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桐まみれの日々 by さきさん

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2007年12月05日
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 我が家で台所を仕切っているのは義母である。嫁である私は、家業である木工会社の現場や事務をやっていて、新商品の開発だのなんだのと業務にかまけて、帰宅するのは毎日午後9時もつれ。それから食事の支度なんてとんでもない。とんでもないと言って済ませられるのは、家にいる義母が子やその嫁、そして二人の口の減らない孫のために、心づくしの食事を準備してくれるからである。

 我が家の家業である木工会社は、平成12年に夫が先代である義父から社長を引き継いだあたりから、景気は悪化し、家具業界からは左肩下がりの受注状況であったので、オリジナル商品の開発へと移行した。
 オリジナル商品はまずまずの売れ行きであっても、それまでの家具メーカーへの売上額と比にならない程度。かれこれ7年になる現在で、やっと採算の取れる状況に至ったという次第である。

 そんな泣かず飛ばずの状況下でも、毎日、遅くまで頑張って帰ってくるのだからと、この不出来な嫁を義母は毎日笑顔で迎えてくれる。
 私が義母を尊敬する一つの大きな理由は、毎晩の夕食に、欠かさず和え物かサラダかがついていることだ。決して出来合いのものではなく、手作りのそれだ。義母は、私がそのことを話題にすると、決まって、「昔人間だから。」と笑うが、昔人間なら誰でもそうかと言うと、決してそうではないと思う。

 そんな義母に育てられた夫は、やはり家庭の味が大好物で、例えば、煮しめと言うと飛びついて食べている。特にごぼうが好物のようだ。
 私が年に数回作る煮しめは、義母の味には程遠いが、いつか、この仕事を引退し、いや、きっと、年老いた義母が体の自由が利かなくなる日はいつか、来るだろう。その時には、おいしい、おいしい煮しめを作って食べさせてあげたいと心に決めている。





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最終更新日  2007年12月05日 10時32分41秒
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