあってなにをいっているのかわからないことがけっこうある。職務質問で疑われやすいタイプだ。警察の誘導尋問のとおりに調書がつくられて、ケースによっては冤罪をかぶせられそうな気がする。シゲさんに接してみて、なぜか冤罪を連想した。やさしくて、病棟内では愛されるほんと、いい人なんだけどなあ。 数日前に36歳の統合失調症の青年が、病棟のボス格のおじさんを殴ってしまい、閉鎖病棟へと移った。彼は私の目にも幻視や幻覚があるようにみえ、また彼はふだんはだれに対しても丁寧な敬語をおどおどと使う。ボス格のおじさんが(ゼリーでも食べないか)と彼に消灯後に近づいたときに事件は起こった。おじさんは歯が数本駄目になり口の中が縫ってもいいほど切れた。こんなことが精神科病棟では時に起こり、刺激の少ない患者のかっこうの噂話のネタになる。 このところの神経ピリピリの私には、ストレスによる喧嘩は理解できる。突破口のない世界なのだ、ここは。 今、4時になって携帯電話をナース室に預けた。携帯を持っていいのは10時から4時まで。私は今スマートフォンから書きこんでいるが、これはキーボードがついているためか、電話ということにはなっていなくて没収を免れている。 夕べもこいつにはお世話になった。眠れなくてチープトリックとピクシーズをずいぶん観ていた。30年前のNHKのライブがアップされていますよ、チープトリックの。ちょっと感動物だった。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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