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「ミスティック・リバー」(原題:Mystic River)は、2003年公開のアメリカのミステリー&サスペンス・ドラマ映画です。デニス・ルヘインの同名小説を、クリント・イーストウッド監督により重厚なドラマに映画化、1つの殺人事件を機に25年振りに交差する幼馴染の3人の男の運命を、ショーン・ペン、ティム・ロビンス、ケヴィン・ベーコンらによる緊張感あふれる演技で描いています。第76回アカデミー賞では、作品賞、監督賞、主演男優賞、助演男優賞、助演女優賞、脚色賞の6部門にノミネートされ、ショーン・ペンが主演男優賞を、ティム・ロビンスが助演男優賞を受賞しました。
![]() 監督:クリント・イーストウッド 脚本:ブライアン・ヘルゲランド 原作:デニス・ルヘイン「ミスティック・リバー」 出演:ショーン・ペン(ジミー・マーカム) ティム・ロビンス(デイヴ・ボイル) ケヴィン・ベーコン(ショーン・ディバイン) ローレンス・フィッシュバーン(ホワイティ・パワーズ) マーシャ・ゲイ・ハーデン(セレステ・ボイル) ローラ・リニー(アナベス・マーカム ) エミー・ロッサム(ケイティ・マーカム) ほか 【あらすじ】 ボストンの小さな町イーストバッキンガム。犯罪社会から足を洗い雑貨店を営むジミー(ショーン・ペン)と、家族と共に平凡な毎日を過ごすデイヴ(ティム・ロビンス)、そして刑事のショーン(ケヴィン・ベーコン)の3人は、今は特に親しい仲ではありませんが、同じボストンで少年時代を共に過ごした幼馴染です。乾きかけのセメントに刻み込んだ3人が名前が今も残りますが、彼らが11歳の時、見ず知らずの大人にデイヴが誘拐されて性的暴行を受け、その日を境に3人は離れ離れになりました。 それから25年経ったある日、ジミーの愛娘ケイティ(エミー・ロッサム)が何者かに殺され、殺人課の刑事となっていたショーンと相棒のホワイティー(ローレンス・フィッシュバーン)がその事件の担当となります。容デイヴは今もトラウマに悩まされており、妻のセレステ(マーシャ・ゲイ・ハーデン)は事件当夜に血まみれで帰宅した夫に不安を隠しきれず、夫が犯人だと思うとジミーに告白します。ジミーは娘の復讐を果たすべくデイヴを呼び出しますが、デイヴは少年に悪戯をしていた男を殴り殺して血まみれになったと主張します。デイヴを脅迫し娘を殺したと言わせたジミーは、デイヴを殺害し川に沈めます。一方、ショーンは殺された娘のボーイフレンドの弟と、その友人を真犯人として逮捕し、デイヴが殴り殺した男の死体も発見されます。事の真相をショーンから聞いたジミーは、激しい悔恨の念に襲われます。未亡人となり子供が生き甲斐になったセレステ、妻とよりを戻したショーン、妻に励まされて何食わぬ顔をするジミーは、それぞれ離れ離れに街のパレードを眺めます。 ボストンはアメリカで最も歴史の古い街の一つです。アメリカの独立後、主要な海港、そして製造業の中心地となり、イギリスの影響が色濃く残ったニューイングランド地方最大の都市として、ボストンは同地域の経済的・文化的中心地と考えられており、「ニューイングランドの首都」とも言われます。アメリカ最初の公立学校ボストン・ラテン・スクール、アメリカ最初の大学であるハーバード大学、アメリカ最初の地下鉄網等を擁し、文化的伝統には、r を発音しないボストン訛りや、魚介類、塩、乳製品中心の地域の料理などがあります。政治的・宗教的風土には、アイルランド系アメリカ人の及ぼした影響が大きいと言われています。 そんなボストンですが、「ディパーテッド」、「ゴーン・ベイビー・ゴーン」、「ザ・タウン」、「イコライザー」など、犯罪映画の舞台となることが少なくありません。全米で最も強盗が多く、世襲で強盗を働くと言われたチャールズタウンのような街がある事に加え、古い街並や、ニューイングランド地方独特の文化、犯罪を隠蔽するコミュニティ意識、犯罪は働いてもカトリックの教えは守るといったアイルランド系ギャングの戒律が、犯罪映画の舞台としてボストンを魅力的なものにしていると言われています。 「ミスティック・リバー」も、そんなボストンを舞台にした映画です。冒頭に映る橋は、かつてミスティック橋と呼ばれた全長3キロにも渡る大きな橋で、「イコライザー」の導入部にもほぼ同じ場所からのショットが使われています。また、野球が話題になりますが、レッドソックスの本拠地ボストンは野球ファンの多い街で、ジミーの娘が聖体拝受を受けるのはカソリックが根強いボストンの土地柄を反映しています。ワーナー・ブラザーズの重役はコストの安いカナダで撮影させたかったのですが、クリント・イーストウッド監督が頑として譲らなかったのは当然でしょう。 三人の幼馴染みを演じるショーン・ペン、ティム・ロビンス、ケヴィン・ベーコンの演技が素晴らしいです。ショーン・ペンがアカデミー主演男優賞を、ティム・ロビンスが同助演男優賞と、同じ映画から二人の俳優が受賞するという快挙を成し遂げました。ショーン・ペーンは、娘の死体が発見された事を知り苦痛の余り泣き叫んで暴れるシーンに酸素ボンベを準備して臨みました。酸欠も辞さない迫真の演技です。ケヴィン・ベーコンはいろいろ抱えた三人の中では、真面目な刑事役という比較的普通の役でしたが、彼がいなければこの映画は成り立たず、何か賞をあげたいくらいです。 三人の男の物語は、その妻との関係にも興味深いものがあります。デイブを殺したことを告白したジミーに、妻のローラは「間違った事はしていない、街の主になれ」と諭します。セレステは、血だらけになって帰ってきた夫デイブを信じられずに、ジミーに夫が犯人だと思うと告白します。ショーンの妻は、出て行ったもののショーンが忘れられず、無言電話をかけ続け、じっと待ち続けたショーンの謝罪を機によりを戻します。三人の男の妻との関係が、男の運命を象徴しているようでもあります。 未亡人となり子供が生き甲斐になったセレステ、妻に励まされて何食わぬ顔をするジミーは、妻とよりを戻したショーン、それぞれ離れ離れに街のパレードを眺めるエンディングは象徴的です。彼らはこの街に住み続け、ジミーは街のボスを目指し、デイブの子はショーンの身内を殺めるかもしれず、ショーンはジミーや犯罪と戦い続けるでしょう。 子供達が遊んでいた場所(グーグルマップ) ジミーが営む雑貨店(グーグルマップ) ケイティが殺害される前に立ち寄ったバー(グーグルマップ) 「スティック・リバー」の原作本 ![]() ボストンを舞台にした映画 ![]() ![]() ![]() ![]() お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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