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カテゴリ:千葉市
16号沿いを走ると、いつも横目で見る「目立つ」店があった。アリオの帰り、陽がどっぷり落ちて、さてお腹もすいてきた。どうしよう、というときにその目立つ店のことが思い浮かんだ。「唐居」である。
しかし。駐車場に入ったとき「高くてやばそうだな」と、どこか弱気になった。(店構えだけで圧倒されてしまうのは、貧乏人の困った習性だ) 重厚で本格的に重い扉をひいて、店内にはいる。道路から見るより中は広かった。うす暗い。漆黒のテーブル、椅子、中華格子満載のインテリア。ほにゃーと流れている中華風のBGM。明らかにあちらの方という女性スタッフがメニューを持ってくる。メニューは満載で、メニューがどんな本より好きな私は、1時間くらいながめていられそうである。 手頃そうな「おすすめコース」にした。前菜1品、スープ1品、料理3品が囲いの中から選べる。これにご飯おかわり自由、飲物がつく。餃子を追加した。 前菜の根菜のサラダがやってくる。青みがかった黒い大柄な器に上品に盛られてきた。棒々鶏(バンバンジー)系のゴマっぽいドレッシングがかかっている。それを象牙風の重厚な箸でいただく。しごくあっさりしていて、食がすすむ。(選べる中にはピータンやくらげがあったが、これで正解だった)ご飯を急いで持ってきてもらう。 海老のチリソースがやってくる。また同じサイズの大柄な皿に、超上品に盛られている。ピリ辛だが、裏にうっすら上湯(シャンタン)系の素性のいい味が通っている。ぷりっぷりの海老がのど元を通るとき、鼻の奥に中華香辛料のドピリがちょっと来た。 大して間もおかず、コーンスープが置かれた。これも上湯の上品な味がバックボーンにある。実になめらかでまろやか。 3、4口スープに口をつけたとき、その黒酢の酢豚はやってきた。海老チリも上品な盛り付けかただったが、これは更にグレードアップして最大級の品格のボリュームでやってきた。見た目はおよそ酢豚っぽくない。イメージとしてある酢豚観をまったくくつがえすビジュアルで目の前にすわる。にんじん、玉葱、ピーマン等、レギュラーメンバーがいない。揚げたポテトのストリングスの上に焦げ色の棒状の豚肉。漆黒のあんが、肉に粘りつきそうなくらい。思わず「カリントウかい」とつぶやく。 しかし、これは激うまだった。うまいなんてものじゃない。もっちりふんわり。黒酢が予想を10倍こえて効いている。今まで自分が食べてきた酢豚は、酢ケチャップで見栄えをかためただけの17のただの女の子、一方こちらは、酸いも甘いも知った30代のとろけるくらいにイイ女というほどのとんでもない差がある。火通しが絶妙で、噛み切った切口からフワンと甘酸っぱい、おいしい湯気が出てくる。黒酢の濃密な酸っぱさが、鼻元からのルートと、喉の奥からルートと2方向からやってくる。カリントウと見まがうこの黒い厚化粧によって、豚肉は完全に、豚肉以外のトンでもなくすばらしい食材に昇華していた。 あまりに感激したので、そのあとの2皿(玉子ときくらげの炒め物、鉄鍋餃子)の印象が飛んでしまった。(実際、餃子は写真を撮るのも忘れていた)それぞれ普通にうまかった。ちゃんとご飯がすすんだ。予定通りおかわりを頼んだ。珈琲をゆっくり飲んで、締めた。 コンセプトはしっかりしているようだ。本場の料理人による本場の料理を本場の雰囲気の中で供する。味は自信があるので、供されるそのままでどうぞ。(そういえば、テーブルに上には醤油さえ置いてない) 値段は若干高め。といっても、ジャスミンティーに課金するような上から見下ろすような店ではない。 量は控え目かもしれないが、たしかな満足感は得られた。それにしてもここの酢豚にはまいった。16号でこの店の前を通るとき、私はあの味を思い出しながら、走るんだろうなあ。(というか、素通りできるかどうかが問題なのだが) 「唐居」(たんちぃ) 住 所:千葉市中央区蘇我町2-67-1 アクセス:16号蘇我陸橋から旧道で千葉方向にむかい300m先左側 P有 電 話:043-266-2033 営業時間:11:30-14:30/17:00-22:00(LO) 定 休:無 メニュー:おすすめコース(2人)3600/(3人)5200/ 鉄鍋餃子520/坦々麺780/五目スープ麺830/ ふかひれ煮込2600/黒豚の酢豚880/ 大正海老のマヨネーズ炒め980/青椒肉絲880/ 小龍包520/北京ダック5800/杏仁豆腐400/ 黒ごまアイス420/ 評 価:☆☆☆☆☆ お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2006.03.13 03:04:55
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