カテゴリ:◆映画・TV・華流・韓流・ショービズ
前回
↓ 第百二十六段 ~ササナキ~ ★☆★☆ 第百二十七段 この顔。 ずっと以前にも見たことがある。 汗や涙や鼻水で汚れていた。 彼のこのパリパリした顔を拭いてやったような気がする。 ジョンは手をごそごそとシアンの腕から引き抜いて 彼の顔に触れた。 刀痕のような模様を辿った。 その傷は首のところまで辿るとそこで まるで一輪のゆりの花のようになって胸のあたりが花の首だ。 彼は白磁の花壺のようだ。 色素の無い白い皮膚に浮かぶ青い血管の影。 人間ではないものの不思議な美。 その整い過ぎた全て。 高過ぎない鼻。 大き過ぎない目。 大き過ぎも小さ過ぎもしない濡れた唇が 誘うように細く開いている。 男でもあり女でもあり、またそのどちらでもない身体。 そしてドールは鳴り止まない。 指で触り続けていると、 その音がどんどん大きくなるようだった。 『昔、殿下の御顔を拭いて差し上げたような気がする。』 とジョンは言った。 『あの時も泣いておられましたね?いつのことだろう。』 はたとササナキが止まった。 『僕もそんなことがあったような気がする。』 シアンは恐る恐る言った。 実はシアンの中で その記憶は鮮明だった。 全てがあの時から始まったのだ。 自分の胸に秘するものを 無視できなくなった日。 サソリの巣の中。 いやな臭いだ。化粧の香料の襲いかかってくるような臭い。 節足動物の唾液が身体中に染みついていた。 シアンは身震いした。 あの時、あの男に何も悟られたくなかった。 僕は当時、あの男が僕の何を好いていて、 何を嫌悪しているか分からずにいた。 だから怯えていた。 そしてたまにではあっても そのことに頭を悩ます自分が許せなかった。 彼の心については今だに謎だが 僕に関してなら 今僕は僕なりに当時の自分を理解できる。 僕には守護と言う名の絶対的な絆が必要だったのだ。 僕はちゅうぶらりんの脳なしだったから。 彼の圧倒的な力は 脅威であり忌わしく 僕はそれを制御できなくてイラついていた。 だがその実、彼の限界を知らない強さに 魅せられてもいたのだ。 今ならその気持ちをある特定の言葉でちゃんと表現できる。 あのころ その感情は禁じられていた。 『殿下』 ジョンは彼の頬に掌をひたと当てシアンの目を真っ直ぐみつめて 囁いた。 『あなたをずっと守っていたかった。』 『うん。』 シアンは自分の頬にあるジョンの手に手を重ねた。 『わかってる。ありがとう』 ジョンの手を取り掌にキスした。 『今度は僕の番だ。 僕が君を守る番なんだ。』 ふたりは口づけを交わした。 ジョンは切なくて泣きたくなった。 理由は分からない。 誰かから愛されると言うことは こんなに人を涙もろくさせるものなのだろうか。 そうなのか? 誰に訊けばいい? 誰が教えてくれるのだ? つづく ↓次回です♪ 第百二十八段 ~父~ 最初からお読みになりたいごキトクな方は 下記の 『三蔵、妊娠したってよ』シリーズ早見表 ↑ からどうぞ♪ ウィリアム・フォン、馮紹峰、フォン・シャオフォン、ペン・シャオペン William Feng 以上全部同じ人(笑) 『三蔵、妊娠したってよ』シリーズ早見表ってことでヨロシク♪ [堀込兄弟/キリンジ/小田和正/鈴木康博/オフコース] カテゴリの記事 『可愛いに間に合わない』新着記事一覧 ↑ここから目的の記事を探して頂く方が早いかもしれない? もしもお気ににして頂けるならば、その時もここのほうが、、 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2017.02.07 23:29:36
[◆映画・TV・華流・韓流・ショービズ] カテゴリの最新記事
|
|